抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」進行・再発の子宮体癌に対する一次療法において化学療法との併用で承認を取得

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2024/12/27 15:00 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下 「MSD」)は、本日、抗PD-1抗体「キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))」が、進行・再発の子宮体癌に対する化学療法との併用療法において、国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことをお知らせいたします。

子宮体がんは子宮体部にできるがんで、そのほとんどが子宮内膜から発生することから子宮内膜がんとも呼ばれています。日本では、2020年には約1.8万人が子宮体がんと診断され、2023年には約2,900人が亡くなっています*1。自覚症状は不正出血が最も多く、進行すると下腹部の痛みや性交時の痛み、腰痛や下肢のむくみなどの症状が現れることもあります*2。子宮体がんはがんが子宮に留まっている段階で発見できれば比較的予後が良いと言われていますが、進行または再発した場合の治療法は限定的であり、新たな選択肢が求められています。

今回の製造販売承認事項一部変更承認は、化学療法歴のない*3 進行・再発の子宮体がん患者*4 810例(日本人7例を含む)を対象に、患者のミスマッチ修復(MMR)の状態に基づきMMR 正常(pMMR)(588例)またはMMR 欠損(dMMR)(222例)の集団別に、キイトルーダ®と化学療法(パクリタキセルおよびカルボプラチン)との併用療法、およびその後のキイトルーダ®単独療法の有効性および安全性を検討した国際共同第3相試験KEYNOTE-868/NRG-GY018試験のデータに基づいています。

同試験において、pMMR およびdMMR のいずれの集団でもキイトルーダ®と化学療法との併用療法、およびその後のキイトルーダ®単独療法は、プラセボと化学療法との併用療法、およびその後のプラセボ投与と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長しました(pMMR集団におけるPFS: HR=0.57 [95% CI, 0.44-0.74]; P<0.0001、dMMR集団におけるPFS: HR=0.34 [95% CI, 0.22-0.53]; P<0.0001)。

安全性については、安全性解析対象例382例中365例(95.5%)(日本人2例中2例を含む)に副作用が認められました。主な副作用(20%以上)は、疲労225例(58.9%)、貧血178例(46.6%)、脱毛症163例(42.7%)、悪心146例(38.2%)、末梢性感覚ニューロパチー117例(30.6%)、便秘112例(29.3%)、下痢110例(28.8%)、末梢性ニューロパチー98例(25.7%)、白血球数減少97例(25.4%)、血小板数減少93例(24.3%)、好中球数減少87例(22.8%)および関節痛80例(20.9%)でした。

MSDは、重点分野と位置付けるがん領域で、今後も患者さんと医療従事者のニーズにお応えできるよう努めてまいります。

*1国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)全国がん罹患データ(2016年~2020年)/
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)全国がん死亡データ(1958年~2023年)
*2国立がん研究センターがん情報サービス 「子宮体がん(子宮内膜がん)について」
*3術後補助療法として化学療法歴がある患者の場合、当該化学療法終了後12ヵ月を超えて再発した患者は組入れ可能とされました。
*4以下のいずれかに該当する患者が対象とされました。
・RECIST ガイドライン1.1版に基づく測定可能病変を有するInternational Federation of Gynecology and Obstetrics(以下、「FIGO」)分類(2009年版)III期又はIVA 期の子宮体癌患者
・RECIST ガイドライン1.1版に基づく測定可能病変の有無を問わないFIGO分類(2009年版)IVB 期又は再発の子宮体癌患者

キイトルーダ®について

キイトルーダ®は、PD-1に対するヒト化モノクローナル抗体であり、活性化T細胞上のPD-1に結合することにより、がん細胞上のPD-L1及びPD-L2との結合を阻害することで、がん細胞による活性化T細胞の抑制を阻害します。その結果、抑制されていたT細胞が再度がん抗原を認識した際に、再活性化され、がん細胞を排除できるようになります。

キイトルーダ®は、2017年2月15日に国内で販売を開始しました。これまでに「悪性黒色腫」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「非小細胞肺癌における術前・術後補助療法」「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」「根治切除不能な尿路上皮癌」「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」「腎細胞癌における術後補助療法」「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」「根治切除不能な進行・再発の食道癌」「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」「PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法」「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」「がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」「進行又は再発の子宮頸癌」「局所進行子宮頸癌」「再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」「治癒切除不能な胆道癌」の効能又は効果について承認を取得しています。また、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫について申請中で、卵巣がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中です。

 以上


MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookInstagramYouTubeをご参照ください。

 

参考資料

抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」

抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」