軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症治療の経口抗ウイルス薬として開発中のモルヌピラビルの供給に関して日本政府と合意

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2021/11/11 00:00 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下「MSD」)は、軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症治療の経口抗ウイルス薬として開発中のモルヌピラビル(MK-4482)の供給に関して日本政府と合意しましたのでお知らせいたします。本合意は、日本においてモルヌピラビルが薬事承認後、国内の新型コロナウイルス感染症患者さんに提供できるよう、日本政府が確保するものです。

MSD、代表取締役社長のカイル・タトルは、「MSDは感染症領域で長年にわたり研究を進めてきた歴史があり、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの発生当初から、有効な対策の開発に全力で取り組んできました。モルヌピラビルで期待される効果が示されたことは嬉しく、承認後にはこの薬剤を広く提供できるよう日本政府とは今後も密に協力していきたいと考えています」と述べています。

モルヌピラビルは、第3相MOVe-OUT試験において、検査で新型コロナウイルス感染症が確認され、重症化のリスク因子を1つ以上有する、入院していない成人患者の治療薬として有効性と安全性の評価を実施したほか、現在、MOVe-AHEAD試験において新型コロナウイルスに曝露後の発症予防効果の評価を実施しています。

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は、10月に第3相MOVe-OUT試験の中間解析において、モルヌピラビルが、重症化リスク因子を有する軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の入院していない成人患者の入院または死亡のリスクを大幅に低減したという結果を発表しました。Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、MOVe-OUT試験の良好な結果が得られることを想定し、リスクを取り、モルヌピラビルの製造を開始しています。2021年末までに1000万治療コース分を生産できると見込んでおり、2022年はさらに生産を拡大していく予定です。MSDのパンデミック対応の取り組みでは、モルヌピラビルの開発に加え、Johnson & Johnsonの新型コロナウイルスワクチンの製造および供給も支援しています。

 

モルヌピラビルの臨床試験プログラムについて

MOVe-OUT試験(MK-4482-002)(NCT04575597)は、二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同第3相試験で、検査により軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の診断を受け、重症化のリスク因子(高齢、肥満、糖尿病など)を1つ以上有し、無作為割り付け前5日以内に発症した、入院していない成人患者を対象として実施されました。MOVe-OUT試験の主要有効性評価項目では、無作為化から29日目までに入院または死亡に至った患者の割合をモルヌピラビルとプラセボで比較しました。

MOVe-AHEAD試験(MK-4482-013)(NCT04939428)は、新型コロナウイルス感染症の原因となるSARS-CoV-2の家庭内感染予防におけるモルヌピラビルの経口投与の有効性と安全性をプラセボと比較する二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同第3相試験です。この試験では1,332名の被験者を登録し、モルヌピラビル(800 mg)またはプラセボを12時間おきに5日間経口投与する群に無作為に割り付けます。対象となる被験者は、5日以内に新型コロナウイルス感染症の徴候又は症状を1つ以上有するSARS-CoV-2陽性患者と同居する18歳以上の成人です。登録の7日より前に新型コロナウイルス感染症ワクチンの1回目を接種済みの者、新型コロナウイルス感染症の感染歴のある者、新型コロナウイルス感染症の徴候または症状を呈する者は対象としません。

MOVe-OUT試験およびMOVe-AHEAD試験など、モルヌピラビルの臨床試験について詳しくは、http://msdcovidresearch.com/をご覧ください。

 

モルヌピラビルのグローバルアクセス戦略について

当社はモルヌピラビルの許可や承認を取得できた場合、世界中で速やかに本剤を提供していきたいと考えており、世界銀行による国の所得基準に基づき、新型コロナウイルス感染症の公衆衛生対策における各国の相対的な経済力に応じて段階的な価格設定を採用する計画です。

この医薬品アクセス戦略の一環として、低・中所得国100カ国以上において、各国の規制当局による承認または緊急使用許可を取得後、モルヌピラビルを速やかに提供できるよう、実績のある複数のジェネリックメーカーとモルヌピラビルの非独占的で社会貢献的なライセンス契約を締結しています。

 

モルヌピラビルについて

モルヌピラビル(MK-4482/EIDD-2801)は経口投与が可能な強力なリボヌクレオシドアナログの治験薬で、新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2の複製を阻害します。モルヌピラビルはSARS-CoV-2の予防投与、治療、感染防止などのいくつかの非臨床モデルにおいて活性が認められています。また、モルヌピラビルは非臨床および臨床データで、主流のSARS-CoV-2変異株に対する活性が認められています。

モルヌピラビルはエモリー大学が100%出資する非営利バイオテクノロジー企業のDrug Innovations at Emory (DRIVE), LLCで発明されました。エモリー/DRIVEは米国国防総省および国立衛生研究所の研究助成金を受けています。モルヌピラビルは現在、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.がRidgeback Biotherapeuticsと協力して開発を進めています。RidgebackはMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.から一時金の支払いを受けており、さらに一定の開発および承認取得のマイルストンの達成に基づく支払いを受ける権利があります。この連携から生じる利益は全額、両社で均等に分割されます。Ridgebackによるライセンス供与以降、モルヌピラビルの開発資金はMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.とRidgebackのWayne and Wendy Holmanが全額提供しています。

モルヌピラビルは、曝露後の発症予防として、家庭内における新型コロナウイルスの拡大を防止する効果と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同第3相試験のMOVe-AHEADも実施されています。詳しくは、http://merckcovidresearch.comをご覧ください。

 

MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、130年にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDは世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト( www.msd.co.jp) や  Facebook 、  Twitter 、  YouTube をご参照ください。