WINREVAIR™(sotatercept)、肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)の 成人患者に対するファーストインクラスの治療薬としてFDAの承認を取得

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2024/04/03 15:00 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

この参考資料は、FDA Approves Merck’s WINREVAIR™ (sotatercept-csrk), a First-in-Class Treatment for Adults with Pulmonary Arterial Hypertension (PAH, WHO* Group 1) (https://www.merck.com/news/fda-approves-mercks-winrevair-sotatercept-csrk-a-first-in-class-treatment-for-adults-with-pulmonary-arterial-hypertension-pah-who-group-1/) の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症と安全性情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。

sotaterceptは、日本国内では開発中の段階です。


参考資料

WINREVAIR™(sotatercept)、肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)の
成人患者に対するファーストインクラスの治療薬としてFDAの承認を取得

進行性の希少疾患に対する画期的な生物学的製剤 WINREVAIR™
基礎療法に追加することで、運動耐容能と複数の重要な副次評価項目が基礎療法のみの場合より有意に改善

2024年3月26日:ニュージャージー州ローウェイ―Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、sotatercept(米国における商品名:WINREVAIR™注射用45 mg、60 mg)が、肺動脈性肺高血圧症(PAH、世界保健機関[WHO] Group 1)の成人患者さんの運動耐容能を向上させ、WHO機能分類(FC)を改善し、臨床的悪化イベントのリスクを減少させる治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました。WINREVAIR™はすでにFDAからBreakthrough Therapyの指定を受けています。WINREVAIR™は初めてFDAの承認を取得したアクチビンシグナル伝達阻害剤で、増殖を促進するシグナル伝達経路と増殖を抑制するシグナル伝達経路のバランスを改善することでPAHの原因となる血管細胞増殖を調節する、新たなクラスのPAH治療薬です。

第3相STELLAR試験の治験責任医師で、Université Paris-Saclayの医学部教授兼Pulmonary Hypertension Reference Center責任者のMarc Humbert博士は、「PAHは、肺の血管が肥厚・収縮し、心臓に大きな負担がかかる、進行性の命に関わる希少疾患です。第3相STELLAR試験では、WINREVAIR™をPAHの基礎療法に追加することで、PAHの基礎療法のみと比較して優れた臨床的ベネフィットが示されました。この承認は重要なマイルストーンであり、これまでと異なるPAHの治療経路を標的とする新たな治療選択肢を医療従事者に提供するものです」と述べています。

今回の承認は、標準的な基礎療法を実施中のPAHの成人患者さん(WHO Group 1 FC IIまたはIII)において、WINREVAIR™(n=163)またはプラセボ(n=160)の投与を比較した第3相STELLAR試験に基づくものです。WINREVAIR™を基礎療法に追加することで、24週時における6分間歩行距離がベースラインから41メートル改善し(95% CI: 28, 54; p<0.001; プラセボで調整)、あらゆる原因の死亡またはPAHの臨床的悪化イベントのリスクが、基礎療法のみの場合より84%減少(イベント数:9 vs 42、ハザード比=0.16; 95% CI: 0.08, 0.35; p<0.001)するなど、複数の重要な副次評価項目も有意に改善しました。

WINREVAIR™の各投与前にはヘモグロビン濃度と血小板数について、最初の5回のそれぞれの投与前(検査値が安定しない場合についてはそれ以上の期間)、およびその後も定期的にモニタリングを行い、用量調節が必要かどうかを判断してください。WINREVAIR™によってヘモグロビン濃度が上昇し、赤血球増多症を引き起こす場合があり、重度の場合、血栓塞栓イベントや過粘稠度症候群のリスクが上昇する場合があります。またWINREVAIR™により血小板数が減少し、血小板減少症に至ることがあり、重度の場合、出血のリスクが高まることがあります。血小板減少症は、プロスタサイクリンの注射剤を受けている患者さんではより高い頻度で発生します。血小板数が50,000/mm3未満の場合には投与しないでください。

Pulmonary Hytertension Associationの会長兼最高執行役員のMatt Granato氏は、「Pulmonary Hytertension Associationは、PAH患者のための新しい治療法の開発を歓迎します。PAHと診断されることは、その病気が慢性的で進行性であることから、患者や家族の人生を変えてしまう経験になります。PAH患者は、息切れや倦怠感といった行動制限をきたす症状を経験します。私たちは、産業界の研究への取り組みがPAHのより良い理解や、患者コミュニティにとって選択肢を広げる新たな治療経路の医薬品開発につながっていることを嬉しく思います。」と述べています。

Brigham and Women’s HospitalのCenter for Pulmonary Heart Diseasesのエグゼクティブディレクターで第3相STELLAR試験の治験責任医師のAaron Waxman博士は、「PAHの患者さんには、運動耐容能の向上や機能分類の改善など、重要な臨床目標の達成を支援する新たな治療の選択肢が引き続き必要とされています。Sotaterceptを基礎療法に追加することで、PAHの患者さんの新たな標準治療の選択肢になると期待できます」と述べています。

当社研究開発本部シニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサーのEliav Barr(エリアブ・バール)博士は、「PAHは依然として死亡率が高い疾病状態にある衰弱性疾患です。WINREVAIR™の承認は重要なマイルストーンであり、当社の科学に基づく戦略と、PAHのような希少疾患の患者さんを救う革新的な医薬品の開発に対する注力を示すものです。この新たな医薬品を患者さんに提供できることを嬉しく思います」と述べています。

STELLAR試験の結果

STELLAR試験の有効性の主要評価項目は、24週時における6分間歩行距離(6MWD)のベースラインからの変化量です。WINREVAIR™治療群では、プラセボ調整した6MWDの延長の中央値は41メートルでした(95% CI: 28, 54; p<0.001, Hodges-Lehmann推定量)。また、WINREVAIR™を追加投与した患者さんでは、複数の副次評価項目でもプラセボ群と比較してより統計的に有意な改善が認められました。

  • 24週時においてFCがベースラインから改善した患者さんはWINREVAIR™群では29%、プラセボ群では14%でした(p<0.001)。
  • 死亡またはPAHの臨床的悪化イベントの発生は、WINREVAIR™群ではプラセボ群と比較して84%減少しました(投与期間の中央値は33.6週間;イベント数:9/163 vs 42/160;ハザード比=0.16;95% CI: 0.08, 0.35; p<0.001)。
  • WINREVAIR™群では肺血管抵抗(PVR)がベースラインから改善しました。WINREVAIR™群とプラセボ群のPVRの群間差の中央値は-235 dynes*sec/cm5(95% CI: -288, -181, p<0.001)でした。
  • WINREVAIR™治療群はN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値がベースラインから改善しました。WINREVAIR™群とプラセボ群のNT-proBNPの群間差の中央値は、-442 pg/mL(95% CI: -574, -310, p<0.001)でした。

STELLAR試験について

二重盲検プラセボ対照多施設共同並行群間比較国際共同第3相試験のSTELLAR試験(NCT04576988)では、PAH(WHO Group 1 FC IIまたはIII)の患者さん323名を、安定した基礎療法に追加してWINREVAIR™(目標用量0.7 mg/kg、n=163)またはプラセボ(n=160)を3週間ごとに皮下投与する群に無作為に1:1の割合で割り付けました。

PAHの細分類で最も多かったのは特発性PAH(59%)、遺伝性PAH(18%)、結合組織病(CTD)に伴うPAH(15%)でした。ほとんどの被験者がPAHの基礎療法として3種類(61%)または2種類(35%)の薬剤を使用し、40%はプロスタサイクリン注射剤による治療を受けていました。PAHの診断からの平均期間は8.8年でした。ベースライン時におけるWHO機能分類は、FC IIが49%、FC IIIが51%でした。

WINREVAIR™(sotatercept)注射用45 mg、60 mgについて

WINREVAIR™は肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)の成人患者さんの運動耐容能を向上させ、WHO機能分類(FC)を改善し、臨床的悪化イベントのリスクを減少させる治療薬としてFDAの承認を受けています。WINREVAIR™はアクチビンシグナル伝達阻害剤として初めて承認されたPAHの治療薬です。WINREVAIR™は、増殖を促進するシグナル伝達経路と増殖を抑制するシグナル伝達経路のバランスを改善し、血管細胞増殖を調節します。非臨床モデルでは、血管壁が薄くなる細胞の変化を誘発し、右室の部分的なリバースリモデリングをもたらし、血行動態を改善しました。

WINREVAIR™はBristol Myers Squibbとのライセンス契約の対象です。

WINREVAIR™用法・用量・安全性情報・患者支援プログラムについて

用法・用量・安全性情報・患者支援プログラムなど一部情報は米国のもので、日本の情報ではありません。詳しくは当社英文リリースをご参照ください。

https://www.merck.com/news/fda-approves-mercks-winrevair-sotatercept-csrk-a-first-in-class-treatment-for-adults-with-pulmonary-arterial-hypertension-pah-who-group-1/

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAについて

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。詳細については、当社ウェブサイトTwitterFacebookInstagramYouTubeLinkedInをご参照ください。

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAの将来に関する記述

このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAの経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。

リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAによる将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAの特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAは、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAに関するForm 10-Kの2023年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。

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MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookYouTubeをご参照ください。