がん細胞を標的とする新たな治療法の研究

MSDの科学者は、血液がんと固形がんの双方で、抗体薬物複合体(ADC)の新たな標的候補を評価しています

掲載日:2023年11月14日

がん細胞を標的とする新たな治療法の研究

がん細胞を標的とする抗体薬物複合体(ADC)が初めて承認されてから20年以上が経ち、科学者たちは患者さんを救うため、新たな可能性を探求し続けています。

抗体薬物複合体(ADC)とは

ADCは化学療法の薬剤を標的に向けて運びます。従来の化学療法とは異なり、ADCはがん細胞表面に発現する特定の標的に化学療法を輸送するように設計されています。ADCは標的と結合した後、がん細胞を殺傷するための薬剤を放出します。

デイビッド・ウェインストック博士

「ADCが郵便番号のような仕組みをつくることによって、抗体が化学療法の薬剤を直接がん細胞に送達できます。」

—デイビッド・ウェインストック博士
MSD研究開発本部 オンコロジー創薬 バイスプレジデント

ADCの新たな標的候補の探求

私たちMSDも含め、科学者たちはADCの新たな可能性を研究しています。「ここ数年、ADCで得られた知見は非常に心強いものです。そして、間違いなく、今後数年間に、こうした研究がさらに進むことが予測できます。」、とウェインストック博士は語ります。

MSDの科学者たちは、血液がんと固形がん双方の前臨床試験において、ROR1、TROP-2などの、多くのADCの標的候補を評価しています。

  • ROR1は主に血液がん細胞や固形がん細胞に発現するタンパク質で、正常な成人細胞には発現しません。ROR1は、今ある治療法で効果が見られない、進行の速い疾患と関連しています。固形がんのほか、マントル細胞リンパ腫や、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者さんを対象に、ROR1を標的としたADCを評価しています。
  • TROP-2は、トリプルネガティブ乳がんや肺がんを含む多くのがんで過剰発現しています。TROP-2の高発現は、がん細胞の増殖と関連しており、進行の早い病型と相関しています。

さまざまなADCの標的を評価することにより、私たちはADCの可能性を探求する新しい重要な研究に貢献し、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というMSDのパーパスを前進させていきたいと考えています。

(※役職と内容は取材当時のものです)