Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A. 成人向けに特化して設計された、開発中の 21価肺炎球菌結合型ワクチンV116の良好なデータを発表 成人における免疫応答を示す

Save Print

2024/03/22 15:00 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

この参考資料は、Merck Announces Positive Data on V116, an Investigational, 21-Valent Pneumococcal Conjugate Vaccine Specifically Designed for Adults, Demonstrated Immune Responses in Adults (https://www.merck.com/news/merck-announces-positive-data-on-v116-an-investigational-21-valent-pneumococcal-conjugate-vaccine-specifically-designed-for-adults-demonstrated-immune-responses-in-adults/ ) の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症や安全性情報、疫学情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。

21価肺炎球菌結合型ワクチンは、日本国内では開発中の段階です。


参考資料

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.
成人向けに特化して設計された、開発中の
21価肺炎球菌結合型ワクチンV116の良好なデータを発表
成人における免疫応答を示す

V116を評価する複数の第3相試験と
肺炎球菌血清型に関するリアルワールドエビデンス試験の結果を
第13回国際肺炎・肺炎球菌性疾患学会
(International Society of Pneumonia and Pneumococcal Diseases: ISPPD)で発表

承認されれば、V116は初めて成人向けに特化して設計された肺炎球菌結合型ワクチンに

2024年3月19日:ニュージャージー州ローウェイ Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、成人向けに特化して設計された、開発中の21価肺炎球菌結合型ワクチンV116を評価した複数の第3相試験で得られた良好なデータを、南アフリカのケープタウンで開催されている第13回国際肺炎・肺炎球菌性疾患学会(International Society of Pneumonia and Pneumococcal Diseases: ISPPD)で発表しました。

今回発表された臨床試験で、V116は、肺炎球菌ワクチン接種歴のない成人、肺炎球菌ワクチン接種歴のある成人、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者を含む肺炎球菌感染症のリスクの高い成人などの様々な成人集団において、ワクチンが対応する全21種類の血清型に対して免疫原性を示しました。またV116固有の血清型については、本学会で発表されたすべてのSTRIDE試験(一連のV116試験プログラム)で、比較対照とされたワクチンより高い免疫応答が誘導されました。

Emory Universityの医学部疫学・グローバルヘルス・小児科の名誉教授で、Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.の科学諮問委員会委員を務めるWalter Orenstein(ウォルター・オレンスタイン)博士は、「侵襲性肺炎球菌感染症や肺炎球菌性肺炎は、特に高齢者や免疫が低下した人では重症化することがあります。今回の良好なデータにより、V116が成人の肺炎球菌感染症予防のアンメットニーズに対応できる可能性が示されました」と述べています。

各試験の主な結果

  • 肺炎球菌ワクチン接種歴のない50歳以上の成人(STRIDE-3試験サブグループ)において、V116は試験対象のすべての年齢層(50〜64歳、65〜74歳、75〜84歳)で、全21種類の血清型に対する免疫原性を示しました。免疫原性は接種後30日目の血清型特異的オプソニン化貪食活性(OPA)の幾何平均抗体価(GMT)で評価されました。
  • 肺炎球菌ワクチン接種歴のある50歳以上の成人(STRIDE-6試験)において、V116はPCV15(15価肺炎球菌結合型ワクチン)またはPPSV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン)と比較して共通の血清型については同程度の免疫応答を誘導し、V116のみが対応する血清型についてはより高い免疫応答を誘導しました。これは以前に接種した肺炎球菌ワクチンの種類や前回接種からの経過時間に関わらず認められました。免疫応答は接種後30日目の血清型特異的OPA GMTで評価されました。
  • 18歳以上のHIV感染者(STRIDE-7試験)において、V116はPCV15+PPSV23と比較して共通の全13種類の血清型については同程度の免疫応答を誘導し、V116のみが対応する8種類の血清型についてはより高い免疫応答を誘導しました。免疫応答は接種後30日目の血清型特異的OPA GMTおよび免疫グロブリンG(IgG)幾何平均濃度(GMC)で評価されました。
  • 発表したすべての試験において、V116の安全性プロファイルは、比較対照としたPCV20(20価肺炎球菌結合型ワクチン)、PCV15、PPSV23と同様でした。

当社研究開発本部シニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサーのEliav Barr(エリアブ・バール)博士は、「当社はV116が幅広い成人層に臨床的価値をもたらす可能性があると考えており、こうした私たちの確信は、今週発表された広範なデータで改めて確認されました。V116が成人の侵襲性肺炎球菌感染症の大半の原因である血清型に対する免疫応答を誘導することがこれらの試験の結果で示され、心強く思います」と述べています。

V116の第3相臨床試験データに加え、当社は米国で実施しているリアルワールドエビデンス試験のPNEUMO(Pneumococcal Pneumonia Epidemiology, Urine Serotyping, and Mental Outcomes)試験の中間データも発表しました。この試験では、2018〜2022年に市中肺炎で入院した50歳以上の2,065名の成人患者から242株の肺炎球菌血清型が検出されました。V116はこれらの株の約84%に対応しています。検出された株の4分の1(約25%)は、V116のみが対応する血清型の株で、PCV15またはPCV20では対応していない血清型の株でした。

PNEUMO試験の結果では、V116が対応する血清型が、50歳以上の成人肺炎球菌感染症(侵襲性、非侵襲性)の大半を占めていることが示されています。このデータは米国疾病予防管理センター(CDC)の2018〜2021年の侵襲性肺炎球菌感染症の調査データとも一貫しており、CDCの調査によると、V116は米国における65歳以上の成人侵襲性肺炎球菌感染症の約83%を占める血清型に対応しており、そのうちV116のみが対応している8種類の血清型は約30%を占めています。

米国食品医薬品局(FDA)に提出した承認申請には、ISPPDで発表された複数の試験が含まれています。V116はFDAの優先審査品目に指定され、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の審査完了予定日は2024年6月17日に設定されています。V116は、承認されれば、初めて成人向けに特化して設計された肺炎球菌結合型ワクチンとなります。V116の後期開発プログラムの概要はこちらをご覧ください。

ISPPDで発表された試験結果の概要

STRIDE-3試験サブグループのデータ(アブストラクト#379)

ピボタル試験であるSTRIDE-3試験(NCT05425732)のサブグループ解析では、肺炎球菌ワクチン接種歴のない50歳以上の成人(コホート1)における年齢層別(50〜64歳、65〜74歳、75〜84歳)(n=2,362)の免疫原性が評価されました。この試験で、V116はすべての年齢層において、全21種類の血清型に対する免疫原性を示しました。免疫原性は接種後30日目の血清型特異的OPA GMTで評価されました。65〜74歳および75歳以上では、50〜64歳よりやや免疫応答が低い傾向が認められました。V116の安全性プロファイルはPCV20と同様でした。STRIDE-3試験の結果は2023年11月にWorld Vaccine Congress West Coastで発表されました。

STRIDE-6試験およびSTRIDE−6試験サブグループのデータ(アブストラクト#353、#520)

STRIDE-6試験(NCT05420961)は、1年以上前に肺炎球菌ワクチンを接種したことのある50歳以上の成人(n=712)を対象としてV116を評価する第3相試験です。PPSV23、PCV15、PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン)、PPSV23+PCV13、PCV13+PPSV23またはPCV15+PPSV23による肺炎球菌ワクチン接種歴のある人を対象に、V116、PCV15またはPPSV23を接種しました。

この試験で、V116は全コホートで免疫原性(接種後30日目のOPA GMT)を示し、V116はPCV15およびPPSV23が対応する血清型については同程度の免疫応答を、V116のみが対応する血清型についてはより高い免疫応答を誘導しました。前回の肺炎球菌ワクチン接種からの経過時間別で全コホートの免疫原性を評価したSTRIDE-6サブグループ解析では、PPSV23の接種から10年以上(n=56)、PPSV23またはその他の肺炎球菌ワクチンの接種から5~9年(n=208)が経過している場合を含め、前回の肺炎球菌ワクチン接種からの経過時間に関わらずV116が同程度の免疫応答を誘導したことが確認されました。この試験において、V116の安全性プロファイルはPCV15およびPPSV23のいずれとも同様でした。

STRIDE-7試験のデータ(アブストラクト#1093)

STRIDE-7試験(NCT05393037)は、HIVに感染した成人(n=304)を対象としてV116を評価する第3相二重盲検試験です。この試験で、V116は、対応する全血清型に対する免疫原性(接種後30日目のOPA GMTおよびIgG GMC)を示しました。V116はPCV15+PPSV23と比較して、共通する全13種類の血清型については同程度の免疫応答、V116のみが対応する8種類の血清型についてはより高い免疫応答を誘導しました。V116の有害事象(AE)の発生率は71.6%で、PCV15+PPSV23の91%より低くなりました。これは主に接種部位のAEの発生率が低かったためです。

STRIDE-9試験のデータ(アブストラクト#1085)

STRIDE-9試験(NCT05633992)は、肺炎球菌ワクチン接種歴のない65歳以上の日本人(n=450)を対象としてV116を評価する第3相無作為化二重盲検実薬対照比較試験です。血清型特異的OPA応答をベースラインと接種後30日目に測定したところ、V116はPPSV23と共通の12種類の血清型と、15B(PPSV23に含まれておりV116には含まれていない)について免疫応答の非劣性を示しました。また、V116のみが対応し、PPSV23は対応していない血清型についてはより高い免疫応答を誘導しました。また、V116の安全性プロファイルはPPSV23と同様でした。

血清型分布に関するPNEUMO U.S.試験のデータ(アブストラクト#308)

PNEUMO U.S.試験は、2018〜2022年にテネシー州およびジョージア州の3医療機関に非侵襲性の肺炎球菌感染症の一つである市中肺炎で入院した50歳以上の成人(n=2,065)の肺炎球菌の血清型分布を調査した試験です。患者さんから採取した尿検体における30種類の肺炎球菌血清型の抗原(15Bを除くPCV15、PCV20、V116の全血清型が含まれる)を、新たな尿中血清型特異抗原検出検査(SSUAD)により調べました。検査で検出された242株のうちV116が対応している血清型の株は約84%、PCV20が対応している血清型の株は約64%でした。検出された株の4分の1(約25%)はV116のみが対応する血清型の株で、PCV15またはPCV20では対応していない血清型の株でした。

ISPPDで発表されたその他の臨床試験の結果(アブストラクト#382、#355)

第3相臨床試験のSTRIDE-4(NCT05464420)とSTRIDE-5(NCT05526716)のデータもISPPDで発表されました。

V116について

V116は、開発中の21価肺炎球菌結合型ワクチンであり、成人の侵襲性肺炎球菌感染症および肺炎球菌性肺炎予防を目的として第3相試験が進行中です。V116は、成人の肺炎球菌感染症を引き起こす主要な肺炎球菌の血清型に対応するために特化して設計されており、この血清型にはV116固有の15A、15C、16F、23A、23B、24F、31、35Bの8種類が含まれます。CDCの2018〜2021年のデータによると、V116は米国における65歳以上の成人侵襲性肺炎球菌感染症の約83%を占める血清型に対応しており、そのうちV116のみが対応している8種類の血清型は約30%を占めています。V116は1回の接種で成人の侵襲性肺炎球菌感染症や肺炎球菌性肺炎の予防に貢献できるようデザインされています。

V116を評価する第3相試験には、STRIDE-3(NCT05425732)、STRIDE-4(NCT05464420)、STRIDE-5(NCT05526716)、STRIDE-6(NCT05420961)、STRIDE-7(NCT05393037)、STRIDE-8(NCT05696080)、STRIDE-9(NCT05633992)、STRIDE-10(NCT05569954)などがあります。

肺炎球菌感染症について

肺炎球菌感染症は肺炎球菌と呼ばれる細菌による感染症です。肺炎球菌には100種類以上の型(血清型と呼ばれる)が存在し、成人と小児とで異なる影響を及ぼします。一部の血清型は菌血症(血流感染)、菌血症を伴う肺炎、髄膜炎(脳と脊髄を覆う組織層の感染)といった侵襲性肺炎球菌感染症や、非侵襲性肺炎(肺炎球菌感染症が肺に限局している状態)などを引き起こすリスクを、より多くの人にもたらす恐れがあります。

健康な成人でも肺炎球菌感染症に罹患することがありますが、特に高齢者や、心疾患、肺疾患、肝疾患などの特定の慢性疾患を有する人や免疫が低下した人は罹患しやすくなります。侵襲性肺炎球菌感染症による死亡率は50歳以上の成人が最も高くなっています。

肺炎球菌感染症の予防における当社の取り組み

当社は40年以上にわたりワクチンによる肺炎球菌感染症の予防の最前線に立ち、あらゆる年齢の人々を肺炎球菌感染症から守るべく取り組んでいます。当社が進めている肺炎球菌ワクチン開発プログラムは、乳児や小児、健康な成人、肺炎球菌感染症に罹患するリスクを有する者といった様々な集団の個々のニーズに対応するようにデザインされています。小児と成人で疾病負担を引き起こす菌株または血清型が異なっている場合が多いことに注目し、各集団において世界的に最もリスクが高い血清型を標的としたワクチンの選択肢を提供することで、アンメットニーズに対応することを目指しています。当社のパイプラインについて詳しくはhttps://www.merck.comをご覧ください。

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAについて

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。詳細については、当社ウェブサイトX(旧Twitter)FacebookInstagramYouTubeLinkedInをご参照ください。

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの将来に関する記述

このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。

リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAによる将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAは、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAに関するForm 10-Kの2023年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。


MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookYouTubeをご参照ください。