経口の抗ウイルス剤「ラゲブリオ®カプセル」、 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬としての製造販売承認取得 初めての経口投与のCOVID-19治療薬として特例承認

Save Print

2021/12/24 00:01 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下 「MSD」)は、本日、経口投与の抗ウイルス剤「ラゲブリオ®カプセル200mg」(一般名:モルヌピラビル)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として厚生労働省より医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認*1を取得したことをお知らせいたします。

 

MSDの代表取締役社長カイル・タトルは、次のように述べています。「寿命を延ばし生活を改善する革新的な医薬品を日本の皆さんに届けることに取り組む当社は、ラゲブリオ®が承認を取得し、新型コロナウイルス感染症との戦いに間もなく貢献できることを嬉しく思います。この世界的なパンデミックを制するためには、ワクチンや革新的な治療薬など多面的なアプローチが必要となります。日本で承認された初の経口抗ウイルス薬のラゲブリオ®は対象となる患者さんの最も深刻な重症化や入院を防ぎ、医療機関や日本政府が新型コロナウイルス感染症の深刻な状況に対応するためのとても重要な新しい武器になると考えています。ラゲブリオ®を一日も早く患者さんにお届けできるよう、引き続き日本政府と協力してまいります。」

今回の承認申請は、重症化リスク因子を1つ以上有し、軽症から中等症*2の新型コロナウイルス感染症の入院していない成人患者を対象としてラゲブリオ®を評価する第3相MOVe-OUT試験の中間解析の結果に基づいて行われました。

 

ラゲブリオ®について

ラゲブリオ®(一般名:モルヌピラビル)は経口投与が可能な強力なリボヌクレオシドアナログの薬剤で、新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2の増殖を阻害します。ラゲブリオ®はSARS-CoV-2の予防投与、治療、感染防止などのいくつかの前臨床モデルにおいて活性が認められています。前臨床試験では、ラゲブリオ®は耐性化しにくいことがデータで示されています。

ラゲブリオ®は他の薬剤との併用や食事に関する制限、腎機能や肝機能障害における用量の変更の必要のない単剤療法として試験が実施されています。これまでに明らかになっているデータでは、ラゲブリオ®の薬物相互作用は特定されていません。

ラゲブリオ®はエモリー大学が100%出資する非営利バイオテクノロジー企業のDrug Innovations at Emory (DRIVE), LLCで発明されました。エモリー/DRIVEは米国国防総省および国立衛生研究所の研究助成金を受けています。ラゲブリオ®は現在、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.がRidgeback Biotherapeuticsと協力して開発を進めています。RidgebackはMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.から一時金の支払いを受けており、さらに一定の開発および承認取得のマイルストンの達成に基づく支払いを受ける権利があります。この連携から生じる利益は全額、両社で均等に分割されます。Ridgebackによるライセンス供与以降、ラゲブリオ®の開発資金はMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.とRidgebackが全額提供しています。

ラゲブリオ®は、曝露後の発症予防として、家庭内における新型コロナウイルスの拡大を防止する効果と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同第3相試験のMOVe-AHEADも実施されています。詳しくは、https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031210281または、http://merckcovidresearch.comをご覧ください。

 

MOVe-OUT試験について

MOVe-OUT試験(MK-4482-002)(NCT04575597)は、二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同第3相試験で、検査により軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の診断を受けた入院していない成人患者を対象として実施されました。本試験の対象患者は、SARS-CoV-2のワクチン接種を受けておらず、重症化のリスク因子を1つ以上有し、無作為割り付け前の5日以内に発症した患者でした。MOVe-OUT試験の主要有効性評価項目では、無作為化から29日目までに入院または死亡に至った患者の割合をラゲブリオ®(800 mg、1日2回、5日間)とプラセボで比較しました。

MOVe-OUT試験の第3相試験部分は、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、エジプト、フランス、ドイツ、グアテマラ、イスラエル、イタリア、日本、メキシコ、フィリピン、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、台湾、ウクライナ、英国、米国など世界各国の170以上の施設で実施されました。MOVe-OUT試験の詳細はclinicaltrials.govをご覧ください。

重症化リスク因子で最も多かったのは肥満、高齢(61歳以上)、糖尿病、心疾患などでした。中間解析の時点でシーケンス解析を実施したベースライン時のウイルス変異株の大半がデルタ株、ガンマ株、ミュー株の変異株でした。

*1特例承認とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14 条の3第1項の規定に基づき、1.疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要、 2.当該医薬品の使用以外に適切な方法がない、3.海外で販売等が認められている、という要件を満たす医薬品について、承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良い等として、特例的な承認をする制度です。厚生労働省ホームページより

*2日本で一般的に使用されている重症度分類とは異なる。COVID-19の重症度は、米国FDA によるCOVID-19: Developing Drugs and Biological Products for Treatment or Prevention Guidance for Industry(2020年5月)、WHO COVID-19 Case definition 及び米国疾病予防管理センター(CDC)により示されている分類に基づく。

以上

 

MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、130年にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDは世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)や Facebook 、 Twitter 、 YouTubeをご参照ください。

 

<参考資料>

製品概要