WINREVAIR™(ソタテルセプト)、第3相ZENITH試験において複合エンドポイント(全死亡、肺移植、肺動脈性肺高血圧症[PAH]による入院)のリスクをプラセボと比較して76%低下

Download icon Save as PDF

2025/04/15 15:00 JST

報道関係各位

MSD株式会社

この参考資料は、WINREVAIR™ (sotatercept-csrk) Reduced the Risk of a Composite of All-Cause Death, Lung Transplantation and Hospitalization for Pulmonary Arterial Hypertension (PAH) by 76% Compared to Placebo in the Phase 3 ZENITH Trial (https://www.merck.com/news/winrevair-sotatercept-csrk-reduced-the-risk-of-a-composite-of-all-cause-death-lung-transplantation-and-hospitalization-for-pulmonary-arterial-hypertension-pah-by-76-compared-to-placebo-i/) の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症と安全性情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。

ソタテルセプトは、日本国内では肺動脈性肺高血圧症治療薬として承認申請中です。


参考資料

WINREVAIR™(ソタテルセプト)、第3相ZENITH試験において複合エンドポイント(全死亡、
肺移植、肺動脈性肺高血圧症[PAH]による入院)のリスクをプラセボと比較して76%低下

WINREVAIR™は、最大耐量のPAHバックグラウンド治療を実施中の死亡リスクの高いWHO*機能分類(FC)IIIまたはIVのPAH(Group 1 PH)成人患者において、
主要エンドポイントである重要な疾患状態の悪化/死亡イベントのリスクを有意に低下

ZENITH試験の結果は本日ACC.25のLate Breaking演題として口頭発表され、
同時にThe New England Journal of Medicine誌にも掲載

2025年3月31日:ニュージャージー州ローウェイ Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、最大耐量のPAHバックグラウンド治療を受けている死亡リスクの高いWHO*機能分類(FC)IIIまたはIVの肺動脈性肺高血圧症(PAH Group 1 PH)の成人患者を対象として、WINREVAIR™(ソタテルセプト)をプラセボと比較評価する第3相ZENITH試験の結果を初めて発表したことをお知らせします。中央値10.6カ月のフォローアップ期間(範囲:0.3〜26.1カ月)において、WINREVAIR™は重要な疾患状態の悪化/死亡イベント(全死亡、肺移植、およびPAH悪化に関連する24時間以上の入院の複合イベント)の相対リスクをプラセボと比較して76%低下させました(HR=0.24 [95% CI, 0.13-0.43]; p<0.0001[片側])。一つ以上の重要な疾患状態の悪化/死亡イベントが認められた患者は、WINREVAIR™群では17.4%(n=15/86)、プラセボ群では54.7%(n=47/86)でした。ZENITH試験におけるWINREVAIR™の安全性プロファイルはこれまでの試験で確認された結果と概ね一貫していました。

この結果は本日、American College of Cardiology’s Annual Scientific Session and Expo(ACC.25、米国心臓学会学術集会)のLate Breaking演題として口頭発表され、同時にThe New England Journal of Medicine誌にも掲載されました。なお、当社は2024年11月に、独立データモニタリング委員会の勧告により、ZENITH試験で非常に優れた有効性が認められたことから同試験を早期終了し、全登録患者に対し、非盲検継続投与試験のSOTERIA試験を通してWINREVAIR™の投与を受ける機会を提供することを発表しましたが、今回の発表はこれに続くものです。

University Paris-SaclayおよびInserm Unit 999のHospital Bicêtre (AP-HP)のDepartment of Respiratory and Intensive Care Medicineに所属するMarc Humbert(マーク・アンベール)博士は、「ZENITH試験は、主要エンドポイントとして、重要なアウトカム指標(全死亡、肺移植、またはPAHによる入院)のみを評価項目に含めた初のPAH臨床試験です。WINREVAIR™がこれらの複合的な評価項目に対し有意で臨床的に意義のある影響を及ぼすことが示された今回のデータは、臨床開発プログラムで蓄積されるエビデンスと合わせ、WINREVAIR™が幅広いPAH患者さんの診療を変革する可能性を示唆するものです」と述べています。

当社研究開発本部シニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサーのEliav Barr(エリアブ・バール)博士は、「ZENITH試験では、WINREVAIR™を投与した患者さんにおいて、全死亡、肺移植およびPAHの入院の複合エンドポイントのリスクがプラセボと比較して76パーセント低下し、優れた結果が得られました。改善は治療の早い段階から認められ、試験期間全体でベネフィットが拡大しました。ZENITH試験は、非常に優れた有効性が認められたことから早期終了した初のPAH臨床試験であり、PAHコミュニティーに希望をもたらす臨床研究の重要な節目となります」と述べています。

この試験は、主要評価項目において非常に優れた有効性が認められたことから早期終了となりましたが、主な副次評価項目である全生存期間は、中間解析での統計的有意性を確立するための条件として厳しく設定した有意水準(p<0.0021)に到達しませんでした(HR=0.42 [95% CI, 0.17-1.07]; p=0.0313])。その他の副次評価項目はWINREVAIR™群で数値的に改善が認められましたが、事前に規定された階層的検定手順に従い、正式な検定は実施されませんでした。

ZENITH試験はPAHの成人患者においてWINREVAIR™の有効性が示された2つ目の第3相試験です。一つ目の試験はACC.23で発表された第3相STELLAR試験です。ZENITH試験の結果は世界中の規制当局に共有してまいります。WINREVAIR™は現在、STELLAR試験の結果に基づき40カ国以上で承認されています。

なお、当社は2025年1月に、新たに診断されたWHO FC IIまたはIIIで、疾患進行のリスクが中から高のPAH患者を対象に、PAHのバックグラウンド治療にWINREVAIR™を追加した場合について評価する第3相HYPERION試験を早期終了し、最終解析に進むことを発表しました。HYPERION試験を完了前に打ち切り、患者にWINREVAIR™の投与を受ける機会をSOTERIA試験(非盲検の継続投与試験)により提供するという判断は、ZENITH試験の中間解析の良好な結果と、これまでのWINREVAIR™臨床プログラムのデータ全体のレビューに基づくものになります。HYPERION試験の結果は今年中に公表し、今後の医学学会で発表する予定です。

* 世界保健機関

ZENITH試験のデザインおよびその他のデータ

ZENITH試験(NCT04896008)は、最大耐量のPAHバックグラウンド治療を受けている死亡リスクの高いWHO FC IIIまたはIVのPAHの成人患者を対象として、WINREVAIR™をプラセボと比較評価する第3相多施設共同二重盲検プラセボ対照臨床試験です。主要評価項目は、最初の疾患状態の悪化/死亡イベント(全死亡、肺移植、またはPAH悪化に関連する24時間以上の入院と定義)が確認されるまでの時間でした。副次評価項目は、全生存期間、無移植生存期間等でした。

本試験では、最大耐量のPAHバックグラウンド治療を受けている172名の患者を組み入れ、WINREVAIR™(初回来院時に0.3 mg/kg、その後0.7 mg/kg)を3週間ごとに投与する群(n=86)、またはプラセボ群(n=86)に1:1の割合で無作為に割り付けました。試験集団特性は以下のとおりです。平均年齢 [±SD] 54.4 ± 14.3歳、白人87%、女性の割合は77%でした。無作為に割り付けた患者のうち124名(72.1%)が3剤併用療法、48名(27.9%)が2剤併用療法、102名(59.3%)がプロスタサイクリン注射剤の投与を受けていました。さらに、WINREVAIR™群の25.6%、プラセボ群の30.2%の患者が結合組織病に伴うPAHでした。人口統計学的特性およびベースライン特性はWINREVAIR™群とプラセボ群で類似していました。

主要複合エンドポイントの各項目を個別アウトカムとして検討したところ、それらの結果は全般的な治療効果と方向的に一貫していました。WINREVAIR™群では7名(8.1%)、プラセボ群では13名(15.1%)が死亡しました。WINREVAIR™群では1名(1.2%)、プラセボ群では6名(7.0%)が肺移植を実施しました。WINREVAIR™群では8名(9.0%)、プラセボ群では43名(50.0%)がPAHにより入院しました。複数の項目を重複して認めた患者もいました。

WINREVAIR™の安全性プロファイルはこれまでの試験で確認された結果と概ね一貫していました。ZENITH試験ではWINREVAIR™群で有害事象により投与を中止した患者は認められませんでした。重篤な有害事象はWINREVAIR™群の53.5%、プラセボ群の64.0%の患者に発生しました。治験薬に関連した有害事象(TRAE)はWINREVAIR™群の65.1%、プラセボ群の32.6%の患者に発生し、重篤なTRAEはそれぞれ3.5%、2.3%の患者に発生しました。出血事象はWINREVAIR™群の62.8%、プラセボ群の34.9%の患者に発生しました(ほとんどは重篤でない鼻出血および歯肉出血)。重篤な出血事象のリスクには1.1%の差がありましたが(それぞれ5.8%、4.7%)、両群間で同様と考えられました。死亡に至った有害事象は、WINREVAIR™群では5名(5.8%)、プラセボ群では12名(14.0%)の患者で発生しました。プラセボ群よりWINREVAIR™群で発生頻度の高かった有害事象は、皮膚上の毛細血管拡張症(それぞれ25.6%、3.5%)、ヘモグロビン値の増加(12.8%、1.2%)、血小板減少症(14.0%、8.1%)でした。

ZENITH試験を完了した登録患者には、非盲検長期継続投与試験であるSOTERIA試験(NCT04796337)において、この試験の適格基準に従い、WINREVAIR™の投与を受ける機会が提供されました。

WINREVAIR™(sotatercept)注射用45 mg、60 mgについて

WINREVAIR™は肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)の成人患者において、運動耐容能を向上させ、WHO FCを改善し、臨床的悪化のイベントリスクを低下させるPAHの治療薬としてFDAに承認されました。WINREVAIR™は、増殖を促進するシグナル伝達経路と増殖を抑制するシグナル伝達経路のバランスを改善し、血管構成細胞の増殖を制御します。非臨床モデルでは、これらの細胞に対する作用により、血管壁厚の減少、部分的な右室のリバースリモデリング、並びに血行動態の改善が認められました。

WINREVAIR™はBristol Myers Squibbとのライセンス契約の対象です。

WINREVAIR™の安全性情報について

安全性情報など一部情報は米国のもので、日本の情報ではありません。詳しくは当社英文リリースをご参照ください。

https://www.merck.com/news/winrevair-sotatercept-csrk-reduced-the-risk-of-a-composite-of-all-cause-death-lung-transplantation-and-hospitalization-for-pulmonary-arterial-hypertension-pah-by-76-compared-to-placebo-i/

PAHについて

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺小動脈の狭窄と肺循環系の血圧上昇を特徴とする進行性の命に関わる希少疾患です。米国でのPAH患者数は約40,000人です。速く進行してしまうケースも多くあります。PAHにより心臓に非常に大きな負担がかかり、身体活動の制約、心不全、生命予後の短縮につながります。PAHの5年死亡率は約43%です。

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAについて

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。詳細については、当社ウェブサイトX(旧Twitter)FacebookInstagramYouTubeLinkedInをご参照ください。

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAの将来に関する記述

このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、当社経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。

リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、米国および世界における医薬品業界の規制やヘルスケア関連の法制度が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、当社による将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、革新的製品に対する当社の特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。

当社は、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、当社に関するForm 10-Kの2024年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。

###


MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookInstagramYouTubeをご参照ください。