MSD株式会社 長期間作用型抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤「クレスロビマブ」について 生後初めてRSウイルス感染流行期を迎える新生児および乳児における RSウイルス感染症の予防薬として承認を申請
2025/07/14 15:00 JST
報道関係各位
MSD株式会社
MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:プラシャント・ニカム、以下 「MSD」)は、本日、長期間作用型抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤「クレスロビマブ」について、生後初めてRSウイルス(respiratory syncytial virus)感染流行期を迎える新生児および乳児におけるRSウイルス感染症の予防薬として製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。
RSウイルスは、気道などに感染する伝染性のウイルスで、感染力が強く、特に乳児や高齢者では重篤な呼吸器疾患を引き起こすことがあります*1,2。日本では、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも一度は感染するとされており、特に生後6カ月以内にRSウイルスに感染した場合には、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります*3。また、日本の5歳未満の健常児において、RSウイルス感染症による入院率はインフルエンザの入院率の約10倍高かったという調査*4 や、入院した2歳未満のRSウイルス感染症患者の約90%が、RSウイルス感染症重症化のリスクファクター(早産児、 気管支肺異形成症、先天性心疾患(CHD)、ダウン症候群および免疫不全症)を有していなかったという報告*5 があるなど、健康な児においても重症化する例が多くみられます。このようなことから、すべての新生児および乳児が予防できる環境が必要と考えられています。
クレスロビマブは、RSウイルス感染症予防の受動免疫として開発中の半減期延長型、長期作用型のヒトモノクローナル抗体(mAb)です。生まれて初めてRSウイルス感染症流行期を迎える新生児および乳児に、投与時の体重に関係なく同じ1回量を投与することで、抗体が直接的に作用し、迅速かつ持続的な予防効果が得られるように設計されています。
今回の承認申請は、初めてRSウイルス感染流行期を迎える生後1歳までの健康な早産児および正期産児を対象にクレスロビマブ単回投与の安全性と有効性を評価する第2b/3相CLEVER(MK-1654-004)試験、RSウイルス感染症の重症化リスクの高い乳児および幼児を対象にクレスロビマブの安全性と有効性などをパリビズマブと比較する第3相SMART(MK-1654-007)試験に基づいています ※。
クレスロビマブは、2025年6月9日に米国で、生後初回のRSウイルス感染流行期の新生児および乳児におけるRSウイルスによる下気道疾患予防の適応で米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しており、同月、CDCの予防接種諮問委員会(ACIP)は、生後初回のRSウイルス感染流行期の新生児および乳児(生後8カ月未満)におけるRSウイルスによる下気道疾患の予防薬としてクレスロビマブを推奨しました。
MSDは、重症化リスクの高い新生児および乳幼児だけでなく、すべての新生児および乳幼児を対象に設計された長期間作用型抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤の承認取得に向けて取り組むとともに、引き続き日本でのRSウイルス感染症予防と公衆衛生の向上に向けて努力してまいります。
*1 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト RSウイルス感染症(2025年7月1日閲覧)
*2 日本小児呼吸器学会/日本新生児育成医学会 小児RSウイルス呼吸器感染症 診療ガイドライン2021
*3 厚生労働省 RSウイルス感染症に関するQ&A(2025年7月1日閲覧)
*4 Takeshi Arashiro, et al. Influenza Other Respir Viruses. 2024 Nov;18(11):e70045.
*5 Yasuhiro Kobayashi, et al. Pediatr Int. 2022 Jan;64(1):e14957.
※ CLEVER(MK-1654-004)試験およびSMART(MK-1654-007)試験の概要については、当社の参考資料「抗RSウイルスモノクローナル抗体として開発中のクレスロビマブ(MK-1654)により 健康な早産児および正期産児のRSウイルス感染症の発生率と入院率が有意に低下」(2024年11月7日)をご参照ください。
以上
MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Instagram、YouTubeをご参照ください。