Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 2021年度第4四半期および通期決算発表

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February 15, 2022 12:00 am ET

報道関係各位

MSD株式会社

この参考資料は、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が2022年2月3日付(米国東部時間)で発表した2021年度第4四半期および通期決算のプレスリリース Merck Announces Fourth-Quarter and Full-Year 2021 Financial Results を日本語に翻訳したもので、内容および解釈については英語が優先されます。

以下の医療用医薬品は日本国内で発売しております。カナ表記は括弧内をご参考ください。
BRIDION®(ブリディオン®)、GARDASIL®(ガーダシル®)、ISENTRESS®(アイセントレス®)、JANUVIA®(ジャヌビア®)、KEYTRUDA®(キイトルーダ®)、Lenvima®(レンビマ®)、Lynparza®(リムパーザ®)、PREVYMIS®(プレバイミス®)、ROTATEQ®(ロタテック®)、ZERBAXA®(ザバクサ®
モルヌピラビル(molnupiravir)は、日本ではラゲブリオ®として、SARS-CoV-2による感染症に対する効能または効果で特例承認されています。また、ゲーファピキサント(gefapixant)は、日本において2022年1月にリフヌア®として承認されています。


参考資料

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.
2021年度第4四半期および通期決算発表

  • 2021年度第4四半期および通期決算は、引き続き力強い事業進展と堅調な経営を反映
  • 2021年度第4四半期の全世界売上高は(継続的事業活動に基づく)、前年同期比24%増の135億ドル(為替の影響を除き23%増)。モルヌピラビルの売上高の9億5,200万ドルを含む
  • 2021年度第4四半期のGAAPベースのEPSは1.51ドル(継続的事業活動に基づく)、non-GAAPベースでは1.80ドル
  • 2021年度通期の全世界売上高は(継続的事業活動に基づく)、前年同期比17%増の487億ドル(為替の影響を除き16%増)。モルヌピラビルの売上高の9億5,200万ドルを含む
    • KEYTRUDAの売上高は、20%の成長で172億ドル(為替の影響を除き18%増)
    • GARDASIL/GARDASIL 9の売上高は、44%の成長で57億ドル(為替の影響を除き39%増)
    • アニマルヘルスの売上高は、18%の成長で56億ドル(為替の影響を除き16%増)
  • 2021年度通期のGAAPベースのEPSは4.86ドル(継続的事業活動に基づく)、non-GAAPベースでは6.02ドル
  • 主要な買収で革新的な製品パイプラインが拡張、複数の承認取得および成長分野の良好なデータを発表
  • 2022年業績見通し
    • 2022年度通期の全世界売上高を561億ドル~576億ドルと予想
    • 2022年度通期のGAAPベースのEPSレンジを5.76ドル~5.91ドル、2022年度通期のnon-GAAPベースのEPSレンジを7.12ドル~7.27ドルと予想

米国ニュージャージー州ケニルワース– Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は2022年2月3日、2021年度第4四半期および通期決算を発表しました。

最高経営責任者(CEO)兼社長ロバート・M・デイビスは、「当社は、今四半期および通期において、堅調な収益と売上高成長を達成しました。2021年を通して、事業の持続可能性を高めるために、医薬品およびワクチンの発見、開発、製造、商業化に投資を行いました。私たちは、強い勢いを持って2022年を迎え、重大なアンメット・ニーズに対応し、グローバルヘルスに貢献するイノベーションを加速するために、スピード感を持って取り組んでいます。このことは、当社の戦略の中核であり、当社がサービスを提供する患者さんの利益、ひいては株主の方々に長期的な価値をもたらすものと考えています」と述べています。

 

決算サマリー

本リリースで提示される決算情報は、2021年6月2日に分社化が完了したOrganon & Co.の業績を除外した継続的事業活動に基づく当社の業績を反映しています。

2021年度第4四半期と2021年度通期のGAAP(GAAP:一般に公正妥当と認められる会計基準)ベースの希薄化後EPSは1.51ドルおよび4.86ドルでした。2021年度第4四半期と2021年度通期のnon-GAAPベースのEPSは1.80ドルおよび6.02ドルでした。2021年度第4四半期と2021年度通期のGAAP およびnon-GAAPベースのEPSは、堅調な事業業績基盤、良好なモルヌピラビルの影響および実効税率を反映しています。non-GAAPベースのEPSは、事業統合・売却関連費用、事業再構築費用、株式の投資による収益と損失、および特定のその他の項目を除外しています。GAAPベースからnon-GAAPベースへの調整に関する詳細は、「non-GAAPベースの費用、EPSおよび関連情報」を参照してください。

 

優位なポジションからの良好な事業進展が継続

当社は、2021年の戦略的優先課題に対して有意義な進展を達成し、2021年度第4四半期は堅調な業績で終えることができました。Acceleron Pharma Inc.(Acceleron社)の買収が完了し、当社の幅広いパイプラインはさらに増強され、また新型コロナウイルス感染症に対する経口抗ウイルス薬として開発中のモルヌピラビルの初回出荷を行いました。同時に、当社は、KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)、GARDASIL(組換え沈降4価 [6、11、16、18型] ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン)、GARDASIL 9(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン)、およびアニマルヘルス領域など主要な製品および分野で非常に堅調な販売実績を報告することができました。

 

モルヌピラビルハイライト

当社とRidgeback Biotherapeutics(Ridgeback社)は、新型コロナウイルス感染症に対する経口抗ウイルス薬としてモルヌピラビルの開発を進めきました。モルヌピラビルは、現在までに世界各国において、多くの使用許可または承認を取得しており、その他の国々でも審査が進められています。近日中に当社は、米国政府と締結した調達契約の一環として、米国への約300万人分を含め、400万人分を超えるモルヌピラビルを25カ国以上に出荷する予定です。さらに当社とRidgeback社は、国連児童基金(UNICEF)に成人用で最大300万人分を配分する契約を含め、平等なグローバルアクセスを実現し、モルヌピラビルを広く世界中に提供するさまざまな取り組みを進めています。

  • 当社とRidgeback社による主な薬事上の進展は以下のとおりです:
    • 米国食品医薬品局(FDA)は、SARS-CoV-2ウイルスの検査で陽性と診断され、入院や死亡などの重症化のリスクが高く、FDAが使用を許可する他の新型コロナウイルス感染症治療薬が入手できない、あるいは臨床上適切ではない、軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の成人患者に対し、モルヌピラビルの緊急使用を認める緊急使用許可(EUA)を発出
    • 日本の厚生労働省(MHLW)は、SARS-CoV-2による感染症の治療薬としてモルヌピラビルを特例承認
    • 英国医薬品・医療製品規制庁は、検査でSARS-CoV-2陽性と診断され、重症化のリスク因子を1つ以上有する、軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の成人患者の治療薬としてモルヌピラビルを承認
  • 当社とRidgeback社は、モルヌピラビルについて、6件の非臨床試験のデータにより、SARS-CoV-2の変異株であるオミクロン株(B1.1.529)に対する活性がin vitro試験で示されたことを発表
  • 当社とRidgeback社は、モルヌピラビルを広く世界中に提供していくため、UNICEFと長期的な供給契約を締結したことを発表。この供給契約では、モルヌピラビルの使用許可または承認取得後、UNICEFを通して、2022年上半期に低中所得国(LMIC)で最大300万人分を配分。この発表は、モルヌピラビルを世界中で速やかに提供すること目指す当社の取り組みの1つであり、100カ国以上のLMICで後発品メーカーや医薬品特許プールに対する社会貢献的ライセンスの付与などを実施。
  • 当社とRidgeback社は、日本英国米国などの複数の国々で、モルヌピラビルの新規供給契約の締結または供給契約が改訂されたことを発表。
  • 当社とRidgeback社は、軽症から中等症の入院していない重症化リスクの高い新型コロナウイルス感染症の成人患者を対象として経口抗ウイルス薬モルヌピラビルを評価する第3相臨床試験であるMOVe-OUT試験の結果がNew England Journal of Medicineに掲載されたことを発表。MOVe-OUT試験のデータでは、重症化リスクの高い、ワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症の成人患者に早い段階でモルヌピラビルを投与することで、入院または死亡のリスクが有意に低下することが無作為化された被験者の中間解析で判明

 

心血管プログラムハイライト

  • 当社は、Acceleron社の買収を完了したことを発表。この買収は、Acceleron社のリード開発候補のファースト・イン・クラスの肺動脈高血圧症(PAH)治療候補薬sotaterceptをもたらし、当社の心血管系パイプラインを補強。sotaterceptは、PAHの現行の標準治療に併用する治療薬として第3相臨床試験にて開発中。
  • 開発中の経口PCSK9阻害薬(MK-0616)を評価する2件の早期第1相臨床試験の結果を米国心臓協会の科学セッション(2021)にて発表。本試験ではMK-0616をコレステロール降下薬としてLDLコレステロールの高値を下げる効果と安全性を評価。当社は、MK-0616を2022年に第2相試験に移行する予定。
  • VICTOR(収縮性が低下した心不全成人患者におけるvericiguat 投与)の開始を発表。VICTORは、現在は心不全が増悪していない駆出率40%以下に低下した慢性心不全患者を対象に、Verquvo(vericiguat)を投与する、ピボタル第3相、無作為化、プラセボ対照、心血管系臨床試験。

 

オンコロジーパイプラインハイライト

当社は、オンコロジーにおける開発プログラムを引き続き進展させ、2028年までに90種類を超える新規の適応取得を予定しています。この中には、抗PD-1抗体KEYTRUDA、アストラゼネカ社との共同開発・商業化を進めるPARP阻害剤Lynparza(オラパリブ)、エーザイ社と共同開発・商業化を進める経口チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)Lenvima(レンバチニブメシル酸塩)、および経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害剤WELIREG(belzutifan)などが含まれます。

  • KEYTRUDAについて、以下の適応症における薬事上の進展を発表:
    • 第3相KEYNOTE-564試験のデータに基づき、腎摘除術後または腎摘除術および転移巣切除術後の特定の腎細胞がん(RCC)患者に対する術後補助療法として、KEYTRUDAをFDAおよび欧州委員会(EC)が承認。
    • 第3相KEYNOTE-716試験のデータに基づき、完全切除後のIIB期またはIIC期悪性黒色腫の成人患者および小児患者(12歳以上)の術後補助療法としてKEYTRUDAをFDAが承認
    • 第3相KEYNOTE-590試験のデータに基づき、根治切除不能な進行または再発の食道がん患者に対する一次治療としてのKEYTRUDAと化学療法の併用療法を日本の厚生労働省が承認
  • KEYTRUDAに関するトップラインデータおよび最新情報を発表:
    • 外科的切除後のIB〜IIIA期の非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法として評価した第3相KEYNOTE-091試験(EORTC-1416-LCG/ETOP-8-15 – PEARLS)において、PD-L1の発現にかかわらず、二つの主要評価項目の一つである無病生存期間(DFS)の延長を達成したことを発表。中間解析の時点で、PD-L1陽性の患者集団(tumor proportion score≧50%)においてもKEYTRUDAはプラセボと比較してDFSを延長。ただし、事前に設定された統計解析計画に基づく統計学的な有意性は示されず。
    • 当社は、メラノーマ研究会議2021において、KEYTRUDAの進行性黒色腫への適応を裏付けたピボタルKEYNOTE-006試験の探索的な7年追跡調査のデータおよび切除後のIIB期またはIIC期悪性黒色腫患者の術後補助療法としてKEYTRUDAを評価したKEYNOTE-716試験のアップデートを発表
  • 当社とエーザイ社は、Lenvimaについて、以下の適応症における薬事上の進展を発表:
    • EC および日本の厚生労働省が、KEYTRUDAと Lenvimaの併用療法を、第3相KEYNOTE-775試験/ 309試験の結果に基づき、特定の進行性子宮内膜がんについて承認。欧州では、KEYTRUDAと Lenvimaの併用療法を、プラチナ製剤含有療法の治療後または治療中に増悪した根治的手術または放射線療法に不適応な進行あるいは再発子宮内膜がんの成人患者に対する治療として承認。日本では、本併用療法ががん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体がんに対する治療として承認。
    • ECが、KEYTRUDAと Lenvimaの併用療法を、第3相CLEAR試験(KEYNOTE-581試験/ 307試験)の結果に基づき、進行性RCCの成人患者に対する一次治療として承認
  • 当社とアストラゼネカ社は、Lynparzaが、第3相OlympiA試験の結果に基づき、術前または術後に化学療法による治療歴を有する生殖細胞系列BRCA変異陽性でHER2陰性の高リスク早期乳がん患者に対する術後補助療法として、医薬品承認事項変更申請(sNDA)が受理され、優先審査に指定されたことを発表。処方薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act, PDUFA)による審査終了目標日は、2022年度第1四半期中。

 

ワクチンハイライト

  • 18歳以上の成人を対象とし、肺炎球菌に起因する侵襲性感染症および肺炎の予防のための能動免疫を目的にVAXNEUVANCE(15価肺炎球菌結合型ワクチン)をECが承認したことを発表
  • 生後6週から17歳の乳児および小児を対象に、侵襲性肺炎球菌疾患の予防を目的にVAXNEUVANCEの生物製剤追加承認申請がFDAに受理されたことを発表。FDAはPDUFAに基づき2022年4月1日を期日に指定。

 

その他のアップデート

  • HIV-1感染症に対する曝露前予防(PrEP)を目的として開発中のイスラトラビル(MK‑8591)の経口剤および埋込型製剤、HIV-1感染症の治療および予防を目的として開発中のイスラトラビルの注射剤、HIV-1感染症に対するドラビリン/イスラトラビルの1日1回の経口剤のInvestigational New Drug Application(IND)について、FDAがfull clinical holdまたはpartial clinical holdを発表。このFDAによるclinical holdは、治験においてイスラトラビルを投与した患者の一部に総リンパ球数およびCD4陽性T細胞数の減少が認められたことに基づく。当社はこれまでに、イスラトラビルとMK-8507の併用を評価する第2相臨床試験IMAGINE-DR(MK-8591-013)における投与を中止し、月1回投与のPrEPの第3相試験(MK-8591-022およびMK-8591-024)の患者登録を一時中止したことを発表(発表内容はこちらこちらをご覧ください)。
  • 当社とギリアド社は、このclinical holdの決定により、抗レトロウイルス療法でウイルス学的抑制が得られているHIV感染症患者を対象として、当社が開発するイスラトラビルとギリアド社が開発するlenacapavirの週1回経口併用投与レジメンを評価する第2相臨床試験の被験者への治験薬の投与を一時的に中止することを発表
  • 当社は、難治性または原因不明の慢性咳嗽を有する成人患者を対象に開発中のゲーファピキサントに関するComplete Response LetterをFDAが発出したことを発表。さらに日本の厚生労働省は、難治性または原因不明の慢性咳嗽を有する成人患者の治療としてゲーファピキサントを承認。
  • IMPAACT 2014試験の結果に基づき、PIFELTRO(ドラビリン)およびDELSTRIGO(ドラビリン/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩)に関するsNDAをFDAが承認。この承認によりPIFELTROおよびDELSTRIGOは、体重が35 kg以上のHIV-1感染症の小児患者を対象に含める適応を追加。
  • 当社は、事業および社会的な長期価値を創出するアプローチとしてのESG(Environment, Social, Governance:環境、社会、ガバナンス)について、上級管理職が議論するオンラインイベントを2022年2月23日(水)に開催予定。当社は、以下の4つのESG優先課題に注力:「保健医療へのアクセスAccess to Health」、「雇用Employee」、「環境の持続可能性Environmental Sustainability」、「倫理と価値Ethics & Value」。詳細は後日、発表予定。

 

2021年度第4四半期および通期の業績

以下の表は当社の医薬品の売上高上位製品およびアニマルヘルス製品の売上高総額を表しています。

 

医薬品の業績

2021年度第4四半期の医薬品売上高は、23%増の120億ドルとなりました。この売上高増加は、モルヌピラビルの売上、オンコロジー領域、ワクチン領域および急性期治療・病院領域の成長を反映しています。COVID-19に関連する混乱で2020年度第4四半期の売上高はマイナス影響を受けましたが、前年同期比の売上高成長には寄与しました。

2021年度第4四半期のモルヌピラビルの売上高は、9億5,200万ドルとなりました。これは、主に米国、英国および日本での売上です。

オンコロジー領域の成長は、主にKEYTRUDAの売上高増加によるもので、KEYTRUDAの当期第4四半期の売上高は前年同期比15%増の46億ドルとなっています。KEYTRUDAの世界的な売上高増加は、NSCLCの適応における力強い進展が続いていること、またRCC、頭頸部扁平上皮がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC) および高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)固形がんを含む他の適応症の浸透を反映しています。また、主に米国および欧州における継続的な浸透を反映し30%の増加となったLynparzaの提携収益、さらに、主に米国における需要の増加を反映し30%増となったLenvimaの提携収益も、オンコロジー領域の売上高増加に貢献しました。

2021年度第4四半期のワクチン領域の成長は、HPVによるがん、およびその他のHPV関連疾患を予防するGARDASILおよびGARDASIL 9の合計売上高の増加が主にけん引しました。2021年度第4四半期のGARDASIL/GARDASIL 9の売上高は、53%増の15億ドルとなりました。これは、特に中国における供給量の増加による世界的に堅調な需要に主にけん引されました。2021年度第4四半期のGARDASIL/GARDASIL 9の売上高は、米国における公的機関による購入時期、および2020年度第4四半期に1億2,000万ドルの収益をもたらした米疾病予防管理センター(CDC)の小児ワクチン備蓄より借り入れしたGARDASIL 9の補充による米国における売上高減少により一部相殺されました。

ワクチンの業績は、肺炎球菌感染症を予防するワクチンであるPNEUMOVAX 23(多価肺炎球菌ワクチン)の売上高減少によるマイナス影響を受けました。COVID-19ワクチンの優先により米国における需要が低下し、PNEUMOVAX 23の売上高は14%減の2億9,200万ドルとなりました。

急性期治療・病院領域の成長は、成人および2歳以上の小児患者を対象とした外科手術処置時の筋弛緩薬ロクロニウム臭化物またはベクロニウム臭化物の回復剤であるBRIDION注射液100 mg/mL(スガマデクスナトリウム)の世界的な需要の増加、また筋弛緩回復剤の利用増加および本領域の薬剤クラス内でのBRIDIONのシェア拡大が一部寄与し、BRIDIONの売上高は23%増の4億3,600万ドルとなりました。また、急性期治療・病院領域の成長は、成人および6カ月以上の小児患者を対象としたクロストリジウム・ ディフィシル関連下痢症の治療薬であるマクロライド抗菌薬のDIFICID(フィダキソマイシン)の米国における売上高増加を反映しています。DIFICIDの売上高は、米国における需要の増加が寄与し、89%増の6,000万ドルとなりました。

JANUVIA(シタグリプチン)とJANUMET(シタグリプチン/メトホルミン)の合計売上高は、リベート調整のプラス影響、複合的なビジネス展開、および特定の国際市場における需要の増加を反映し、5%増の14億ドルに増加しました。

2021年度通期の医薬品売上高は、17%増の428億ドルとなりました(為替のプラス影響を除き15%増)。これは、KEYTRUDAの堅調な成長を反映するオンコロジー領域の売上高増加、特にGARDASIL/GARDASIL 9などのワクチンの売上高増加、モルヌピラビルの売上高、BRIDIONおよびサイトメガロウイルス(CMV)抗体陽性の成人の同種造血幹細胞移植患者を対象にしたCMV感染または感染症の予防を目的とする抗ウイルス薬PREVYMIS(レテルモビル)を含む急性期治療・病院領域の成長を主に反映しています。COVID-19に関連する混乱で2021年の売上高はマイナス影響を受けましたが、2020年よりもマイナス影響の程度は小さくなり、前年比での売上高成長として利益を上げています。2021年の医薬品売上高は、PNEUMOVAX 23の売上高減少、特定の細菌に感染した成人患者に対する治療薬であるセフェム系抗生物質とβ-ラクタマーゼ阻害薬の配合剤であるZERBAXA(タゾバクタムナトリウム/セフトロザン硫酸塩)注射剤の2020年度第4四半期の製品回収に伴う一時的な販売停止により一部相殺されました。ZERBAXA注射剤は、2021年度第4四半期に米国で段階的に供給を再開し、2022年も供給の再開を継続する予定。

 

アニマルヘルスの業績

アニマルヘルスの2021年度第4四半期の全世界での売上高は、世界全体で動物種全般の成長を反映し、前年同期比で8%増の13億ドルでした。コンパニオンアニマル関連製品の売上高増加は、BRAVECTO(フルララネル)などの寄生虫予防薬およびワクチンが主にけん引しました。家畜類製品の2021年度第4四半期の売上高増加は、2019年のAntelliq Corporation(Antelliq社)の買収に関連する2020年度第4四半期の月追加売上により、2020年度第4四半期とほぼ同水準でしたが、養鶏および養豚関連製品などの国際市場における高い需要により一部相殺されました。

アニマルヘルスの2021年度通期の全世界での売上高は、前年同期比で18%増の56億ドルでした(為替のプラス影響を除き、16%増)。アニマルヘルスの2021年度通期の売上高増加は、コンパニオンアニマル関連製品が主にけん引しました。これは、BRAVECTOなどの寄生虫予防薬およびワクチンによるものです。家畜類製品の2021年度通期の売上高増加は、反芻動物関連製品、養鶏および養豚関連製品の成長を反映していますが、2019年のAntelliq社の買収に関連する2020年の月追加売上により一部相殺されました。

 

2021年度第4四半期ならびに通期の費用、EPSおよび関連情報

以下の表は、費用に関する抜粋情報を表しています。

 

GAAPベースの費用、EPSおよび関連情報

GAAPベースでは、2021年度第4四半期の売上高総利益率は71.4%で、2020年度第4四半期では54.1%でした。2021年度通期の売上高総利益率は72.0%で、2020年度通期では67.2%でした。2021年度第4四半期および通期における売上高総利益率の増加は、ZERBAXAに関連する減損損失(2020年度第4四半期に計上)が一部寄与した事業統合・売却関連費用の低下、プロダクト・ミックスのプラス影響および棚卸資産評価損の減少を主に反映しています。また2021年度第4四半期における売上高総利益率の増加は、外国為替のプラス影響、およびCOVID-19ワクチン開発プログラムの中止に関連する費用(2020年度第4四半期)を反映しています。2021年度第4四半期および通期における売上高総利益率の増加は、モルヌピラビルの影響(Ridgeback社との利益配分に起因する売上高総利益率の減少)、および製造コストの増加により一部相殺されました。

2021年度第4四半期の販売費および一般管理費は、前年同期比で8%増の28億ドルでした。2021年度通期の販売費および一般管理費は、前年同期比で8%増の96億ドルでした。この2021年度第4四半期および通期における販売費および一般管理費の増加は主に、事業統合・売却関連費用の増加、管理費の増加(報酬および給付費用を含む)、および当社の成長分野を支える販売促進費の増加がけん引しました。2021年度第4四半期および通期における販売費および一般管理費の増加は、2020年度第4四半期のMerck Foundationへの1億ドルの寄付により一部相殺されました。さらに2021年度通期における販売費および一般管理費の増加は、為替のプラス影響により一部相殺されました。

2021年度第4四半期の研究開発費は31億ドルで、2020年度第4四半期は58億ドルでした。この減少は主に、2020年度第4四半期のVelosBio社の買収に関連する費用27億ドルを含む買収および提携に関連した前払金の減少によるものです。この研究開発費の減少はまた、Ridgeback社からのモルヌピラビルの研究開発費の返済も反映されています。さらに研究開発費の減少は、報酬および給付費用の増加、および事業統合・売却関連費用の増加により一部相殺されました。2021年度通期の研究開発費は122億ドルで、2020年度通期は134億ドルでした。この減少は主に、買収および提携に関連した前払金の減少によるものです。また2021年度通期の研究開発費の減少は、臨床開発費の増加、開発候補品の発見と初期の医薬品開発への投資の増加、およびRidgeback社からのモルヌピラビルの研究開発費の返済により一部相殺されました。さらに2021年度通期の研究開発費の減少は、報酬および給付費用の増加、および事業統合・売却関連費用の増加により一部相殺されました。

2021年度第4四半期のその他の費用(収益)純額は、2020度第4四半期の2億5,300万ドルの収益に対し3億3,300万ドルの収益を計上しました。2021年度通期のその他の費用(収益)純額は、2020度通期の8億9,000万ドルの収益に対し13億ドルの収益を計上しました。これは、株式の投資による収益の増加(有価証券の実現および未実現利益の増加が主に関連)を主に反映していますが、為替差損の増加および年金清算処理費用の増加により一部相殺されました。

2021年度第4四半期の実効税率は2.2%となりました。2021年度通期の実効税率は11.0%となりました。2021年度通期の実効税率は、事前予測よりも良好な収益と費用のバランスであったことを反映しています。2021年度第4四半期の実効税率は、通期レート低下の影響および外国税額控除を反映しています。

 

non-GAAPベースの費用、EPSおよび関連情報

non-GAAPベースでは、2021年度第4四半期の売上高総利益率は74.8%で、2020年度第4四半期では75.0%でした。2021年度通期の売上高総利益率は76.1%で、2020年度通期では76.3%でした。2021年度第4四半期および通期における売上高総利益率の減少は主に、モルヌピラビルの影響(Ridgeback社との利益配分に起因する売上高総利益率の減少)、および製造コストの増加を反映しています。また売上高総利益率の減少は、プロダクト・ミックスのプラス影響および棚卸資産評価損の減少により一部相殺されました。2021年度第4四半期の売上高総利益率の減少は、外国為替のプラス影響により一部相殺されました。

2021年度第4四半期のnon-GAAPベースの販売費および一般管理費は、前年同期比で1%増の26億ドルでした。2020年度通期のnon-GAAPベースの販売費および一般管理費は、前年同期比で7%増の93億ドルでした。2021年度第4四半期および通期における販売費および一般管理費の増加は主に、管理費の増加(報酬および給付費用を含む)、および当社の成長分野を支える販売促進費の増加がけん引しましたが、2020年度第4四半期のMerck Foundationへの1億ドルの寄付により一部相殺されました。また2021年度通期のnon-GAAPベースの販売費および一般管理費の増加は、為替のプラス影響により一部相殺されました。

2021年度第4四半期のnon-GAAPベースの研究開発費は、前年同期比で3%増の27億ドルでした。この研究開発費の増加は、報酬および給付費用の増加を主に反映していますが、Ridgeback社からのモルヌピラビルの研究開発費の返済により一部相殺されました。2021年度通期のnon-GAAPベースの研究開発費は、2020年度通期の91億ドルに対し101億ドルでした。この研究開発費の増加は主に、臨床開発費の増加、開発候補品の発見と初期の医薬品開発への投資の増加、Ridgeback社からのモルヌピラビルの研究開発費の返済、および報酬および給付費用の増加を反映しています。

non-GAAPベースでの2021年度第4四半期のその他の費用(収益)純額は、2020年度第4四半期の1億ドルの費用に対し5,100万ドルの費用を計上しました。non-GAAPベースでの2021年度通期のその他の費用(収益)純額は、2020年度通期の3億7,200万ドルの費用に対し4億6,700万ドルの費用を計上しました。これは主に、為替差損の増加および年金清算処理費用の増加を反映しています。

2021年度第4四半期のnon-GAAPベースの実効税率は4.3%でした。2021年度通期のnon-GAAPベースの実効税率は11.2%でした。2021年度通期のnon-GAAPベースの実効税率は、事前予測よりも良好な収益と費用のバランスであったことを反映しています。2021年度第4四半期のnon-GAAPベースの実効税率は、通期レート低下の影響および外国税額控除を反映しています。

当期純利益およびEPSのGAAPベースからnon-GAAPベースへの調整は、以下の表のとおりです。

 

業績見通し

当社は、2022年1月中旬の為替を基準として、為替のマイナス影響約2%を含み、2022年度通期の収益を561億ドル~576億ドルになると予想しています。

2022年度通期のGAAPベースのEPSレンジを5.76ドル~5.91ドルになると予想しています。

当社は、為替のマイナス影響約1%を含み、2022年度通期のnon-GAAPベースのEPSレンジを$7.12ドル~7.27ドルになると予想しています。またnon-GAAPレンジでは、事業統合・売却関連費用、事業再構築プログラムに関連する費用、および株式の投資による収益と損失を除外しています。

この通期ガイダンスには、モルヌピラビルの予測売上高50億ドルから60億ドルが含まれます。当社は、提携企業であるRidgeback社と均等に利益を配分しますが、この配分は売上原価に反映されています。

以下の表は、当社の2022年の業績ガイダンスの要約を表しています。

2022年度のGAAPベースの予想EPSからnon-GAAPベースのEPSへの調整、およびnon-GAAPベースのEPSからの控除項目は以下の表のとおりです。

 

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.について

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は130年にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。また、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続け、世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。詳細については、当社ウェブサイトTwitterFacebookInstagramYouTubeLinkedInをご参照ください。

 

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の将来に関する記述

このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。

リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.による将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.に関するForm 10-Kの2020年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。

1 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.に帰属する継続的事業活動に基づく当期純利益(損失)。

2 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、事業業績や傾向に関する分析への特定項目の性質による影響を考慮し、2021年度および2020年度の特定の項目の影響を除いたnon-GAAPベースの情報を提供しています。経営陣は、この情報が会社の決算結果および経営陣による業績評価方法に関する投資家の理解を深めるものと考えています。経営陣は、これらの指標を目標の設定や達成予測のため、またその他の基準で当社の業績を評価するために社内的に活用します。加えて、上級管理職の年間報酬の一部はnon-GAAPベースの税引前利益から支払われています。これはGAAPに基づき算出された情報に関する追加情報であって、その代わりとなるものではなく、また優先されるものでもありません。non-GAAPベースの調整についての詳細は、本報告書に添付された表2a(脚注を含む)を参照してください。

3 事業統合・売却に関する統合費用、取引費用およびその他の費用と共に、買収の結果認識された無形資産の償却費および棚卸資産に対するパーチェス法適用に伴う調整額、無形資産の減損損失、および、条件付対価による負債の公正価値測定の見積り変更に関連する費用または収益が含まれます。

4 2020年度第4四半期および通期は、ZERBAXAに関連する減損損失16億ドルが含まれます。

5 2020年度通期の金額には、Seagen, Inc.との提携に関連する費用8億2,600万ドルが含まれます。

6 調整項目に対する見積法人税の影響が含まれます。さらに2021年度通期の金額には、特定の連邦所得税問題の解決に関連した2億700万ドルの法人税額の減少が含まれます。2020年度通期の金額には、税額6,700万ドル(2015年のCubist Pharmaceuticals, Inc.の買収に関連して計上した法人税額減少の調整)が含まれます。

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MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、130年にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDは世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookTwitterYouTubeをご参照ください。

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