Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが開発中の経口PCSK9阻害剤enlicitide decanoate、第3相CORALreef Lipids試験でLDL-Cを有意に低下
2025/11/26 15:00 JST
報道関係各位
MSD株式会社
この参考資料は、Merck’s Enlicitide Decanoate, an Investigational Oral PCSK9 Inhibitor, Significantly Reduced LDL-C in Phase 3 CORALreef Lipids Trial (https://www.merck.com/news/mercks-enlicitide-decanoate-an-investigational-oral-pcsk9-inhibitor-significantly-reduced-ldl-c-in-phase-3-coralreef-lipids-trial/) の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症と安全性情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。
Enlicitide decanoateは日本国内では開発中の段階です。
参考資料
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが開発中の経口PCSK9阻害剤enlicitide decanoate、
第3相CORALreef Lipids試験でLDL-Cを有意に低下
抗体に匹敵する有効性を提供するべく設計され、プラセボと同様の安全性プロファイルで
LDL-Cを低下、承認されれば初の経口PCSK9阻害剤に
現在も続く心血管疾患の蔓延の主要因である動脈硬化性心血管疾患の
アンメットニーズに対応できる可能性
2025年11月8日:ニュージャージー州ローウェイ Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、1日1回経口プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤として開発中のenlicitide decanoateを評価する第3相CORALreef Lipids試験の結果を初めて公表しました。この試験では、24週時における低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)がプラセボと比較して主要解析では55.8%(95% CI: – 60.9, – 50.7; p< 0.001)、事後再解析では59.7%(95% CI: -62.3, -57.1)低下し、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示しました。この最新データは本日、American Heart Association(AHA)Scientific Sessions 2025(アブストラクト#4391578)で初めて発表され、Late-Breaking Science News Briefingの演題にも選定されました。
CORALreef Lipids試験では、脂質低下薬によるバックグラウンド治療中もしくはスタチン不耐と記録されている、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)既往またはASCVDのリスクを有する成人に1日1回経口投与のenlicitideを投与したところ、24週時におけるLDL-C(主要評価項目)が統計学的に有意かつ臨床的に意味のある低下を示し、52週まで統計学的に有意で持続的なLDL-Cの低下が認められました。副次評価項目である非高密度リポ蛋白コレステロール(non-HDL-C)、アポリポ蛋白B(ApoB)、リポ蛋白(a)(Lp(a))についても、enlicitideは24週時点で統計学的に有意な低下を示しました。安全性プロファイルはプラセボと概ね同様でした。両群で治験薬の服薬(97%)および服薬ガイダンス(97%以上)に対する高いアドヒアランスが認められました。
本試験の筆頭執筆者でUT Southwestern Medical Centerの循環器科准教授のAnn Marie Navar(アン・マリー・ナバー)博士は、「Enlicitideは、CORALreef Lipids試験において、プラセボと同様の安全性を維持しながらLDL-Cを大幅に低下させ、経口PCSK9阻害剤が臨床現場を大きく変える可能性を示しました。スタチンや注射薬のPCSK9阻害剤などの脂質低下薬が利用可能であるにも関わらず、動脈硬化性心血管疾患の患者さんの大半がLDL-Cの目標を達成できていません。enlicitideは、心血管疾患の既往またはリスクを有する患者さんにおける脂質目標達成率の向上に寄与し、最終的には現在も増加が続く心血管疾患に対する対策となりえます」と述べています。
当社研究開発本部プレジデントのDean Y. Li(ディーン・リー)博士は、「EnlicitideはPCSK9抗体に匹敵する効果を提供し、特に使いやすい錠剤の形で設計されています。承認されれば、LDL-Cを下げる新たな治療の選択肢となり、世界中の何百万人もの患者さんのASCVDのアウトカム改善に向けた当社のこれまでの取り組みや研究、そして当社の新たな大環状ペプチドプラットフォームを活用したメディシナルケミストリーにおける強みが結実します。心血管疾患は世界における死因のトップであり、その増加に対応する新たな選択肢となる可能性のある本剤を提供できるのを楽しみにしています」と述べています。
1年時においてenlicitideはプラセボと比較してLDL-Cを主要解析では47.6%(95% CI: -52.7, -42.5; p<0.001)、事後再解析では52.4%(95% CI: -55.1, -49.7)低下させ、統計学的有意差を維持しました。24週時において、enlicitideはプラセボと比較してnon-HDL-Cを53.4%(95% CI: -55.5, -51.2; p<0.001)、ApoBを50.3%(95% CI: -52.1, -48.5; p<0.001)、Lp(a)を28.2%(95% CI: -30.3, -26.0; p<0.001)低下させました。また本試験では、LDL-C50%以上の低下、かつ55 mg/dL(1.42 mmol/L)未満という事前に規定した厳格な目標を、24週時点で、プラセボ群では1.2%の患者さんが達成したのに対し、enlicitide群では67.5%の患者さんが達成しました。
Enlicitideの安全性プロファイルはプラセボと同様でした。enlicitide群とプラセボ群で有害事象、重篤な有害事象、死亡の発現率に明らかな差異はありませんでした。有害事象による投与中止率はプラセボ群(4.1%)とenlicitide群(3.1%)ともに低く、同程度でした。
当社は本試験のデータを、CORALreef HeFHおよびCORALreef AddOn試験のデータと合わせて、世界中の規制当局に提出していく予定です。
CORALreef Lipids試験について
CORALreef Lipids(NCT05952856)試験は、主要な動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)イベントの既往歴または初発リスクのある高コレステロール血症の成人患者さんを対象とし、enlicitide decanoateの有効性、安全性、忍容性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験です。中強度又は高強度のスタチンを含む安定した脂質低下薬を受けている(またはスタチン不耐性が記録されている)患者さんが対象でした。この試験では2,912名の被験者が登録され、enlicitide 20mgを1日1回経口投与する群(n=1,942)とプラセボ群(n=970)に2:1の比で無作為に割り付けました。主要評価項目は、24週時におけるLDL-Cのベースラインからの平均変化率のプラセボとの比較、1件以上の有害事象を発現した患者数、有害事象により治験薬投与を中止した患者数でした。多重性を調整した有効性の副次評価項目は、52週時におけるLDL-Cのベースラインからの変化率の平均値、24週時におけるその他動脈硬化を引き起こす主な脂質(non-HDL-C、ApoB、Lp(a))のベースラインからの変化率の平均値などでした。
欠測データの処理規則を修正するために事後の再解析を実施した結果、主要解析には生物学的にあり得ないベースライン値が5件含まれていたことが判明しました。この再解析は、治療の効果を臨床的により正確に推定するために実施されました。
CORALreef Lipids試験は、LDL-C値の高いさまざまな被験者を対象としてenlicitideを評価した最大の第3相試験です。
EnlicitideおよびPCSK9について
Enlicitideは、FDAに承認されれば、初の経口PCSK9阻害剤となる可能性があります。現在承認されているモノクローナル抗体の注射薬であるPCSK9阻害剤と同様の生物学的な作用機序により、毎日服用する錠剤の形でLDL-Cを低下させるよう設計されています。enlicitideは、PCSK9に結合し、PCSK9とLDL受容体の相互作用を阻害する新規の低分子大環状ペプチドの候補薬です。
PCSK9は、コレステロールを細胞に取り込むLDL受容体の量を調節することで、コレステロール恒常性を保つうえで重要な役割を担います。PCSK9を阻害することで、PCSK9とLDL受容体の相互作用を妨げます。その結果、細胞表面のLDL受容体が増加し、血液中からLDLコレステロールを取り除くことができます。
CORALreef臨床試験プログラムについて
高コレステロール血症患者さん19,000名以上を対象とする包括的なCORALreef臨床試験プログラムにより、enlicitideの有効性と安全性プロファイルを評価しています。すでに発表しているとおり、enlicitideによる統計学的に有意で臨床的に意味のあるLDL-Cの低下が、CORALreef Lipids(NCT05952856)、CORALreef HeFH(NCT05952869)、CORALreef AddOn(NCT06450366)の3件の第3相試験で示されています。Enlicitideは現在も大規模な心血管アウトカム試験のCORALreef Outcomes(NCT06008756)において評価が実施されており、14,500名以上の被験者の組み入れが完了しています。その他、CORALreef臨床試験には、CORALreef Extension(NCT06492291)、CORALreef Pediatric(NCT07058077)、CORALreef Combination(NCT07216482)があります。
高コレステロール血症について
高コレステロール血症は脂質異常症の一種で、血液中の低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)の値が高くなる疾患です。米国では約8,600万人の成人が罹患しており、ASCVDの主なリスク要因です。脂質低下薬による治療を受けているASCVD患者さんの約70%がLDLコレステロールの低下目標を達成できていません。LDL-Cの値が高いまま放置すると、心筋梗塞や脳卒中などのASCVDイベントに進行する可能性があります。
心血管疾患の蔓延および動脈硬化性心血管疾患について
心血管疾患の静かな蔓延は、世界中で主な死因となっており、心筋梗塞や脳卒中の大半を引き起こすなど、心血管関連の死亡は増加を続けています。動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)は、心血管疾患による死亡の85%を占めています。動脈内にプラークが蓄積し、血管の狭窄や閉塞をきたすことで、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な心血管イベント、さらには冠動脈疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患を引き起こします。
当社の心血管疾患に対する取り組み
当社は長年にわたり心血管疾患の治療薬を開発してきました。約70年前、心血管疾患の初の治療薬を提供して以来、心血管関連の疾患に対する理解を深め、治療薬を提供するため、研究を進めてきました。心血管疾患は21世紀において今なお最も深刻な医療上の課題の一つであり、世界の死因のトップとなっています。心血管疾患により、世界中で毎年約1800万人が死亡し、米国では36秒ごとに1人死亡しています。
心血管疾患の治療における進歩は、世界中の患者さんや医療システムにとって極めて重要な違いをもたらす可能性があります。当社は創薬から承認取得、ライフサイクルマネジメントまで研究のあらゆる段階で優れた革新的なサイエンスを追求します。心血管領域および肺領域の専門家と幅広く連携し、世界中の患者さんの生活の改善に向けた研究を進めています。
現在募集中の心血管疾患の他の治験については、https://www.merckclinicaltrials.com/cardiovascularをご覧ください。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAについて
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。詳細については、当社ウェブサイトやX(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTube、LinkedInをご参照ください。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの将来に関する記述
このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。
リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAによる将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAは、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAに関するForm 10-Kの2024年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。
以上
MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Instagram、YouTubeをご参照ください。