上司と周囲のサポートによって、女性リーダーとして仕事と育児を両立。後輩の女性たちに勇気と自信を与えたい。
沖田 雅代
ポートフォリオ営業部門 東京城北営業所 所長
掲載日:2024年6月7日
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管理職への打診を受けたタイミングで妊娠の発覚
薬科大学を卒業後、MR(医療情報担当者)としてMSDに入社して以来、一貫してMRとしてキャリアを重ねてきました。ある程度の経験を積み、チームメンバーや後輩のサポートを行う中で、自然と営業所長のポジションへの打診を受けました。
その時に、ほぼ同じタイミングで妊娠していることが分かり、“チャレンジしたい気持ち”と“不安”が同時に押し寄せてきたことを覚えています。悩みに悩んだ末に当時の上司に事情を説明したところ、上司からは予想もしていなかった言葉が出てきました。「沖田さんがどうしてもやりたくないのであれば、無理は言いません。しかし、あなたが妊娠しているからといって、管理職の候補から外すことはしませんよ。大丈夫、皆があなたを支えてくれますよ!」
その言葉を聞いて、所長への昇進を決意しました。実際は、妊娠中は体調の変化が大きく、身体を動かすことがつらいと感じることもありましたが、そういう時には周囲のメンバーが業務を代わってくれたため、どうにか乗り切ることができました。
出産後は出産後で、時間の制約があり、仕事のやりくりは大変でした。仕事が思うように進まないことがあったり、二人の育児が大変だったりと、まさに悩みの連続でした。上司からは「もっと他の人に任せることも重要だよ」というアドバイスをもらい、営業所のメンバーからは「自分たちができることはやりますので、沖田さんは沖田さんにしかできないことに集中してくださいね」と言ってもらい、多くの周囲の人々に支えられました。そのうち次第に“完璧ではなくても、自分が貢献できるところで頑張ろう。全部一人で抱え込まず、メンバーに任せられることは任せて、自分にしかできないことをやろう”と思えるようになりました。こうした経験を経て、どのような状況も、あせらず受け入れられるようになったように思います。
現在のチームには、育児中の女性MRもいますが、自分自身が経験したからこそメンバーをサポートできる場面があります。例えば、コロナ禍で保育園が休園になって困っていた女性MRがいましたが、その時は彼女の社用車に同乗し、医師との面談中は、私がそのMRの子どもの面倒を見るといったこともありました。
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上司として大切にしていることは、傾聴すること
色々な経験を経た今、所長として大事にしていることは、相手の話を聞くことです。そして、“いつでも聞くよ”という姿勢を示すことです。理解してもらえる環境を作ると、相手も話しやすくなります。また、一人で悩みを抱えず、一緒に解決策を見出すことができれば、信頼関係も深まります。一方で、本当に悩んでいる人は自分から相談できないことが多いため、自分から積極的に話しかけるように心がけています。
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女性リーダー候補には、悩みすぎず、まずは「やってみる」という姿勢で挑戦してほしい
管理職に打診されたら、“自分なんてとても・・・”と謙遜する女性が多いかもしれませんが、悩む前にまずトライしてほしいと思います。男性は、新しい職務や昇進などの打診があると、50%できそうだと思えれば「できます」と言ってチャレンジすることが多いそうです。ところが、女性は120%できる確信がないと、チャレンジしない傾向にあると言われています。だからこそ、会社が自分を評価してくれて、打診してくれているのであれば、そのチャンスに勇気を持って飛び込んでほしいと思います。
チーム運営と部員育成には大きな責任が伴いますが、私自身の経験が後輩の女性たちに勇気と自信を与えられれば、それが何よりの喜びです。
(所属・内容等は取材当時のものです)