成人向けに特化して設計された、開発中の21価肺炎球菌結合型ワクチンV116、50歳以上の成人において、V116固有の11種類の血清型のうち10種類の血清型に対し、PCV20と比較し免疫原性の優越性を示す

Save Print

2023/11/30 11:00 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

この参考資料は、Merck’s V116, an Investigational, 21-valent Pneumococcal Conjugate Vaccine Specifically Designed to Protect Adults, Demonstrated Superior Immunogenicity for 10 of 11 Unique Serotypes Compared to PCV20 in Adults 50 Years of Age and Older (https://www.merck.com/news/mercks-v116-an-investigational-21-valent-pneumococcal-conjugate-vaccine-specifically-designed-to-protect-adults-demonstrated-superior-immunogenicity-for-10-of-11-unique-serotypes-compared/ ) の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症や安全性情報、疫学情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。


21価肺炎球菌結合型ワクチンは、日本国内では開発中の段階です。


参考資料

成人向けに特化して設計された、開発中の21価肺炎球菌結合型ワクチンV116、
50歳以上の成人において、V116固有の11種類の血清型のうち

10種類の血清型に対し、PCV20と比較し免疫原性の優越性を示す

米国疾病予防管理センター(CDC)の2018~2021年のデータによると
V116が対応する21種類の血清型は
65歳以上の高齢者の侵襲性肺炎球菌感染症の原因の約83%を占める

第3相試験STRIDE-3の結果を
World Vaccine Congress West Coastで発表

2023年11月28日:ニュージャージー州ローウェイ Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、成人向けに特化して設計された、開発中の21価肺炎球菌結合型ワクチンV116を評価した第3相試験STRIDE-3の結果を発表しました。この試験では、肺炎球菌ワクチン未接種の成人に対するV116の安全性、忍容性、免疫原性をPCV20(20価肺炎球菌結合型ワクチン)と比較検討しました。

本試験の主要評価項目の結果は以下のとおりです。

  1. V116は、50歳以上の成人(コホート1)において、PCV20との比較にて、両ワクチンに共通のすべての血清型(10種類)に対して免疫応答の非劣性が示されました。免疫応答は接種後30日目の血清型特異的オプソニン化貪食活性(OPA)の幾何平均抗体価(GMT)で評価されました。
  2. V116に含まれPCV20に含まれない11種類の血清型のうち10種類について、V116は免疫応答の優越性が示されました。これは接種後30日目のOPA GMTと、接種前から接種後30日目までにOPAが4倍以上上昇した被験者の割合で評価されました。
  3. 18〜49歳の成人(コホート2)では、50〜64歳の成人と比較して、V116は免疫応答の非劣性が示されました(immunobridging分析による)。これは接種後30日目の血清型特異的OPA GMTで評価しました。
  4. いずれのコホートにおいてもV116の安全性プロファイルはPCV20と同様でした。

詳細なデータはWorld Vaccine Congress West Coastで本日4:50 p.m.(米国東部標準時)に発表されます。当社は今年すでに、STRIDE-3試験のトップラインデータを公表しています。

米国疾病予防管理センター(CDC)がまとめた2018〜2021年のデータによると、V116が対応する血清型は、米国における65歳以上の高齢者の侵襲性肺炎球菌感染症の約83%の原因となっています。V116が対応する血清型には、既承認の肺炎球菌ワクチンが対応していない8種類の血清型が含まれており、それらの血清型は、CDCの同データによれば米国における65歳以上の高齢者の侵襲性肺炎球菌感染症の約30%の原因となっています。V116が承認されれば、成人向けに特化した初めての肺炎球菌結合型ワクチンとなります。

当社研究開発本部シニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサーのEliav Barr(エリアブ・バール)博士は、「成人の侵襲性肺炎球菌感染症および肺炎球菌性肺炎の予防において標準的に使用されているワクチンと比較したこのデータは、V116の免疫原性を強力に支持するエビデンスとなります。成人の侵襲性肺炎球菌感染症の大半を引き起こす血清型をターゲットとし、集団に特化した戦略を用いた一次予防を通じて、V116が公衆衛生に貢献できる可能性を示したことを嬉しく思います」と述べています。

この試験の治験責任医師であるClinical Research Trials of Florida, Inc.のSady Alpizar(サディ・アルピサル)博士は、「侵襲性肺炎球菌感染症は、特に高齢者や免疫が低下した成人において、肺炎球菌性肺炎、肺炎球菌性髄膜炎、菌血症といった重篤な、時には命に関わる合併症を引き起こすことがあります。今回の結果は、感染しやすい集団において、V116が侵襲性肺炎球菌感染症を予防できる可能性を示しています」と述べています。

V116の第3相臨床開発プログラムは、様々な成人集団を対象に、その安全性、忍容性、免疫原性を評価する8件の試験(n=8,830)で構成されています。肺炎球菌感染症の罹患リスクの高い慢性疾患を持つ、あるいは持たない成人、肺炎球菌ワクチンの接種歴のある人を対象とする試験などがあります。後期開発プログラムの概要はこちらをご覧ください。

当社はSTRIDE-3試験のデータを世界各国の規制当局に提供しています。

 

STRIDE-3試験の治験デザインおよびその他のデータ

STRIDE-3試験(NCT05425732)は、肺炎球菌結合型ワクチン未接種の18歳以上の成人(n=2,663)を対象としてV116の安全性、忍容性、免疫原性をPCV20と比較評価する第3相無作為化二重盲検実薬対照試験です。被験者はV116またはPCV20を1回接種する群に無作為に割り付けられました。

両コホート共通の主要評価項目には、安全性、接種後30日目における血清型特異的OPA GMT、血清型特異的OPAがベースライン比で4倍以上上昇した被験者の割合が含まれました。コホート1は50歳以上の被験者(n=2,362)で、V116または対照のPCV20を1回接種する群に1:1で無作為に割り付けられました。主要評価項目の主な結果は次のとおりです。

  1. V116はPCV20に対し、共通する10種類の血清型(3、6A、7F、8、10A、11A、12F、19A、22F、33F)で非劣性が示されました。これは接種後30日目における血清型特異的OPA GMTで評価されました。
  2. V116はPCV20に対し、V116に含まれ、PCV20には含まれない11種類の血清型のうち10種類(9N、15A、16F、17、20A、23A、23B、24F、31、35B)で優越性が示されました。これは接種後30日目の血清型特異的OPA GMTと、接種前から接種後30日目までにOPAが4倍以上上昇した被験者の割合で評価されました。
    1. 血清型15CについてもV116を接種した被験者において免疫応答が認められましたが、統計学的な優越性の基準に到達しませんでした。

コホート2は18〜49歳の被験者(n=301)で、V116または対照のPCV20を1回接種する群に2:1で無作為に割り付けられました。主要評価項目の結果では、V116は18〜49歳の被験者において、50〜64歳の被験者との比較にて、全21種類の血清型で、免疫応答の非劣性が示されました(immunobridging分析による)。免疫応答は接種後30日目の血清型特異的OPA GMTで評価しました。

いずれのコホートにおいてもV116の安全性プロファイルはPCV20と同様でした。V116およびPCV20を接種した被験者のうち、それぞれ61.7%、67.2%で1件以上の有害事象(AE)が報告されました。本試験ではワクチン関連の重篤なAEまたはワクチン関連の死亡はありませんでした。

 

V116について

V116は、開発中の21価肺炎球菌結合型ワクチンであり、成人の侵襲性肺炎球菌感染症および肺炎球菌性肺炎予防を目的として第3相試験が進行中です。V116は、成人の肺炎球菌感染症を引き起こす主要な肺炎球菌血清型に対応するために特化して設計されており、この血清型には15A、15C、16F、23A、23B、24F、31、35Bの8種類が含まれます。CDCの2018〜2021年のデータによると、これら8種類の血清型は、米国における成人の肺炎球菌感染症の約30%の原因となっています。またCDCの同じデータによると、V116が対応する血清型は、米国における65歳以上の高齢者の侵襲性肺炎球菌感染症の約83%の原因となっています。

V116を評価する第3相試験には、STRIDE-3(NCT05425732)、STRIDE-4(NCT05464420)、STRIDE-5(NCT05526716)、STRIDE-6(NCT05420961)、STRIDE-7(NCT05393037)、STRIDE-8(NCT05696080)、STRIDE-9(NCT05633992)、STRIDE-10(NCT05569954)などがあります。

 

肺炎球菌感染症について

肺炎球菌感染症は肺炎球菌と呼ばれる細菌による感染症です。肺炎球菌には100種類以上の型(血清型と呼ばれる)が存在し、成人と小児とで異なる影響を及ぼします。一部の血清型は、より多くの人において菌血症(血流感染)、菌血症を伴う肺炎、髄膜炎(脳と脊髄を覆う組織層の感染)といった侵襲性肺炎球菌感染症や、非侵襲性肺炎(肺炎球菌感染症が肺に限局している状態)のリスクを引き起こします。

健康な成人でも肺炎球菌感染症に罹患しますが、特に高齢者や、心疾患、肺疾患、肝疾患などの特定の慢性疾患を有する人や免疫が低下した人は感染しやすくなります。侵襲性肺炎球菌感染症による死亡率は50歳以上の成人が最も高くなっています。

 

肺炎球菌感染症の予防における当社の取り組み

当社は40年以上にわたりワクチンによる肺炎球菌感染症の予防の最前線に立ち、あらゆる年齢の人々を肺炎球菌感染症から守るべく取り組んでいます。当社が進めている肺炎球菌ワクチン開発プログラムは、乳児や小児、健康な成人、肺炎球菌感染症に罹患するリスクを有する者といった様々な集団の個々のニーズに対応するようにデザインされています。小児と成人で疾病負担を引き起こす菌株または血清型が異なっている場合が多いことに注目し、各集団において世界的に最もリスクが高い血清型を標的としたワクチンの選択肢を提供することで、アンメットニーズに対応することを目指しています。当社のパイプラインについて詳しくはhttps://www.merck.comをご覧ください。

 

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAについて

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。詳細については、当社ウェブサイトX(旧Twitter)FacebookInstagramYouTubeLinkedInをご参照ください。

 

Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAの将来に関する記述

このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。

リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAによる将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAは、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAに関するForm 10-Kの2022年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。

###


MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookYouTubeをご参照ください。