抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」、 化学療法との併用療法における根治切除不能な進行・再発の食道癌に対する 一次治療としての承認を取得

Save

November 25, 2021 12:00 am ET

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下 「MSD」)は、本日、抗PD-1抗体「キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))」について、以下に関する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたのでお知らせいたします。

  • 化学療法(フルオロウラシル+シスプラチン)との併用療法において、根治切除不能な進行・再発の食道癌に対する一次治療としての適応拡大

 

根治切除不能な進行・再発の食道癌に対する適応拡大について

食道がんは食道の内側(粘膜)に発生し、主に扁平上皮がんと腺がんに大別されますが、日本人では90%以上が扁平上皮がんです。最も進行した浸潤・遠隔転移の食道がんの5年生存率は約9%と低く、新たな治療手段が必要とされています*1。食道がんの国内の推定患者数は約23,000人で、年間約12,000人が亡くなっていると推定されています*2

今回の承認は、化学療法歴のない根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮癌及び食道腺癌並びに食道胃接合部(Siewert分類typeⅠ)の腺癌患者749例(日本人141例を含む)を対象とする、国際共同第Ⅲ相試験KEYNOTE-590試験結果に基づいています。同試験において、キイトルーダ®と5-フルオロウラシル(5-FU)/シスプラチンの併用療法により、プラセボと5-FU/シスプラチンのみの場合と比較して、全生存期間(OS)と治験担当医師が判定した無増悪生存期間(PFS)が有意に改善しました。全集団(ITT)において、キイトルーダ®+5-FU/シスプラチン群ではプラセボ+5-FU/シスプラチン群と比較して、OSについては死亡のリスクが27%低下(HR=0.73 [95% CI, 0.62-0.86])し、PFSについては疾患進行または死亡のリスクが35%低下(HR=0.65 [95% CI, 0.55-0.76])しました。安全性については、安全性解析対象例370例中、高頻度(20%以上)に認められた副作用は、悪心(63.0%)、食欲減退(39.2%)、貧血(38.6%)、疲労(36.5%)、好中球数減少(36.5%)、嘔吐(29.7%)、下痢(26.2%)、好中球減少(25.9%)、口内炎(25.9%)および白血球数減少(24.1%)でした。

*1: 国立がん研究センターがん対策情報センター がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2012-2013年5年生存率集計 報告書(2021年4月)

*2: 国立がん研究センターがん対策情報センター 全国がん罹患モニタリング集計 2015 年罹患数・率報告(2019年3月)

 

キイトルーダ®について

キイトルーダ®は、T細胞に主に発現する受容体であるPD-1と、腫瘍細胞に発現するそのリガンドPD-L1およびPD-L2の相互作用を阻害する抗体です。キイトルーダ®はPD-1に結合し、この受容体とリガンドとの結合を阻害することによって、T細胞に生じたPD-1経路を介する抗腫瘍活性の抑制を解除します。

キイトルーダ®は、2017年2月15日に国内で販売を開始しました。これまでに「悪性黒色腫」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)注)」「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」「がん化学療法後に増悪したPD-L1陽性の根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮癌」「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」「PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」の効能又は効果について承認を取得しています。また、前立腺がん、胃がん、肝細胞がん、子宮頸がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中です。

注) 条件付き早期承認対象

キイトルーダ®は、米国を含む93カ国で承認を取得しており、世界では現在、1,600以上の臨床試験において30種類以上のがんについて検討が行われています。

MSDは、重点分野と位置付けるがん領域で患者さんと医療従事者のニーズに応えていけるよう、革新的な医薬品の開発を進め、承認取得に向けて取り組んでいきます。

 

以上

 

MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、130年にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDは世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト( www.msd.co.jp) や  Facebook 、  Twitter 、  YouTube をご参照ください。

 

参考資料
抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」

*今回の変更・追加部分は下線で表示