1日1回経口投与のPCSK9阻害剤「エンリシチド」 高コレステロール血症および家族性高コレステロール血症の治療薬として承認を申請
2026/09/14 15:00 JST
報道関係各位
MSD株式会社
MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:プラシャント・ニカム、以下「MSD」)は、本日、1日1回経口投与のプロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤である「エンリシチド」について、高コレステロール血症および家族性高コレステロール血症の治療薬として製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。
脂質異常症の一種であり、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の高値を特徴とする高コレステロール血症は、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患(ASCVD)の主要な危険因子です*1。ASCVDは、患者さん本人およびその家族に、身体的・精神的・経済的な負担をもたらし*2、患者さんと家族の人生を変え得る疾患です。日本では心筋梗塞などの虚血性心疾患患者さんが約144万人、脳梗塞患者さんは約131万人いることから*3、脳卒中・循環器病対策基本法においても、循環器病の予防を推進し、健康寿命の延伸や医療・介護に係る負担の軽減を図ることの重要性が示されています*4。
ASCVDは進行性の疾患ですが、その中でもLDL-CはASCVDの発症・再発にかかわる特に重要かつ修正可能なリスク因子です。LDL-C高値の状態が長期間続くほど、心筋梗塞や脳梗塞などのASCVDを発症するリスクは高くなります*5。高コレステロール血症の治療では、生活習慣の改善のほか、スタチンを第一選択にした標準的薬物療法が推奨されており*1、LDL-Cの管理を早期に開始し継続することが、ASCVDの発症リスクの低減につながることが示されています*5。
しかしながら、高コレステロール血症の治療においては、治療目標が達成されていないにもかかわらず、治療の開始・強化・変更が適切に行われていない「Clinical Inertia(クリニカル イナーシャ)」が課題として指摘されており*6、既存の薬物療法では、診療ガイドラインで推奨されているLDL-Cの管理目標を達成できていない患者さんが多く存在します*7。また、現在日本で使用されているPCSK9阻害剤には強力なLDL-C低下作用がありますが、いずれも注射剤であり、患者さんの利便性や治療継続性(アドヒアランス)の向上に加え*8、治療へのアクセス向上の観点からも*9、さらなる治療選択肢が求められています。
今回の申請は、高コレステロール血症および家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)の成人患者さんを対象に、エンリシチドの有効性および安全性を評価した国際共同第3相臨床試験CORALreef Lipids試験などの良好な結果に基づいています。CORALreef Lipids試験では、スタチンを含む安定した脂質低下療法を受けている、またはスタチン不耐(副作用などによりスタチンを継続できない状態)が記録されている患者さんを対象に、エンリシチドの有効性および安全性を評価しました。その結果、エンリシチド20mgの1日1回経口投与は、24週時においてLDL-C値をプラセボと比較して約60%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示しました。また、安全性プロファイルはプラセボと同様でした。
MSDは、循環器系疾患領域および代謝疾患領域において、これまで長年にわたり数々の革新的な治療薬を届けてまいりました。これからも、患者さんや医療従事者のニーズにお応えできるよう努めてまいります。
エンリシチドについて
エンリシチドは、当社が開発中の新規の大環状ペプチドの経口PCSK9阻害剤です。LDL受容体の分解を促進する蛋白質であるPCSK9に結合し、PCSK9とLDL受容体の相互作用を阻害することにより、悪玉コレステロール(LDL-C)の取り込みを促進することで血中コレステロールを低下させます。1日1回経口投与の錠剤として、スタチンなどの既存の脂質低下療法で十分な効果が得られない、またはスタチン不耐を有する高コレステロール血症および家族性高コレステロール血症の患者さんに対する新たな治療選択肢を目指し、グローバル臨床開発プログラム(CORALreef試験プログラム)を通じて開発が進められています。
エンリシチドは2026年7月、HeFHを含む高コレステロール血症の成人患者さんにおけるLDL-Cを低下させる、食事療法および運動療法の補助療法として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しました。
*1 日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
*2 厚生労働省:循環器病対策推進基本計画(第2期)(令和5年3月28日閣議決定)
*3 厚生労働省:令和5年(2023年)患者調査(虚血性心疾患患者:第159表 傷病小分類別 9 循環器系の疾患のうち、狭心症、急性心筋梗塞、陳旧性心筋梗塞、その他の虚血性心疾患の総数)(脳梗塞患者:第159表 傷病小分類別 9 循環器系の疾患のうち、脳梗塞の総数)
*4 健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(平成30年12月14日法律第105号)
*5 Eur Heart J. 2017;38:2459-72.
*6 Circ J. 2026;90:266-73.
*7 Circ Rep. 2026;8:1121-30.
*8 J Atheroscler Thromb. 2025;32:163-75.
*9 J Atheroscler Thromb. 2023;30:1106-7.
以上
MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Instagram、YouTubeをご参照ください。