アクチビンシグナル伝達阻害剤のsotaterceptが、基礎療法を実施中の肺動脈性肺高血圧症の成人患者への追加療法としてプラセボと比較して24週時の6分間歩行距離を40.8メートル延長 副次評価項目においても、臨床的な悪化または死亡のリスクの低下を含む9項目中8項目で統計学的に有意な改善が示される 本日、ACC.23/WCCで発表、The New England Journal of Medicineにも掲載

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2023/03/22 15:00 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

この参考資料は、Merck’s Investigational Activin Signaling Inhibitor Sotatercept Improved Six-Minute Walk Distance by 40.8 Meters at Week 24 Versus Placebo in Adults with Pulmonary Arterial Hypertension on Background Therapy (https://www.merck.com/news/mercks-investigational-activin-signaling-inhibitor-sotatercept-improved-six-minute-walk-distance-by-40-8-meters-at-week-24-versus-placebo-in-adults-with-pulmonary-arterial-hypertension-on-bac/ ) の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症と安全性情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。 

sotaterceptは、日本国内では開発中の段階です。


参考資料

アクチビンシグナル伝達阻害剤のsotaterceptが、基礎療法を実施中の肺動脈性肺高血圧症の成人患者への追加療法としてプラセボと比較して24週時の6分間歩行距離を40.8メートル延長

 副次評価項目においても、臨床的な悪化または死亡のリスクの低下を含む9項目中8項目で統計学的に有意な改善が示される

 本日、ACC.23/WCCで発表、The New England Journal of Medicineにも掲載

2023年3月6日:ニュージャージー州ローウェイーMerck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、開発中の新規アクチビンシグナル伝達阻害剤(生物学的製剤)のsotaterceptについて、肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)の成人患者を対象とし、安定した用量で実施中の基礎療法との併用療法を評価した第3相STELLAR試験の完全な結果を発表しました。Sotaterceptはこの試験の主要評価項目であるベースラインから24週時の6分間歩行距離(6MWD)を40.8メートル延長し、運動耐容能を有意に改善しました(95% CI, 27.5-54.1; p<0.001)。

また副次評価項目においては、WHO機能分類(WHO FC)や肺血管抵抗(PVR)の改善など、9項目中8項目で統計学的に有意で臨床的に意味のある改善が示されました。追跡期間の中央値32.7週間において、臨床的な悪化や死亡のリスクはプラセボと比較して84%低下しました(HR=0.16 [95% CI, 0.08-0.35]; p<0.001)。Sotaterceptの安全性プロファイルはこれまでのsotaterceptの試験で確認された結果と概ね一貫していました。このデータは本日、World Heart Federation’s World Congress of Cardiologyと共同開催されたAmerican College of Cardiologyの第72回Annual Scientific Sessionで発表され、同時にThe New England Journal of Medicineにも掲載されました。

治験責任医師でドイツのHannover Medical SchoolのMarius Hoeper博士は、「PAHは進行が速く、衰弱を来たし、最終的には命に関わる希少疾患で、5年死亡率は43%です。Sotaterceptは主要評価項目の6分間歩行距離のほか、WHO機能分類や肺血管抵抗の改善など複数の副次評価項目において大きな改善を示しました。この画期的な結果により、PAHの治療において、sotaterceptの可能性、血管の過剰増殖や病理学的リモデリングに関わる細胞シグナル伝達を標的とする治療の可能性が示されました」と述べています。

当社研究開発本部プレジデントのDean Y. Li博士は、「第3相STELLAR試験の結果は医師や患者さんにとって非常に重要なもので、sotaterceptがPAH患者さんの運動耐容能をはじめとする意味のある臨床的アウトカムを改善する重要な役割を担いうることが示されています。基礎療法に加えsotaterceptを投与した患者さんの臨床的な悪化または死亡のリスクが大きく低下し、説得力のあるデータが得られました。この新たな治療の選択肢を速やかに患者さんに提供できるよう、今回の重要なデータを元に保健当局と協議を進めたいと考えています」と述べています。

STELLAR試験はPAH成人患者さんを対象としてアクチビンシグナル伝達阻害剤の基礎療法への追加療法としての有効性を評価する初の第3相試験です。主な副次評価項目の結果は次のとおりです。

  • 24週時における複合項目の改善(6MWDの改善、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値の改善、かつ、WHO FCの改善またはWHO FC IIの維持)を示した患者の割合はsotatercept群がプラセボ群より有意に高くなりました(それぞれ38.9% [n=63/163]、10.1% [n=16/160]; p<0.001)。
  • 24週時におけるPVR(肺動脈圧、肺動脈楔入圧、心拍出量により算出)のベースラインからの変化について、sotatercept群は-234.6 dyn·sec·cm−5(95% CI, -288.4 to -180.8; p<0.001)と、プラセボ群と比較して統計学的に有意な低下が示されました。
  • 24週時におけるNT-proBNP値のベースラインから変化については、sotatercept群は-441.6(95% CI, -573.5 to -309.6; p<0.001)と、プラセボ群と比較して統計学的に有意な低下が示されました。
  • 24週時におけるWHO FCの改善および維持を示した患者の割合はsotatercept群がプラセボ群より有意に高くなりました。WHO FCが改善した患者の割合はsotatercept群では29.4%(n=48/163)、プラセボ群では13.8%(n=22/160)でした(p<0.001)。
  • 臨床的な悪化に関連するイベント(原因を問わない死亡、または死亡に至らない特定の臨床的悪化イベント)はsotatercept群で有意に低くなりました。追跡期間の中央値32.7週間においてsotatercept群では163人中9人の患者、プラセボ群では160人中42人の患者に死亡または臨床的悪化イベントが発生しました(HR=0.16 [95% CI, 0.08 to 0.35]; p<0.001)。
  • French Riskスコアにおいて低リスクスコア(低リスクの3項目をすべて達成または維持:WHO機能分類IまたはII、6分間歩行距離が440メートル超、NT-proBNP値が300 pg/mL未満)を達成した患者の割合はsotatercept群でプラセボ群より有意に高くなりました(それぞれ39.5% [n=64/163]、18.2% [n=29/160]; p<0.001)。
  • PAH-SYMPACT®を用いた患者報告アウトカムにおいて、身体的影響の平均スコア(ベースラインからの変化:-0.26 [95% CI, -0.49 to -0.04]; p=0.010)および心肺症状の平均スコア(ベースラインからの変化:-0.13 [95% CI, -0.26 to -0.01]; p=0.028)はsotatercept群でプラセボ群と比較して有意に低下しました。PAH-SYMPACT®は、疾患特異的な患者報告アウトカム指標です。ドメインスコアは0〜4で、数値が高いほど症状が重いことを示します。
  • PAH-SYMPACT®による認知/感情的影響の平均スコアは、sotatercept群とプラセボ群とで有意差はありませんでした(p=0.156)。

治験薬投与後の有害事象(TEAE)はsotatercept群の90.8%、プラセボ群の91.9%の患者に発現し、重度のTEAEはそれぞれ12.9%、18.1%の患者に発現しました。プラセボ群よりsotatercept群で発生頻度の高かった有害事象は、出血イベント、毛細血管拡張症、ヘモグロビン値の上昇、血小板減少症、血圧の上昇、浮動性めまいでした。

 

STELLAR試験のデザインその他のデータ

STELLAR試験(NCT04576988)は、基礎療法を受けているWHO機能分類(FC)IIまたはIIIのPAH(WHO Group 1)の成人患者を対象としてsotaterceptの安全性と有効性を評価する、無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同並行群間比較第3相試験でした。主要評価項目は運動耐容能で、24週時における6MWDのベースラインからの変化により測定しました。副次評価項目は9項目を階層的に次の順番で評価しました。(1)複合項目の改善、(2)PVRの変化、(3)NT-proBNP値、(4)WHO FCの改善、(5)臨床的悪化または死亡までの時間、(6)French Riskスコア、(7)PAH-SYMPACT®の身体的影響ドメインスコア、(8)PAH-SYMPACT®の心肺症状ドメインスコア、(9)PAH-SYMPACT®の認知/感情的影響ドメインスコア。臨床的な悪化を除く全項目は24週時に評価しました。臨床的な悪化については、最後の患者の24週時の来院後に評価しました。

この試験では合計323人の患者を登録し、3週間ごとに、sotatercept(n=163)を登録後の初回来院に0.3 mg/kgおよびその後は0.7 mg/kg、またはプラセボ(n=160)をいずれも安定した用量で実施中のPAHの基礎療法の追加療法として投与する群に無作為に割り付けました。治験対象集団の特性の内訳は以下のとおりです。年齢の中央値 [±SD] 47.9 ± 14.8歳、白人89%、女性79%、PAHの診断からの平均期間8.8年。無作為に割り付けた患者のうち198人(61.3%)が3剤併用療法、129人(39.9%)の患者がプロスタサイクリン注入療法を受けていました。人口統計学的特性およびベースライン特性はsotatercept群とプラセボ群で類似していました。

Sotaterceptの安全性プロファイルは第2相PULSAR試験で確認された結果と概ね一貫していました。プラセボ群の7人(4.4%)の患者、sotatercept群の2人(1.2%)の患者が、データカットオフ日までの試験期間中に死亡しました。

 

肺動脈性肺高血圧症(PAH)について

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺小動脈の狭窄と肺循環系の血圧上昇を特徴とする進行性の命に関わる希少疾患です。PAH患者数は米国では約40,000人です。速く進行してしまうケースも多くあります。PAHにより心臓に非常に大きな負担がかかり、身体活動の制約、心不全、平均余命の短縮につながります。PAHの5年死亡率は約43%です。

 

Sotaterceptについて

SotaterceptはPAH(WHO Group 1)の治療薬として開発が進められている、ファーストインクラスとして期待されるアクチビンシグナル伝達阻害剤の生物学的製剤です。PAHは肺の動脈壁の細胞の過剰増殖などが原因で、血管が異常に狭くなる狭窄が起こる希少疾患です。前臨床モデルで、sotaterceptは血管細胞増殖を調節し、血管および右室のリバースリモデリングをもたらすことが示されています。

SotaterceptはPAHの治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)のBreakthrough Therapy(画期的治療薬)およびOrphan Drug(希少疾病用医薬品)、欧州医薬品庁(EMA)のPriority Medicines(優先審査対象)およびOrphan Drugの指定を受けています。Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAは、Acceleron Pharma Inc.の買収により、肺高血圧症領域におけるsotaterceptの排他的権利を取得しています。SotaterceptはBristol Myers Squibbとのライセンス契約の対象です。

 

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAについて

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。詳細については、当社ウェブサイトTwitterFacebookInstagramYouTubeLinkedInをご参照ください。

 

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAの将来に関する記述

このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAの経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。

リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAによる将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAの特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAは、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAに関するForm 10-Kの2022年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。

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MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookTwitterYouTubeをご参照ください。

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