成人に特化して設計された21価肺炎球菌結合型ワクチン「キャップバックス®筋注シリンジ」製造販売承認を取得

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2025/08/08 15:00 JST

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:プラシャント・ニカム、以下「MSD」)は、本日、21価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)「キャップバックス®筋注シリンジ」(以下、「キャップバックス®」)について、「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌による感染症の予防」を適応として、製造販売承認を取得しましたのでお知らせいたします。

「キャップバックス®」は、成人の肺炎球菌感染症予防に特化して設計された肺炎球菌結合型ワクチンです。日本人成人の市中肺炎の原因となる肺炎球菌血清型の71.9%*1、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)では80.3%に対応しており*2、「キャップバックス®」は従来のワクチンに比べてさらに広く肺炎球菌感染症を予防することが期待できます。

肺炎は日本人の死因の第5位で*3、肺炎で亡くなる方の97.8%は65歳以上の高齢者が占めています*4。肺炎球菌は、日常でかかる肺炎(市中肺炎)の病原微生物のなかで最も多い細菌です*5。また、肺炎球菌が原因となる感染症のなかでも重篤なのが、IPDです。IPDは本来、無菌である髄液または血液等から肺炎球菌が検出される感染症であり、発症した成人の22.1%が亡くなり、8.7%に後遺症が残り予後が悪いという報告があります*6

MSD代表取締役会長執行役員 グローバル研究開発本部長の白沢 博満は、「このたび承認されたキャップバックス®は、成人の市中肺炎やIPDの主要な原因となる血清型に対応しています。IPDによる合併症は予後が悪く、入院や臓器障害、さらには死に至る可能性があります。肺炎球菌感染症という深刻な疾患から高齢者や罹患リスクの高い方々を守るための新たな選択肢として、キャップバックス®を日本の皆さんに提供できることを大変嬉しく思います」と述べています。

「キャップバックス®」の製造販売承認は、肺炎球菌ワクチンの接種歴のない成人を対象とした国内第3相STRIDE-9試験、海外第3相STRIDE-3および国際共同STRIDE-8試験等の結果に基づいています。

「キャップバックス®」は、米国では優先審査品目として、2024年6月に米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しており、同月、米国疾病予防管理センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)は全会一致で、成人の肺炎球菌感染症予防に使用するワクチンとして推奨を決定しました。また、2025年3月には欧州委員会(EC)にて承認を取得しています。

MSDは、1988年に23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン「ニューモバックス®」を、そして2006年には23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン「ニューモバックス®NP」を発売し、2023年には沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン「バクニュバンス®水性懸濁注シリンジ」を発売するなど、35年以上にわたり日本の成人および小児の肺炎球菌感染症予防に貢献してまいりました。MSDは、この度の「キャップバックス®」の承認により、高齢者および肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌感染症の新たな予防手段を提供することで、日本人の健康と公衆衛生の向上にさらに貢献できるよう努めてまいります。

承認の根拠となった主な臨床試験について

STRIDE-9試験(国内)

肺炎球菌ワクチン接種歴がない65歳以上の日本人450例を無作為に割り付け、「キャップバックス®」または23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)を1回筋肉内に接種し、二重盲検比較試験にて免疫原性および安全性を評価しました。「キャップバックス®」は12種類全ての共通血清型および交差反応性血清型15Bの免疫応答についてPPSV23に対して非劣性を示し、8種類の固有血清型および血清型15Cの免疫応答について優越性を示しました*。「キャップバックス®」接種後の注射部位の有害事象発現割合は32.9%(74/225例)であり、全身性の有害事象発現割合は17.3%(39/225例)でした。

* PPSV23に対し、12種類全ての共通血清型および交差反応性血清型15Bにおける「キャップバックス®」の接種後30日目の免疫原性(血清型特異的オプソニン化貪食活性(OPA)幾何平均抗体価(GMT))の非劣性、および血清型15Cにおける「キャップバックス®」の接種後30日目の免疫原性(血清型特異的OPA GMT)の優越性が確認され、8種類の固有血清型における「キャップバックス®」の接種後30日目の免疫原性(治験薬接種前から接種後30日目までの OPA 応答の上昇倍率が4倍以上であった被験者の割合)の優越性が確認されました。

STRIDE-3試験(海外)

肺炎球菌ワクチン接種歴がない50歳以上の成人2,362例および18~49歳の成人301例を無作為に割り付け、「キャップバックス®」または沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)を1回筋肉内に接種し、二重盲検比較試験にて免疫原性および安全性を評価しました。50 歳以上の成人コホートにおいて、「キャップバックス®」は、10種類全ての共通血清型の免疫応答についてPCV20に対し非劣性を示し、11種類の固有血清型のうち10種類の血清型の免疫応答について優越性を示しました*。「キャップバックス®」接種後の注射部位有害事象の発現割合は 42.9%(505/1,177 例)であり、本剤接種後の全身性有害事象の発現割合は 39.2%(461/1,177 例)でした。

* PCV20に対し、10種類全ての共通血清型における「キャップバックス®」の接種後30日目の免疫原性(血清型特異的OPA GMT)の非劣性が確認され、11種類の固有血清型のうち10種類の血清型における「キャップバックス®」の接種後30日目の免疫原性(血清型特異的OPA GMT)の優越性が確認されました。

STRIDE-8試験(国際共同)

肺炎球菌感染症に罹患するリスクを有する肺炎球菌ワクチン接種歴がない18歳~64歳の成人(日本人成人を含む)518例を対象に、「キャップバックス®」+プラセボ群では「キャップバックス®」接種後8週目にプラセボを、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)+23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)群では、PCV15接種後8週目にPPSV23を1回筋肉内に接種し、二重盲検比較試験にて免疫原性および安全性を評価しました。「キャップバックス®」+プラセボ群では、13種類全ての共通血清型についてPCV15+PPSV23群に対し、同程度の免疫応答を誘導し、8種類の固有血清型について高い免疫応答を誘導しました*。「キャップバックス®」+プラセボ群で認められた注射部位有害事象の発現割合は53.4%(206/386例)であり、全身性有害事象の発現割合は51.6%(199/386例)でした。

*「キャップバックス®」およびPPSV23接種後30日目の免疫原性(血清型特異的 OPA GMT)について、「キャップバックス®」+プラセボ群では13種類全ての共通血清型でPCV15+PPSV23 群と同程度の、8種類の固有血清型でPCV15+PPSV23群より高い免疫応答を誘導しました。

*1 Maeda H, et al. Hum Vaccin Immunother. 2025;21(1):2518847.
*2 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業
「成人の侵襲性細菌感染症サーベイランスの強化のための研究」:2025~2027年度(予定)https://ipd-information.com/adult/overview/(7月24日閲覧)
*3 厚生労働省 人口動態調査 2023(令和5)年
*4 厚生労働省. 人口動態統計(確定数)2023年
*5 日本呼吸器学会. 成人肺炎診療ガイドライン2024
*6 厚生労働科学研究費補助金、新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業、重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症に対するサーベイランスの構築と病因解析、その診断・治療に関する研究(H22-新興-一般-013)

 以上


MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookInstagramYouTubeをご参照ください。

参考資料

21価肺炎球菌結合型ワクチン「キャップバックス®筋注シリンジ」

21価肺炎球菌結合型ワクチン「キャップバックス®筋注シリンジ」