【47都道府県 一般生活者11,280名の健康に対する意識・実態調査】 3人に1人は、自分が健康ではないと思っている そのうち4割以上の人は病気を予防するための取り組みをしていない 予防をしない主な理由は「何をすればよいかわからないから」「お金がかかるから」「面倒だから」

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2020/07/16 00:00 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:ヤニー・ウェストハイゼン)は、全国47都道府県の30代から60代の男女11,280名(各都道府県240名:男女半数)を対象に、健康に対する意識と実態を明らかにし、ご自身の健康行動を見直すきっかけにしていただくこと、また、自治体などで健康・医療施策を検討する際の参考としていただくことを目的にアンケート調査を行いました。(調査期間:2019年12月18日~24日)

〈調査結果のポイント〉

  • 3人に1人(35.7%)は自分が「あまり健康ではないと思う」「健康ではないと思う」と回答
    そのうち、4割以上(43.1%)は「病気予防のための取り組みをしていない」と回答
  • 3割以上(32.6%)が健康診断を毎年受けておらず、約2割(17.6%)は5年以上受けていない
  • 健康診断で再検査が必要になったが、約2割(17.6%)の人が再検査を受けなかったと回答、
    30代では約3割(29.9%)と3人に1人は再検査を受けていない
  • 約7割(65.2%)が「かかりつけ医がいない」と回答。60代以上でも半数以上(51.2%)
    一方、半数以上(55.6%)がお薬手帳を持ち、活用していると回答
  • 健康情報の入手先の上位はTV(61.4%)、WEBニュース(28.9%)、新聞(23.2%)、半数以上
    (54.2%)が入手した健康情報を活用・実践している
  • 約3割(29.4%)が国民皆保険制度を「今のまま維持すべき」と回答。年代別では30代が
    約2割(20.7%)、60代が約4割(41.2%)と約2倍の開き
  • 健康、病気の予防に対する意識と実態
    • この1年間を振り返り、自分が健康であると思うかという質問に対し、「あまり健康ではないと思う」と答えた人が28.7%(3,236人/11,280人)、「健康ではないと思う」と答えた人が7.0%(794人/11,280人)と、合わせて3人に1人(35.7%:4,030人/11,280人)は自分が健康ではないと思っていることがわかりました。(Q1:単一回答)
    • また、自分が健康ではないと思っている4,030人に、この1年間で、病気の予防のためにしたことがあるか聞いたところ、「ある」と答えた人は39.1%(1,574人/4,030人)、「ない」と答えた人は、43.1%(1,735人/4,030人)、「わからない/覚えていない」が17.9%(721人/4,030人)となり、健康ではないと思っている人の4割以上は病気の予防のための取り組みをしていないことが明らかになりました。一方、自分が健康であると思っている7,250人では、病気の予防のためにしたことが「ある」と答えた人は44.6%(3,236人/7,250人)、「ない」と答えた人は40.0%(2,897人/7,250人)、「わからない/覚えていない」が15.4%(1,117人/7,250人)となりました。(Q14:単一回答)
    • 病気の予防のために何もしていない理由として最も多いのは「何をすればよいかわからないから」(34.2%、594人/1,735人)、次いで「お金がかかるから」(29.3%、508人/1,735人)、「面倒だから」(28.1%、487人/1,735人)(Q15-B:複数回答)
  • 健康診断の受診実態
    • 定期健康診断(一般健康診断)を「毎年必ず受けている」という人は62.5%(7,053人/11,280人)と6割以上に上るものの、3割以上の人(32.6%、3,681人/11,280人)は健康診断を毎年は受診していないことが明らかになりました。内訳をみると、「2年に1度くらいは受けている」が9.2%(1,035人/11,280人)、「3~4年に1度くらいは受けている」が5.8%(657人/11,280人)、「5年以上受けていない」が11.7%(1,320人/11,280人)、「健康診断を受けたことがない」が5.9%(669人/11,280人)、「わからない/覚えていない」が4.8%(546人/11,280人)となり、約2割の人が5年以上など長期間にわたり健康診断を受診していないことが明らかになりました。(Q8:単一回答)
    • 定期健康診断の受診状況を加入している健康保険別で見たところ、「毎年必ず受けている」と回答した割合が国民健康保険の人で45.7%(1,574人/3,441人)、企業・団体・自治体等の健康保険の人で73.5%(5,261人/7,159人)となり差が生じていました。また、「5年以上受けていない」と回答したのは国民健康保険で19.4%(666人/3,441人)、企業・団体・自治体等の健康保険で7.9%(565人/7,159人)と同様の差が見られました。(Q8:単一回答)
    • また、健康診断を受診したきっかけを聞いたところ、「健康状態が気になったから」という回答を選んだ人が、国民健康保険の人で29.1%(851人/2,929人)、企業・団体・自治体等の健康保険の人で15.0%(1,017人/6,762人)と約2倍の開きが見られ、国民健康保険の人は健康状態が気になるまで健康診断の受診を控える傾向にあることがうかがえました。(Q9:複数回答)
    • 健康診断の結果で再検査が必要になった人の約2割(17.6%、898人/5,098人)が、再検査を「受けなかった」と回答。年代別では、30代が29.9%(222人/742人)、40代が20.5%(254人/1,239人)、50代が16.3%(242人/1,489人)、60代が11.1%(180人/1,628人)となり、30代で再検査を受けなかった割合が特に高い結果となりました。(Q10-1:単一回答)
    • 再検査を受けなかった理由で最も多いのは「面倒だったから」(33.7%、303人/898人)、次いで「大きな問題ではないと思ったから」(32.4%、291人/898人)、「忙しくて時間がなかったから」(26.4%、237人/898人)となり、再検査を受けない割合が高かった30代でも「面倒だったから」(35.6%、79人/222人)、「忙しくて時間がなかったから」(31.1%、69人/222人)、「大きな問題ではないと思ったから」(27.9%、62人/222人)と同じような理由が挙がりました。(Q11-1-B:複数回答)
  • 通院、服薬管理の実態
    • 「かかりつけ医*」がいますかという質問に対し、「いいえ」と答えた人は65.2%(7,350人/11,280人)と約7割の人がかかりつけ医がいない状況が明らかになりました。年代別では、30代が76.3%(2,152人/2,820人)、40代が70.7%(1,994人/2,820人)、50代が62.4%(1,759人/2,820人)、60代が51.2%(1,445人/2,820人)と、60代でも過半数には届かない結果となっています。(Q17:単一回答)
      *「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」という定義を補足し、質問
    • かかりつけ医がいない割合を加入している健康保険別で見ると、国民健康保険の人で58.6%(2,015人/3,441人)、企業・団体・自治体等の健康保険の人で67.4%(4,827人/7,159人)と約10%の開きが見られました。(Q17:単一回答)
    • お薬手帳(アプリを含む)を活用している人は55.6%(6,269人/11,280人)と半数以上になりました。年代別では、60代で65.6%(1,850人/2,820人)、50代で57.2%(1,612人/2,820人)、40代で52.1%(1,469人/2,820人)と半数を超え、30代でも47.4%(1,338人/2,820人)と半数近くの人がお薬手帳を活用していました。(Q19:単一回答) その理由としては、「服用している薬を管理するため」が53.5%(3,354人/6,269人)と最も多く、「医療従事者(医師・看護師・薬剤師など)から勧められたから」37.1%(2,328人/6,269人)、「薬局で支払う費用が安くなるから」24.5%(1,534人/6,269人)と続きました。(Q20:複数回答)
  • 健康情報の入手と活用に関する実態
    • 健康に関する情報の入手先として最も多かったのは、「テレビ」で61.4%(6,928人/11,280人)、次いで「WEBニュース」(28.9%、3,259人/11,280人)、「新聞」(23.2%、2,619人/11,280人)。一方、22.3%(2,511人/11,280人)は特に健康に関する情報を収集していませんでした。(Q22:複数回答)
    • 情報の入手先を年代別で見ると、30代では「テレビ」(57.1%、1,609人/2,820人)、「WEBニュース」(32.3%、910人/2,820人)、「家族・親戚・身近な人」(13.3%、376人/2,820人)、40代では「テレビ」(56.9%、1,604人/2,820人)、「WEBニュース」(30.3%、855人/2,820人)、「新聞」(17.5%、494人/2,820人)、50代では「テレビ」(63.5%、1,790人/2,820人)、「WEBニュース」(28.5%、803人/2,820人)、「新聞」(25.7%、726人/2,820人)、60代では「テレビ」(68.3%、1,925人/2,820人)、「新聞」(36.8%、1,037人/2,820人)、「WEBニュース」(24.5%、691人/2,820人)と、いずれの年代でも、テレビとWEBニュースは情報源の上位3つに入っていました。(Q22:複数回答)
    • 入手した健康情報を自身の健康維持・増進のために活用/実践していると答えた人は、「よく活用/実践している」(8.0%、702人/8,769人)、「たまに活用/実践している」(46.2%、4,048人/8,769人)と半数以上の人が 入手した健康情報を試してみていることが明らかになりました。特に60代ではその傾向があり、「よく活用/実践している」(11.4%、275人/2,421人)、「たまに活用/実践している」(52.7%、1,275人/2,421人)と6割以上の人が活用/実践していることがわかりました。(Q24:単一回答)
    • 入手した健康情報を他の人に紹介するか否かを質問したところ、「直接伝える・紹介する」という割合が24.0%(2,705人/11,280人)であったのに対し、「インターネット(ブログ・SNSなど)を通じて伝える・紹介する」という割合は、8.1%(916人/11,280人)と差が見られました。(Q25:単一回答)
  • 医療費・医療制度に対する意識
    • 日本において、国家予算における医療費の増加が問題になっていることを知っているかという質問に対し、「見聞きしたことがあり、内容も詳しく知っている」と答えた人が21.5%(2,429人/11,280人)に上りました。  年代別では30代で15.1%(425人/2,820人)、40代で17.5%(493人/2,820人)、50代で22.4%(631人/2,820人)、60代で31.2%(880人/2,820人)となりました。一方、「知らない/見聞きしたことはない」と回答した人は27.4%(3,088人/11,280人)に上りました。年代別では、30代で40.9%(1,152人/2,820人)、40代で32.5%(917人/2,820人)、50代で22.4%(632人/2,820人)、60代で13.7%(387人/2,820人)と差が見られました。(Q31:単一回答)
    • 現在の国民皆保険制度に対する考えを伺ったところ、約3割(29.4%、3,319人/11,280人)の人が「今の制度のまま維持すべき」と回答。年代別で見ると、30代で20.7%(584人/2,820人)、40代で24.5%(691人/2,820人)、50代で31.3%(882人/2,820人)、60代で41.2%(1,162人/2,820人)と、上の年代の人ほどその割合は多くなり、現在の国民皆保険制度への賛同が多いことがわかりました。一方、30代、40代では「わからない/当てはまるものはない」という回答が他の選択肢よりも多く、年代差が見られました(30代:36.2%、1,020人/2,820人)(40代:32.8%、924人/2,820人)。(Q33:単一回答)

<聖路加国際大学大学院 看護学研究科 看護情報学分野 教授 中山和弘先生のコメント>

 日本全国の30代から60代の一般生活者を対象に、健康診断の受診状況や病気予防への取り組みなど、健康・医療に対する意識・実態を調べた今回の調査からは、日本においては依然として健康意識や病気の予防などに関し、改善する余地があることが浮き彫りになりました。

 実際に、病気に罹らないように予防の取り組みをしている人は4割未満にとどまりましたし、年齢が上がるにしたがって意識が高まるのは自然なことだと思いますが、最も高い60代でも半数程度にとどまる結果となりました。予防のための取り組みをしない理由として最も多かった答えが、3割以上の人があげた「何をすればよいかわからないから」というものでした。新型コロナウイルスの感染拡大を経験している現在の環境下では大きく意識・行動が異なっているかと思いますが、予防のために「何をすればよいかわからない」という点に関しては、玉石混交の情報があふれる現代社会においては同じ悩みを抱える人は多くいるはずです。

 日本では、健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力を表す「ヘルスリテラシー」が諸外国と比較して低いということが別の調査結果*からも明らかになっています。今回の調査結果のみで一概に県別の比較を行うことは難しいですが、全国では総じて健康意識や健康行動を実践する割合が高くはなかったことからも、全国規模での対策が求められています。国も推し進める予防医療を浸透させるためには情報の充実だけではなく、適切な情報を入手するための基準やヒントを専門知識がなくても理解できるように分かりやすく伝えることが重要です。

 現在、市民の健康維持は、国や各自治体が最も重視する政策の一つであり、市民に健康に関する情報を届け、行動に移していただくために、様々な取り組みを行っているところですが、今回の調査結果を見ると、国や自治体を健康情報の入手先とした回答者はいずれも1割未満にとどまり、国や自治体からの情報が十分に活用されていないことを示しています。アメリカではCDC(アメリカ疾病予防管理センター)、NIH(国立衛生研究所)、MedlinePlus(国立医学図書館)、イギリスではNHS(国民保健サービス)といった公的機関が提供する健康情報が分かりやすく信頼性が高いとして、多くの方々に利用されています。日本においても、一般市民の方が「ここにさえ行けば」と思える、もしくはインターネットで検索すれば必ず出てくるような、安心して入手し、利用できる健康・医療情報の発信者としての役割を国や自治体は求められています。

 新型コロナウイルス感染症のこともあり、今まで以上に国や各自治体が果たす役割は増していますし、市民の方々の健康維持、病気予防に対する意識は高まっているはずです。今回の調査では、新型コロナウイルス感染症の流行前に実施されたにもかかわらず、半数近くの人が「感染症予防のための手洗い・うがい」を実践していました。このように既に実践されている健康行動の多くが習慣化できるものであることからも、子どもの頃から健康行動の習慣化の重要性、ひいては健康教育の重要性を表しています。国や自治体は今一度、健康教育の重要性を見直すべきでしょう。

*Nakayama K, et al. BMC Public Health. 2015

以 上

【参考資料】 MSD株式会社「全国健康意識・実態調査」調査結果詳細(1,053KB)

MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、125年以上にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDは世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト( www.msd.co.jp)や Facebook 、 Twitter 、  YouTube をご参照ください。

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