新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として経口の抗ウイルス薬モルヌピラビルの製造販売承認申請 特例承認の適用を希望した申請

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2021/12/03 00:00 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下 「MSD」)は、、本日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。申請に先立ってPMDAには事前に評価していただくために、有効性や安全性に関するデータを共有してきました。今回の承認申請は特例承認の適用を希望しています。

MSD代表取締役社長カイル・タトルは、次のように述べています。「世界初の経口投与による新型コロナウイルス感染症治療薬モルヌピラビルを日本においても早期に申請できたことにたいへんうれしく思います。また自宅で服用することができるので、医療機関の負担を大幅に軽減できると期待しています。MSDは、引き続き規制当局とも緊密に連携し、モルヌピラビルを一日も早く患者さんへお届けできるよう全力で取り組んでまいります。」

今回の承認申請は、重症化リスク因子を1つ以上有し、軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の入院していない成人患者を対象としてモルヌピラビルを評価する第3相MOVe-OUT試験の中間解析の結果に基づいて行われました。中間解析の時点で、無作為割り付けから29日目までに入院または死亡した患者はモルヌピラビル群では7.3%(385例中28例)、プラセボ群では14.1%(377例中53例)でした(p=0.0012)。29日目までにモルヌピラビル群では死亡例はなく、プラセボ群では8名の患者が死亡しました。

有害事象の発現率はモルヌピラビル群とプラセボ群で類似していました(それぞれ35%、40%)。治験薬との因果関係があると判断された有害事象(副作用)の発生率も同様に類似していました(それぞれ12%、11%)。有害事象により治療を中止した患者はモルヌピラビル群ではプラセボ群より少なくなりました(それぞれ1.3%、3.4%)。

 

モルヌピラビルについて

モルヌピラビル(MK-4482/EIDD-2801)はエモリー大学が100%出資する非営利バイオテクノロジー企業のDrug Innovations at Emory (DRIVE), LLCで発明されました。モルヌピラビルは経口投与が可能な強力なリボヌクレオシドアナログの治験薬で、新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2の増殖を阻害します。モルヌピラビルはSARS-CoV-2の予防投与、治療、感染防止などのいくつかの前臨床モデルにおいて活性が認められています。また、モルヌピラビルは前臨床および臨床データで、主流のSARS-CoV-2変異株に対する活性が認められています。

また、モルヌピラビルは、曝露後の発症予防として、家庭内における新型コロナウイルスの拡大を防止する効果と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同第3相試験のMOVe-AHEADも実施されています。詳しくは、https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031210281をご覧ください。

 

MOVe-OUT試験について

MOVe-OUT試験(MK-4482-002)(NCT04575597)は、二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同第3相試験で、検査により軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の診断を受けた入院していない成人患者を対象として実施されました。本試験の対象患者は、SARS-CoV-2のワクチン接種を受けておらず、重症化のリスク因子を1つ以上有し、無作為割り付け前の5日以内に発症した患者でした。MOVe-OUT試験の主要有効性評価項目では、無作為化から29日目までに入院または死亡に至った患者の割合をモルヌピラビルとプラセボで比較しました。

MOVe-OUT試験の第3相試験部分は、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、エジプト、フランス、ドイツ、グアテマラ、イスラエル、イタリア、日本、メキシコ、フィリピン、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、台湾、ウクライナ、英国、米国など世界各国の170以上の施設で実施されました。MOVe-OUT試験の詳細はclinicaltrials.govをご覧ください。

重症化リスク因子で最も多かったのは肥満、高齢(61歳以上)、糖尿病、心疾患などでした。中間解析の時点でシーケンス解析を実施したベースライン時のウイルス変異株の80%近くがデルタ株、ガンマ株、ミュー株の変異株でした。南米、欧州、アフリカにおける登録者数は全体のそれぞれ56%、23%、15%でした。

特例承認とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14 条の3第1項の規定に基づき、1.疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要、 2.当該医薬品の使用以外に適切な方法がない、3.海外で販売等が認められている、という要件を満たす医薬品について、承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良い等として、特例的な承認をする制度です。厚生労働省ホームページより

以上

MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、130年にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDは世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト( www.msd.co.jp) や  Facebook 、  Twitter 、  YouTube をご参照ください。