乳がん患者さんのケアの改善を目指したワークショップを開催 早期ステージで発見される乳がん患者さんのペイシェント・ジャーニーの現状を評価した白書が公開

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2023/03/01 15:00 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下 「MSD」)は、MSDと英国経済紙EconomistのシンクタンクであるEconomist Impact社(以下、「EI社」)の協働により、早期ステージで発見される乳がん患者さんのペイシェント・ジャーニー(疾患理解、がん検診と診断、治療、サバイバーシップ)の現状を評価した白書「日本における早期乳がんのケアに繋げるための患者さんを中心とした最適なアプローチ構築に向けて:現状の課題と解決策の提言」が、EI社のウェブサイト(英語)に公開されたことをお知らせします。

MSDとEI社は、2022年9月に、乳がん患者さんのより良いケアに繋げるために、医学専門家、患者団体代表者、経済学専門家、医療政策専門家の参加のもと、「日本における乳がん患者さんのアウトカム向上を目指したカントリー・ワークショップ」を共催しました。EI社は、ワークショップで示された提言と乳がん関連制度や論文の調査・分析結果を合わせて考察し、早期ステージで発見される乳がん患者さんのペイシェント・ジャーニー(疾患理解、がん検診と診断、治療、サバイバーシップ)の現状について評価し、白書として公表しました。

白書について

1. 概要:

乳がんは、日本人女性に最も多く診断されるがん1で、がん関連死の死因の第5位2です。乳がんを早期のステージで発見できれば予後は良好である一方、進行した状態で見つかると患者さんの生命が脅かされるだけでなく、QOLの低下、経済的負担、家族や社会の負担なども大きくなります。

早期ステージで発見される乳がん(早期乳がん)について、患者さんを中心とする診断と治療の流れを理解し、乳がん管理におけるアンメットニーズを調査することによって、日本における早期乳がんのケアを改善できる余地があると考えられました。ワークショップで示された提言と乳がん関連制度や論文の調査・分析結果を合わせて考察するアプローチを用い、フォースフィールド分析(目標達成のために働く推進力と抑止力を分析する手法)をデザインしました。ペイシェント・ジャーニー上の4つの領域である、疾患理解、がん検診と診断、治療、サバイバーシップについて、既存の医療政策とがんに関連する制度上のパフォーマンスの評価を行いました。

2. 主な調査結果:

  • 疾患理解:早期乳がんケアを最適化するためには、ヘルスリテラシーとブレストアウェアネス(乳房を意識する生活習慣)の向上が基本ですが、日本では乳がんの徴候や症状についての知識が乏しい状況であることがわかりました。
  • がん検診と診断:現在の国民生活基礎調査による分析では、がん検診の実態の把握は困難であり問題視されています。特に職域におけるがん検診の正確な実態が把握できていません。がん検診の受診率も低いままであり、乳がんの早期発見、診断につながっていないことが明らかになりました。
  • 治療:日本は革新的な治療法や個別化医療に注力し、患者さん中心の治療を向上させることを目指しています。国民皆保険で医療機関へのフリーアクセスが確保され、がん患者さんをサポートする制度も準備されている一方で、制度の理解や活用が十分ではなく、経済的負担に悩む患者さんもいることが判明しました。
  • サバイバーシップ:患者さん中心のケアを実現するためには、乳がんサバイバーに対するフォローアップケアと継続的な支援が重要だと考えられますが、日本では注力されていません。特に、心理的なサポートは、必要性が認識されているものの、アンメットニーズとして残っていることがわかりました。

3. 白書が公開されているウェブサイト(英語のみ):

https://impact.economist.com/perspectives/health/enhancing-patient-centred-approaches-optimise-early-breast-cancer-care-review-current-practice-and

MSDは、この度の白書を起点として、関連するステークホルダーとの協働を継続し、乳がんケアの改善に向けて取り組んでいきます。

*1 Liu R, Kitamura Y, Kitamura T, Sobue T, Sado J, Sugawara Y, Matsuo K, Nakayama T, Tsuji I, Ito H, Suzuki T, Katanoda K, TominagaS. Three-Prefecture Cohort Study Group. Reproductive and lifestyle factors related to breast cancer among Japanese women: An observational cohort study. Medicine (Baltimore). 2019.

*2 Nakamura K, Okada E, Ukawa S, Hirata M, Nagai A, Yamagata Z, Kiyohara Y, Muto K, Kamatani Y, Ninomiya T, Matsuda K, Kubo M, Nakamura Y. Characteristics and prognosis of Japanese female breast cancer patients: The BioBank Japan project. Journal of Epidemiology 2017.

MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト( www.msd.co.jp)や Facebook 、 Twitter 、  YouTube をご参照ください。

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