1日1回経口投与のHIV-1感染症治療薬として、新規のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤(NRTTI)イスラトラビルと非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)ドラビリンの2剤配合錠を承認申請
2025/07/11 10:00 JST
報道関係各位
MSD株式会社
MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:プラシャント・ニカム、以下 「MSD」)は、6月30日、1日1回経口投与のヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の治療薬として、逆転写酵素に対する新規のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤(NRTTI)であるイスラトラビルと非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)であるドラビリンの2剤配合錠(ドラビリン/イスラトラビル)について、製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。
HIV感染症は、HIVがCD4陽性リンパ球などの免疫担当細胞に感染することで、免疫系が徐々に破壊されエイズ(後天性免疫不全症候群)を発症する進行性の疾患です。日本では、HIV感染者およびエイズ患者数は毎年1,000人前後の新規報告があり、両者の合計は累計で36,381人(2024年末現在、凝固因子製剤による感染例を除く)とされています*1。HIV感染症の治療は、原則として血中のウイルス量を検出限界以下に抑え続けることを目標に行われ、適切な抗HIV薬を継続して服用することが必要となります。しかしながら、抗HIV療法によって予後が改善し、治療が長期化することに伴い、さまざまな合併症が新たな問題となってきています*2。そのため、一人ひとりの健康上のニーズに対応できる幅広い選択肢が求められています。
今回の申請は、ドラビリン/イスラトラビルの2剤配合錠の有効性および安全性を評価した2つの国際共同第3相検証的試験(MK-8591A-051、-052試験)の結果に基づいています。ウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症成人患者を対象とした両試験において、ドラビリン/イスラトラビルの有効性は、対照とした抗レトロウイルス療法に対して非劣性を示し、安全性プロファイルは同様でした*3。
MSDは、HIV感染症領域において、これまで数々の革新的な治療薬を届けてまいりました。これからも、患者さんや医療従事者のニーズに応えてまいります。
イスラトラビルについて
イスラトラビルは、当社が開発中のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害薬(NRTTI)で、即座にDNA鎖伸長反応を停止する逆転写酵素トランスロケーション阻害作用や、ウイルスDNAで誘発される構造変化による遅延性のチェーンターミネーションなどの複数の機序によりHIV-1の複製を阻害します 。他の抗レトロウイルス薬との併用によるHIV-1感染症治療薬として、1日1回投与および週1回投与のさまざまな投与オプションの可能性を評価する複数の早期・後期臨床試験を実施しています。
ドラビリンについて
ドラビリンは、当社が開発した非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)で、HIV-1逆転写酵素を非競合的に阻害することにより、HIV-1の複製を阻害します。国内では「ピフェルトロ®」として、「HIV-1感染症」の効能又は効果で承認されています。
*1 厚生労働省エイズ動向委員会 令和6(2024)年エイズ発生動向年報
*2 HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班 抗HIV治療ガイドライン 2025年3月
*3 対照群は、MK-8591A-051試験:ベースラインの抗レトロウイルス療法(bART)、MK-8591A-052試験:ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド[BIC/FTC/TAF]
以上
MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Instagram、YouTubeをご参照ください。