MSD人事部門統括が語る、「社員が主役」多様性を活かすチームづくり

人事部門統括 齊藤 香織
革新的な医薬品・ワクチンをお届けするためには、多様な視点や価値観を活かしコラボレーションとイノベーションを促進することが不可欠です。そのため、MSDでは、多様な働き方を実現する制度だけでなく、社員一人ひとりが自分らしく活躍できるインクルーシブなチームづくりにコミットしています。
毎年9月には、グローバル全体でダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の社内浸透をはかりインクルーシブな風土を育むための「D&I月間」を開催しています。2025年は節目となる10周年を迎えます。
今回、MSDが推進するD&Iについて人事部門統括 齊藤 香織に話を聞きました。MSDのD&Iの特徴や具体的な取り組み、そして今後の展望についてご紹介します。
社員一人ひとりがD&I推進の担い手
-まず、MSDのD&Iには、どんな特徴がありますか?
「企業文化としての浸透」と「社員の主体性」です。裁量労働制、育休制度といった社内制度は人事部門が主導していますが、D&Iの浸透・推進は「社員一人ひとりが当たり前に取り組むべきテーマ」として位置づけています。社員がD&Iの主役で、人事部門はあくまでも支援役に徹しています。
2024年末にD&Iに関する日本最大のアワード「D&I Award」で「D&I Award大賞(大企業部門)」を受賞しましたが、こうした点が「MSDならでは」として評価いただけたのではないかと思います。


-人事部門がD&Iを主導する企業が多い中、社員が担い手というのは特徴的ですね。主体性をどう培っているのでしょうか。
「社員ネットワーク」の存在が大きいですね。社員が任意で参加するコミュニティで、トップダウンだけでなく、社員の視点を活かしたボトムアップのアプローチも必要だとして整備されました。ジェンダー、LGBTQ+、障害者支援、育児/介護など7つのネットワークがあり、より良い職場環境づくりを目指して部門の垣根を越えて総勢600名以上の社員が参加しています。

その一つの「Women’s Network」は300名以上を擁する最大の社員ネットワークで、女性だけでな男性も参加しています(男性メンバーは約25%)。「国際女性デー」を記念した社内イベントの開催(詳細こちら)や、生理休暇(月3日有給)をエクイティ休暇と名称変更したのも、このネットワークの働きかけによるものです(詳細こちら)。名称変更を機に休暇の取得率が1.5倍アップしました。
社員で作り上げ、学びあうD&I月間
-今年で10回目を迎える「D&I月間」ですが、どのようなイベントが開催されるのでしょうか。
D&Iについて経営層や部門リーダーが語り合うセッションに加えて、社員ネットワークが趣向を凝らした社員参加型のイベントを企画しています。
障害者支援ネットワークでは、11月に開催される「東京2025デフリンピック*」の周知イベントを開催します。同イベントのスポンサーとして、MSD展示ブースや大会運営など、社員からのボランティアも募る予定です。
*「きこえない・きこえにくい」デフアスリートを対象とした国際的なスポーツ大会。東京2025デフリンピックは、100周年の記念すべき大会であり、日本初開催。
100人以上のメンバーを擁する「Rainbow Alliance」は、LGBTQ+の社内外啓発にアクティブに取り組んでおり、レインボープライドイベントでのパレード参加を企画しています。その他の社員ネットワークも各テーマを深掘りするウェビナーを開催します。社内SNS投稿も活発に行って、社内全体で盛り上げていきます。
こうした「社員が主役」のイベントが、インクルーシブな企業風土を育むうえで大きく貢献していると感じます。
今後取り組むのは、さらなる自分ごと化
-今後の課題と、それにどう向き合っていくのかについて教えてください。
より多くの社員にD&Iを自分ごと化してもらうことです。社員ネットワークに参加していない、自分自身がマイノリティグループに属していないといった理由で、自分ごととして捉えていない社員もいるでしょう。
そこで着目しているのが「日本型ニューロダイバーシティ」。年齢や性別といった目に見える違いを超えて、考え方や特性など「脳・神経の働き方の違い」まで含めると、一人ひとりが多様性の当事者。「人間なんだからみんな大体同じ」から「人間なんだから一人ひとり違うはず」という発想へと転換し、それぞれにあった働き方を考えていこうというものです。
過去のD&I月間の際には、外部有識者を招いて社内セミナーを開催しました(詳細こちら)。こうした新しい考えを積極的に取り入れ、イノベーティブで変化に対応できるしなやかな組織を築いていきたいと考えています。

ニューロダイバーシティ社内ベントの様子
-最後に一言お願いします。
D&I先進的企業として評価いただく機会が増え、非常に光栄に感じています。それでも私たちのD&I推進には終わりはありません。社員一人ひとりが強みを活かし自分らしく輝けるように、「社員が主役」のチームづくりを力強くサポートしていきます。