すべての新生児および乳児を対象とする長期間作用型抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤「エヌフロンシア®」製造販売承認を取得~体重にかかわらず固定用量を1回筋肉内注射することで予防効果を発揮~
2026/06/19 15:00 JST
報道関係各位
MSD株式会社
MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:プラシャント・ニカム、以下「MSD」)は、本日、長期間作用型抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤「エヌフロンシア® 筋注シリンジ105mg」(一般名:クレスロビマブ(遺伝子組換え)、以下、エヌフロンシア®)について、以下の「効能又は効果」で製造販売承認を取得しましたのでお知らせいたします。
- 生後初回のRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児及び乳児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制
- 生後初回のRSウイルス感染流行期の1.以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防
RSウイルスは、気道などに感染する伝染性のウイルスで、感染力が強く、特に乳児や高齢者では重篤な呼吸器疾患を引き起こすことがあります*1,2。日本では、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも一度は感染するとされており、生後1歳未満では、年間で1,000人あたり20~30人程度がRSウイルス感染症で入院を要すると推定されています*3。また、日本の5歳未満の健康な児において、RSウイルス感染症による入院率はインフルエンザの入院率の約10倍高かったという調査*4や、入院した2歳未満のRSウイルス感染症患者の約90%が、RSウイルス感染症重症化のリスクファクター(早産児、気管支肺異形成症、先天性心疾患(CHD)、ダウン症候群および免疫不全症)を有していなかったという報告*5があるなど、健康な児においても重症化する例が多くみられます。このようなことから、すべての新生児および乳児が予防できる環境が必要と考えられています。
エヌフロンシア®は、RSウイルス感染症予防の受動免疫として開発された半減期延長型、長期間作用型のヒトモノクローナル抗体(mAb)です。生まれて初めてRSウイルス感染流行期を迎える新生児および乳児に、投与時の体重に関係なく単回固定用量を筋肉内注射することで、抗体が直接的に作用し、予防効果が得られるように設計されています。
MSD代表取締役会長執行役員 グローバル研究開発本部長の白沢 博満は、「このたび、重症化リスクの高い新生児および乳児だけでなく、すべての新生児および乳児をRSウイルス感染症から守るための新たな選択肢として抗体製剤『エヌフロンシア®』の承認を取得できたことを大変嬉しく思います。RSウイルス感染症は、特に乳児において重症化および入院のリスクがあり、ご本人だけでなくご家族にとっても負担の大きな疾患です。体重にかかわらず固定用量を1回筋肉内注射することで予防効果を発揮する『エヌフロンシア®』は、日本の子どもたちの健やかな発育に貢献できるものと考えております。より多くの新生児および乳児が公平にRSウイルス感染症から守られるよう、抗体製剤の早急な定期接種化を期待しています」と述べています。
今回の製造販売承認は、初めてRSウイルス感染流行期を迎える生後1歳までの健康な早産児および正期産児を対象にエヌフロンシア®単回投与の安全性と有効性を評価する第2b/3相CLEVER(MK-1654-004)試験、RSウイルス感染症の重症化リスクの高い乳児および幼児を対象にエヌフロンシア®の安全性と有効性などをパリビズマブと比較する第3相SMART(MK-1654-007)試験の結果に基づいています。
エヌフロンシア®は、2025年6月に米国で承認され、2026年4月に欧州委員会(EC)の承認を取得しており、その他複数の国・地域でも承認されています。
MSDは、乳児から高齢者まで幅広い年齢を対象とした、様々な感染症に対するワクチンを提供しています。MSDは今後も、革新的なワクチンなどの提供を通して、日本の公衆衛生の向上に貢献できるよう努めてまいります。
*1 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト RSウイルス感染症([2026年5月8日]閲覧)
*2 日本小児呼吸器学会/日本新生児育成医学会 小児RSウイルス呼吸器感染症 診療ガイドライン2026
*3 Yusuke Okubo, et al. J Pediatric Infect Dis Soc. 2025 Jan;14(1):piae115.
*4 Takeshi Arashiro, et al. Influenza Other Respir Viruses. 2024 Nov;18(11):e70045.
*5 Yasuhiro Kobayashi, et al. Pediatr Int. 2022 Jan;64(1):e14957.
承認の根拠となった主な臨床試験について
CLEVER試験について
CLEVER試験は、生後1年以内で初回RSウイルス感染流行期を迎える健康な正期産児/後期早産児(在胎期間35週以上)及び早期早産児/中期早産児(在胎期間29週以上35週未満)を対象にエヌフロンシア®の安全性と有効性を評価した、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間の第2b/3相臨床試験です。3,632 例(うち日本人186 例)を、初日に固定用量のエヌフロンシア®を単回投与(105 mgを筋注(IM))する群またはプラセボ(生理食塩液)群に2:1の割合で無作為に割り付けました。主要評価項目は、初日(投与後)から150日目までにRSウイルス関連の医療介入が必要となった下気道感染症 注)の発現率でした。投与後150日目までのRSウイルス関連の入院率は副次評価項目として評価されました。主要評価項目の発現率をプラセボと比較したところ、60.4%(95% CI:44.1, 71.9, p<0.001)の有効率で低下しました。また、副次評価項目の入院率についても、プラセボと比較して84.2%(95% CI:66.6, 92.6, p<0.001)の有効率で低下しました。いずれの評価項目についてもエヌフロンシア®群とプラセボ群の比較において統計学的に有意な差が認められました。
投与後180日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症の発現率も副次評価項目として評価され、有効率の推定値は59.5%(95%信頼区間:43.3, 71.1)でした。投与後365日目までに、エヌフロンシア®群で2,409例中696例(28.9%)、プラセボ群で1,202例中344例(28.6%)に、治験担当医師により治験薬との関連ありと判定された有害事象が認められました。治験担当医師により治験薬との関連ありと判定された主な事象(発現割合5%以上)は、エヌフロンシア®群で易刺激性371例(15.4%)、傾眠248例(10.3%)及び注射部位疼痛156例(6.5%)、プラセボ群で易刺激性172例(14.3%)、傾眠129例(10.7%)及び注射部位疼痛96例(8.0%)で、これらの主な事象は投与後5日目までは事前に規定した有害事象として収集され、それ以降は自発報告として収集されました。
注)受診(入院及び外来)を要し、以下のすべての要件を満たした、RSウイルスによる下気道感染と定義された。
① 咳嗽又は呼吸困難
② 次のうち1つ以上が発現:喘鳴、胸壁の引き込み/陥凹、ラ音/断続性ラ音、低酸素血症、頻呼吸、呼吸器症状に起因する脱水
③ 上咽頭検体を用いたRT-PCRでRSウイルス陽性
SMART試験について
SMART試験は、生後1年以内で初回RSウイルス感染流行期を迎える、在胎期間35週0日以下の早産児又は慢性肺疾患若しくは血行動態に影響を及ぼす先天性心疾患を有する児を対象にエヌフロンシア®の安全性、有効性、薬物動態をパリビズマブと比較評価した、パリビズマブ対照無作為化部分盲検並行群間の第3相臨床試験です。中間解析時点(2024年2月5日データカットオフ)において、参加者901例(うち日本人25例)を、エヌフロンシア®群(初回に本剤、1ヵ月後にプラセボを筋肉内注射)またはパリビズマブ群(初回および以降1ヵ月ごとにパリビズマブを合計3~5回筋肉内注射)に1:1の比で無作為に割り付けました。投与後150日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症 注)の発現率[エヌフロンシア®群(発現率3.6%、95%信頼区間:2.0, 6.0)、パリビズマブ群(発現率3.0%、95%信頼区間:1.6, 5.3)]および投与後150日目までのRSウイルスに関連する入院率[エヌフロンシア®群(発現率1.3%、95%信頼区間:0.4,3.0)、パリビズマブ群(発現率1.5%、95%信頼区間:0.6, 3.3)]は、両群でおおむね同程度でした。生後初回のRSウイルス感染流行期において、エヌフロンシア®群で445例中141例(31.7%)、パリビズマブ群で450例中163例(36.2%)に、治験担当医師により治験薬との関連ありと判定された有害事象が認められました。治験担当医師により治験薬との関連ありと判定された主な事象(発現割合5%以上)は、エヌフロンシア®群で易刺激性88例(19.8%)、傾眠43例(9.7%)、注射部位疼痛35例(7.9%)、食欲減退33例(7.4%)、注射部位紅斑31例(7.0%)及び注射部位腫脹30例(6.7%)、パリビズマブ群で易刺激性93例(20.7%)、傾眠63例(14.0%)、注射部位疼痛51例(11.3%)、食欲減退31例(6.9%)、注射部位紅斑27例(6.0%)及び注射部位腫脹24例(5.3%)であり、これらの主な事象は投与後5日目までは事前に規定した有害事象として収集され、それ以降は自発報告として収集されました。
注)受診(入院及び外来)を要し、以下のすべての要件を満たした、RSウイルスによる下気道感染と定義された。
① 咳嗽又は呼吸困難
② 次のうち1つ以上が発現:喘鳴、胸壁の引き込み/陥凹、ラ音/断続性ラ音、低酸素血症、頻呼吸、呼吸器症状に起因する脱水
③ 上咽頭検体を用いたRT-PCRでRSウイルス陽性
以上
MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Instagram、YouTubeをご参照ください。
参考資料
長期間作用型抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤「エヌフロンシア®」

電子添文より抜粋