肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬「エアウィン®」新発売のお知らせ
2025/08/18 15:00 JST
報道関係各位
MSD株式会社
MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:プラシャント・ニカム、以下「MSD」)は、本日、肺動脈性肺高血圧症(Pulmonary arterial hypertension: PAH)の治療薬として、アクチビンシグナル伝達阻害剤「エアウィン®皮下注用45mg」「エアウィン®皮下注用60mg」(一般名:ソタテルセプト(遺伝子組換え))を発売したことをお知らせします。
エアウィン®は、肺動脈性肺高血圧症(Pulmonary arterial hypertension: PAH)の本態である肺血管リモデリング(肺血管を構成する細胞が異常に増殖し、血管の壁が厚くなること)を標的とした、新規作用メカニズムを持つ治療薬です。細胞増殖を促進するアクチビンシグナル伝達を阻害することでシグナル伝達のバランスを改善し、肺血管平滑筋細胞の増殖を抑制し血行動態を改善します。非臨床モデルでは、これらの細胞に対する作用により、血管壁厚の減少、右室リモデリングの減少、ならびに血行動態の改善が認められました。エアウィン®は、標準的なバックグラウンド療法を受けているPAHの成人患者(WHO機能分類クラスIIおよびIII)を対象とした、海外第3相試験(STELLAR試験)および国内第3相試験(020試験)等の結果に基づき、肺動脈性肺高血圧症を効能又は効果として2025年6月24日に製造販売承認を取得しました。
肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る血管である肺動脈の血液の流れが悪くなることで、肺動脈の血圧が高くなる病気です。肺動脈の血圧が高くなると、心臓の右心室に負担がかかり、やがて右心不全に至ります。肺高血圧症を治療せずに放置すると、数年以内に命を落としてしまうこともあります。PAHは肺高血圧症の一種で、肺血管リモデリングなどが生じ、肺血管が狭くなることにより発症します。PAHは厚生労働省の指定難病(難治性呼吸器疾患)であり、認定を受けた患者さんは4,682名(2023年度)と年々増加しています*1。近年、PAHは治療薬の開発が進み、既存薬の併用療法によって治療成績は改善していますが、PAHの予後にはいまだに課題が残っており、さらなる治療選択肢が求められています。
MSD代表取締役社長のプラシャント・ニカムは「本日、PAHの新たな治療薬として『エアウィン®』を発売できたことを大変嬉しく思います。PAH治療薬としては肺の血管を広げる薬が主に使用されていますが、『エアウィン®』はPAHの根本原因を標的とした初めての治療薬です。この革新的な医薬品を通じて、PAHの患者さんに新たな希望をお届けできるものと確信しています。」と述べています。
MSDは、肺高血圧症患者さんとご家族に寄り添い、よりよい未来に貢献できるよう、肺高血圧症治療薬の開発および提供に引き続き全力で取り組んでまいります。
*1: 難病情報センターホームページ(2025年6月現在)から引用
以上
MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Instagram、YouTubeをご参照ください。
<参考資料>