WELIREG®(belzutifan)、前治療歴のある進行腎細胞がん(RCC)に対し、エベロリムスと比較して無増悪生存期間と客観的奏効率を有意に改善

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2023/11/17 15:01 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

この参考資料は、Merck’s WELIREG® (belzutifan) Significantly Improved Progression-Free Survival and Objective Response Rates Versus Everolimus in Certain Previously Treated Patients With Advanced Renal Cell Carcinoma (RCC) (https://www.merck.com/news/mercks-welireg-belzutifan-significantly-improved-progression-free-survival-and-objective-response-rates-versus-everolimus-in-certain-previously-treated-patients-with-advanced-renal-ce/) の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症と安全性情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。

WELIREG®(belzutifan)は日本国内では開発中の段階です。

 


参考資料

WELIREG®(belzutifan)、前治療歴のある進行腎細胞がん(RCC)に対し、
エベロリムスと比較して無増悪生存期間と客観的奏効率を有意に改善

LITESPARK-005試験の事前に規定された中間解析において、
エベロリムスと比較して疾患進行または死亡のリスクが低減

免疫チェックポイント阻害薬および血管新生阻害薬の両方による治療後に進行したRCCの二次治療以降において、
初めて良好な結果を示した第3相試験となる

2023年10月21日:ニュージャージー州ローウェイ―Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、PD-1/L1と血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする治療後に進行した成人の腎細胞がん(RCC)の治療薬として、ファーストインクラスの経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害剤WELIREGを評価する第3相LITESPARK-005試験の結果を発表しました。WELIREGは、2つの主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)と主な副次評価項目である客観的奏効率(ORR)について、エベロリムスと比較して統計学的に有意な改善が認められました。この最新の結果は本日、2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会の一般演題の中から選ばれた演題セッション(proffered paper session)で初めて発表(アブストラクト#LBA88)されるとともに、世界中の規制当局と協議が進んでいます。

事前に規定された1回目の中間解析(IA1、追跡期間の中央値:18.4カ月[範囲:9.4〜31.7カ月])において、WELIREGはエベロリムスと比較して対象患者さんの疾患進行または死亡のリスクを有意に25%低下させました(HR=0.75 [95% CI, 0.63-0.90]; p<0.001)。事前に規定された2回目の中間解析(IA2)の結果はIA1の結果と一貫していました。IA2における追跡期間の中央値は25.7カ月(範囲:16.8〜39.1カ月)で、WELIREGはエベロリムスと比較して疾患進行または死亡のリスクを26%低減しました(HR=0.74 [95% CI, 0.63-0.88])。

また、WELIREG群では、IA1においてORRが統計学的に有意に改善しました。WELIREG群ではORRは21.9%(95% CI, 17.8-26.5)、CR率は2.7%であったのに対し、エベロリムス群ではORRは3.5%(95% CI, 1.9-5.9)で、完全奏効(CR)が得られた患者さんはいませんでした。IA2においては、WELIREG群ではORRは22.7%(95% CI, 18.6-27.3)、CR率は3.5%であったのに対し、エベロリムス群ではORRは3.5%(95% CI, 1.9-5.9)で、CRが得られた患者さんはいませんでした。

また、この試験のもう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)についても、IA1(HR=0.87 [95% CI, 0.71-1.07]; p=0.096)、IA2(HR=0.88 [95% CI, 0.73-1.07]; p=0.099)においてWELIREGはエベロリムスより良好な傾向を示しましたが、統計学的に有意ではありませんでした。

LITESPARK-005試験の治験責任医師であり、Gustave Roussy Cancer Medicine Department部長のLaurence Albiges(ローレンス・アルビジーズ)教授は、「免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の両方を標的とする治療後に進行したRCCの患者さんに対する治療の選択肢は限られています。そのため、この試験において、疾患進行後のさらなる治療の選択肢を喫緊に求めている患者さんに対し、belzutifanがエベロリムスと比較して疾患進行または死亡のリスクを統計学的に有意に低下させ、奏効率が改善したことは重要な前進です」と述べています。

当社研究開発本部のグローバル臨床開発部門進行がん担当責任者シニアバイスプレジデントのMarjorie Green(マージョリー・グリーン)博士は、「今回の結果は、免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬による治療後に進行したRCCを対象とする第3相試験として初めて示された良好なデータであり、WELIREG臨床プログラムから初めて出た第3相試験データでもあります。この最新の研究によりWELIREGが対象患者さんのアウトカムを改善する可能性が示されました。当社は、WELIREGを含む様々な新規の作用機序を評価する強力な臨床開発プログラムをとおして、難治性のがんに対する研究を推進する取り組みをさらに進めてまいります」と述べています。

2023年ESMO年次総会で発表されたLITESPARK臨床開発プログラムには、進行RCCを対象としてWELIREGの評価を行う第2相試験のLITESPARK-003試験(#LBA87)やLITESPARK-013試験(#1881O)の結果も含まれています。すでにお知らせしているとおり、2023年ESMO年次総会では、当社の幅広いがんのポートフォリオおよび開発パイプラインにおける15種類以上のがんを対象とするデータが発表されました。さらに、当社が治験依頼者として実施する、フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病に伴うがん治療のメンタルヘルスに与える影響を評価する試験(#83P)も発表されました。

ダナ・ファーバーがん研究所のLank Center for Genitourinary Oncologyのディレクターでハーバード大学医学部Jerome and Nancy Kohlbergの教授であり、LITESPARK-005試験の研究責任者を務めるToni K. Choueiri(トニー・K・コーエイリ)博士は、「HIF-2α阻害剤のbelzutifanはファーストインクラスの抗がん剤であり、腎細胞がんに対して非常に良好な臨床結果を早期に示しました。LITESPARK-005試験の結果はVEGFRとPD-1/L1の両方を標的とする治療後に進行したRCCの成人患者さんのさらなる治療の選択肢に対するアンメットメディカルニーズを満たすための第一歩となります。LITESPARK臨床開発プログラム全体でRCCの一次治療、二次治療、術後補助療法についても治験を行っており、今後の結果にも期待しています」と述べています。

WELIREGは米国で承認されたファーストインクラスのHIF-2α阻害剤です。第2相LITESPARK-004試験のデータに基づき、VHL病に伴うRCC、中枢神経系血管芽腫、または膵神経内分泌腫瘍(治療を必要とするものの、ただちに手術を必要としない)成人患者の治療薬として承認されています。その他の国々でもLITESPARK-004試験に基づき規制当局による承認審査が行われています。

LITESPARK-005試験は、RCCを対象としてWELIREGを評価する4件の第3相試験からなる包括的な開発プログラムの1つです。このほかに、進行RCCに対する二次治療を対象としたLITESPARK-011、一次治療を対象としたLITESPARK-012試験および術後補助療法を対象としたLITESPARK-022試験があります。

すでに発表しているとおり、WELIREGはLITESPARK-005試験の良好な結果に基づき、免疫チェックポイント阻害薬および血管新生阻害薬による治療後に進行したRCCの成人患者に対する治療薬として、適応追加申請(sNDA)が米国食品医薬品局(FDA)の優先審査品目に指定されています。FDAにより、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の審査完了予定日が2024年1月17日に設定されました。

 

LITESPARK-005試験デザインその他のデータについて

LITESPARK-005試験は、PD-1/L1およびVEGF-TKIによる治療(順次または同時)後に進行した淡明細胞型RCCの治療として、WELIREGをエベロリムスと比較評価する無作為化非盲検第3相試験(ClinicalTrials.gov, NCT04195750)です。2つの主要評価項目はPFSとOSです。副次評価項目はORR、DOR、安全性などです。この試験では746名の患者さんを、WELIREG(120mgを1日1回経口投与する)群と、エベロリムス(10mgを1日1回経口投与する)群に無作為に割り付けました。

IA1の結果では、PFSの中央値はWELIREG投与群では5.6カ月(95% CI, 3.9-7.0)、エベロリムス投与群では5.6カ月(95% CI, 4.8-5.8)でした。IA2においては、PFSの中央値はWELIREG投与群では5.6カ月(95% CI, 3.8-6.5)、エベロリムス投与群では5.6カ月(95% CI, 4.8-5.8)でした。12カ月推定PFS率はWELIREG投与群では33.7%、エベロリムス投与群では17.6%で、18カ月推定PFS率はWELIREG投与群では22.5%、エベロリムス投与群では9.0%でした。IA1におけるOSの中央値はWELIREG投与群では21.0カ月(95% CI, 17.2-24.3)、エベロリムス投与群では17.2カ月(95% CI, 15.3-19.0)でした。IA2におけるOSの中央値はWELIREG投与群では21.4カ月(95% CI, 18.2-24.3)、エベロリムス投与群では18.1カ月(95% CI, 15.8-21.8)でした。全生存期間は今後の解析で検証します。

この試験におけるWELIREGの安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験の結果と一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されませんでした。治療関連の有害事象(TRAE)はWELIREG投与群の89%(n=331)、エベロリムス投与群の89.4%(n=322)に認められました。グレード3以上のTRAEはWELIREG投与群の38.7%、エベロリムス投与群の39.4%に認められました。有害事象により治験薬の投与中止に至ったのは、WELIREG投与群では5.9%、エベロリムス投与群では14.7%でした。死亡に至った治療関連有害事象はWELIREG投与群では0.3%(n=1)、エベロリムス投与群では0.6%(n=2)でした。

WELIREG群において原因を問わない有害事象で最も頻度が高かった(10%以上の患者に発生)のは、貧血(82.8%)、疲労(31.5%)、悪心(18.0%)、便秘(16.7%)、抹消浮腫(16.1%)、呼吸困難(15.1%)、背部痛(14.8%)、無力症、食欲減退、関節痛、低酸素症(各14.5%)、嘔吐(12.9%)、めまい(12.4%)、頭痛、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇(各12.1%)、下痢(11.8%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇(11.6%)でした。

 

腎細胞がんについて

腎細胞がん(RCC)は腎臓がんの中で圧倒的に多いタイプで、腎臓がんの約9割を占めています。男性に多く、女性の2倍多く見られます。RCCはほとんどの場合、他の腹部疾患の画像診断時に偶発的に発見されます。米国では、腎臓がんの約15%が進行がんの段階で診断されています。組織学的なサブタイプとしては淡明細胞型RCCが最も多く、すべてのRCCの約80%を占めています。

 

WELIREG®錠(belzutifan)40 mg(経口)について

米国での適応症

WELIREG(belzutifan)はフォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病に伴う腎細胞がん(RCC)、中枢神経系(CNS)血管芽腫、または膵神経内分泌腫瘍(pNET)(治療を必要とするものの、ただちに手術を必要としない)成人患者の治療薬として承認されています。

 

WELIREG®用法・用量・安全性情報について

用法・用量・安全性情報など一部情報は米国のもので、日本の情報ではありません。詳しくは当社英文リリースをご参照ください。

https://www.merck.com/news/mercks-welireg-belzutifan-significantly-improved-progression-free-survival-and-objective-response-rates-versus-everolimus-in-certain-previously-treated-patients-with-advanced-renal-ce/

 

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAのがん領域における取り組み

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAでは、画期的な科学を革新的ながん治療薬に変換して世界中のがん患者さんを助けることに取り組んでいます。当社のオンコロジー事業にとって、がんと闘う人々を助けることは私たちの情熱であり、がん治療薬へアクセスしやすくすることは私たちの責任です。また、がん領域における取り組みの一環として、医薬品業界で一二を争う急成長を遂げている開発プログラムにより、30種類以上のがんに対するがん免疫療法の可能性を模索しています。また、引き続き戦略的買収を通じてポートフォリオを強化し、進行がんの治療を改善する可能性をもつ有望ながん治療薬候補の開発を最優先に進めています。当社のオンコロジー臨床試験について詳しくは、当社ウェブサイトをご覧ください。

 

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAについて

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。詳細については、当社ウェブサイトTwitterFacebookInstagramYouTubeLinkedInをご参照ください。

 

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの将来に関する記述

このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。

リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAによる将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。

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MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookYouTubeをご参照ください。