WINREVAIR™(ソタテルセプト)、新たにPAHと診断され、バックグラウンド治療を受けている患者さんを対象とした第3相HYPERION試験において、プラセボと比較して臨床的悪化のイベントリスクを76%低下
2025/10/20 15:00 JST
報道関係各位
MSD株式会社
この参考資料は、WINREVAIR™ (sotatercept-csrk) Reduced the Risk of Clinical Worsening Events by 76% Compared to Placebo in Patients Recently Diagnosed With PAH on Background Therapy in Phase 3 HYPERION Trial (https://www.merck.com/news/winrevair-sotatercept-csrk-reduced-the-risk-of-clinical-worsening-events-by-76-compared-to-placebo-in-patients-recently-diagnosed-with-pah-on-background-therapy-in-phase-3-hyperion-trial/) の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症と安全性情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。
WINREVAIR™は、日本ではエアウィン®として、肺動脈性肺高血圧症に対する効能又は効果で承認を取得しております。
参考資料
WINREVAIR™(ソタテルセプト)、新たにPAHと診断され、
バックグラウンド治療を受けている患者さんを対象とした第3相HYPERION試験において、
プラセボと比較して臨床的悪化のイベントリスクを76%低下
診断から1年以内のWINREVAIR™早期投与によるベネフィットが示される
HYPERION試験の結果は欧州呼吸器学会 (ERS, European Respiratory Society) 2025で発表され、同時にThe New England Journal of Medicineにも掲載
2025年9月30日:ニュージャージー州ローウェイ Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、新たに肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)と診断された、WHO*機能分類(FC)II度またはIII度で、疾患進行のリスクが中から高の成人患者さん(18歳以上) を対象として、WINREVAIR™(ソタテルセプト)をプラセボと比較評価する(いずれもバックグラウンド治療と併用)第3相HYPERION試験の良好な結果を発表しました。この試験で、WINREVAIR™は臨床的悪化イベントのリスクを76%低下させました(ハザード比[HR]0.24[95%信頼区間[CI]0.14-0.41]; p<0.0001)。これは全死亡、PAHに関連する予期せぬ24時間以上の入院、心房中隔欠損作成術、肺移植、またはPAH悪化の複合評価項目で評価しました。HYPERION試験の被験者は、診断から1年以内(中央値は7カ月、最短1カ月以内)で、70%以上が2剤のバックグラウンド治療を受けていました。なお、第3相STELLAR試験では、ベースライン時にWHO FC II度またはIII度の患者さんが対象で、PAHの診断からスクリーニングまでの罹患期間は平均8.8年でした。WINREVAIR™の安全性プロファイルはこれまでの試験で確認されたものと概ね一貫していました。HYPERION試験の結果は、2025年ERSで発表され、同時にThe New England Journal of Medicineにも掲載されました。
HYPERION試験では、Kaplan-Meier曲線の早期から持続的な乖離が認められ、無作為化から6週間以内に治療上の効果が観察されました。プラセボと標準的なバックグラウンド治療の併用群では、臨床的悪化イベントの集積が認められ、WINREVAIR™群の10.6%(n=17/160)、プラセボ群の36.9%(n=59/160)に、少なくとも1つの臨床的悪化イベントが発生しました。治療上の効果はWINREVAIR™群の事前に規定されたすべてのサブグループ(特発性PAHの患者さん、結合組織病の患者さん、2剤のバックグラウンド治療を受けている患者さん、3剤のバックグラウンド治療を受けている患者さん、REVEAL Lite 2で中等度リスク、またはCOMPERA 2.0で中等度-低リスクの患者さん)で一貫していました。
University of Michigan in Ann Arborの循環器内科のKim A Eagle MD寄附基金教授で肺高血圧症プログラム責任者のVallerie McLaughlin(ヴァレリー・マクラフリン)博士**は、「PAHは進行の速い希少疾患で、診断と早期の治療が非常に重要です。HYPERION試験では、高齢で併存疾患があり、治療の早期段階のPAH成人患者さんを組み入れました。これは実際に日々の診療で診断されているタイプの患者さんを反映しています。HYPERION試験では心強い結果が示され、診断から1年以内にWINREVAIR™をバックグラウンド治療に加えて投与することで、プラセボと比較して臨床的悪化のイベント発現リスクが大幅に低下しました」と述べています。
当社研究開発本部のシニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発部門 ジェネラルアンドスペシャルティメディスン領域責任者のJoerg Koglin(イェルク・コグリン)博士は、「HYPERION試験の良好な結果はWINREVAIR™の一連の臨床エビデンスを拡充するものであり、新たに、診断から1年以内のPAH患者さん、治療の早期段階の患者さんのデータが加わりました。WINREVAIR™に関する包括的なデータに基づき、本剤が診療を変革する可能性があるとさらに確信を深めています。この重要な試験に参加してくださった患者さんと治験担当医師の先生方に感謝します」と述べています。
HYPERION試験におけるWINREVAIR™の安全性プロファイルはこれまでの試験で確認された結果と概ね一貫していました。追跡調査期間の中央値はWINREVAIR™群では14.6カ月でプラセボ群の11.5カ月より長くなりました。有害事象の発生率はWINREVAIR™群とプラセボ群でそれぞれ89.4%と90.0%で、重篤な有害事象の発生率はそれぞれ24.4%と28.1%でした。
WINREVAIR™では、2つの副次評価項目(複合評価項目の改善、REVEAL Lite 2スコアにおける低リスクの維持または達成)について統計学的に有意な改善が認められました。WINREVAIR™群の29.4%、プラセボ群の14.6%が複合評価項目の改善の3つの基準(6MWDの改善、NT-proBNP値の維持/達成、WHO FCの改善またはWHO FC II度の維持)をすべて満たしました。追加の副次評価項目として、WINREVAIR™群の60.1%、プラセボ群の47.9%が、24週時にベースラインと比較して低いREVEAL Lite 2スコア(5以下)を維持または達成しました。WINREVAIR™群では、簡易版French Risk Score(SFRS)における低リスクの達成または維持について統計学的に有意な差を示しませんでした。その後の副次評価項目(NT-proBNP、WHO機能分類、6MWDを含む)ではWINREVAIR™群で数値的に改善が認められましたが、事前に規定された階層的検定手順に従い、正式な検定は実施されませんでした。
HYPERION試験は今年の初めに、WINREVAIR™臨床プログラムの総合的なデータ評価に基づいて早期に終了し、すべての患者さんにSOTERIA試験(非盲検の継続投与試験)を通じてWINREVAIR™を投与する機会が提供されました。HYPERION試験はPAHの成人患者さんにおいてWINREVAIR™の有意な有効性が示された3つ目の第3相試験で、1つ目はACC.23で発表されたSTELLAR試験、2つ目はACC.25で発表されたZENITH試験です。HYPERION試験の結果は世界中の規制当局に共有してまいります。WINREVAIR™は現在、STELLAR試験の結果に基づき54カ国以上で承認されています。
* 世界保健機関
** McLaughlin博士は、成人ソタテセプト運営委員会の委員、ZENITH試験およびHYPERION試験の治験責任医師であり、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの顧問として報酬を受けています。
HYPERION試験について
HYPERION試験(NCT04811092)は、新たに中等度リスクまたは高リスクのPAHと診断された患者さんを対象として、PAHのバックグラウンド治療へのWINREVAIR™の追加を評価する、海外二重盲検プラセボ対照臨床試験です。この試験では、スクリーニングから12カ月以内に症状を伴うPAH(WHO Group 1、FC II度[21.3%; 68/320]またはIII度[78.8%; 252/320])と診断された患者さんを対象としました。2名の患者さんがPAHの診断から1年以上経過し(ソタテルセプト群の1名が442日、プラセボ群の1名が397日)治験実施計画書から逸脱していました。適格な被験者は、特発性PAH(59.4%; 190/320)、遺伝性PAH(5.9%; 19/320)、結合組織病(CTD)に伴うPAH(30.3%; 97/320)、薬剤・毒物誘発性PAH(2.5%; 8/320)、または修復術施行後少なくとも1年以上経過した、単純性の先天性体循環-肺動脈シャントを伴うPAH(1.9%; 6/320)のいずれかのPAHの確定診断を受けており、REVEAL Lite 2で中等度リスク以上、COMPERA 2.0で中等度-低リスク以上に分類された患者さんでした。この試験では、PAH Group 1のうち、HIV関連PAH、門脈圧亢進症関連PAH、住血吸虫症関連PAH、肺静脈閉塞症、肺毛細血管腫症の患者さんは対象外でした。
この試験には18歳以上の320名の被験者を組み入れ、バックグラウンド治療と併用で、WINREVAIR™またはプラセボを投与する群に1:1の割合で無作為に割り付けました。被験者は中等度から高度の疾患進行リスクがあり、2剤(72.2%; 231/320)または3剤(27.8%; 89/320)のPAHのバックグラウンド治療をスクリーニングの90日以上前から一定容量で継続投与している患者さんでした。ほとんどの被験者(83.4%; 267/320)がプロスタサイクリン持続静注を受けていませんでした。
主要複合評価項目は臨床的悪化までの時間(TTCW)で、最初に確認されたmorbidity/mortalityイベントによって評価されました。臨床的悪化のイベントは、全死亡、PAHに関連する予期せぬ24時間以上の入院、心房中隔欠損作成術、肺移植、6分間歩行距離(6MWD)のベースラインからの低下に以下の変化を1つ以上伴う悪化:WHO FCのベースラインからの悪化、右心不全の兆候・症状、PAHのバックグラウンド治療の追加または非経口投与への変更、と定義されています。副次評価項目は24週時におけるベースラインからの複合評価項目の改善(6MWDの改善、N-terminal pro-B-type natriuretic peptide[NT-proBNP]値の改善、WHO FCの改善またはWHO FC II度の維持)を達成した被験者の割合などでした。
WINREVAIR™(ソタテルセプト)皮下注用45 mg、60 mgについて
WINREVAIR™は肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)の成人患者さんの運動耐容能を向上させ、WHO機能分類(FC)を改善し、臨床的悪化イベントのリスクを低下させる治療薬としてFDAの承認を受けています。WINREVAIR™はアクチビンシグナル伝達阻害剤として初めて承認されたPAHの治療薬です。WINREVAIR™は、増殖を促進するシグナル伝達経路と増殖を抑制するシグナル伝達経路のバランスを改善し、血管構成細胞の増殖を制御します。非臨床モデルでは、これらの細胞に対する作用により、血管壁厚の減少、部分的な右室のリバースリモデリング、並びに血行動態の改善が認められました。
WINREVAIR™はBristol Myers Squibbとのライセンス契約の対象です。
WINREVAIR™の安全性情報について
安全性情報など一部情報は米国のもので、日本の情報ではありません。詳しくは当社英文リリースをご参照ください。
PAHについて
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺小動脈の狭窄と肺循環系の血圧上昇を特徴とする進行性の命に関わる希少疾患です。全世界のPAH患者数は約90,000人です。速く進行してしまうケースも多くあります。PAHにより心臓に非常に大きな負担がかかり、身体活動の制約、心不全、生命予後の短縮につながります。PAHの5年死亡率は約43%です。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAについて
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。詳細については、当社ウェブサイトやX(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTube、LinkedInをご参照ください。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの将来に関する記述
このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。
リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAによる将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAは、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAに関するForm 10-Kの2024年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。
以上
MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Instagram、YouTubeをご参照ください。