オンコロジー領域

がんとの闘いは次のステージへ。
失敗を恐れずに、最前線を走り続ける。

嶋本 隆司(オンコロジーサイエンスユニット統括)
山本 景子(オンコロジーサイエンスユニット セクション2 上席部長)
齋藤 裕子(オンコロジーサイエンスユニット オンコロジーサイエンティフィックアフェアーズ 部長)

01
がん治療の概念が変わった
―免疫チェックポイント阻害剤の開発―

オンコロジーサイエンスユニットは、2015年に発足した部署ですが、現在は人員も大幅に増え、国内有数のオンコロジー領域の開発組織となりました。米国本社、規制当局、外部の専門家と連携しながら、多様な背景をもつメンバーと共に、免疫チェックポイント阻害剤を基盤としたがん治療法の臨床開発を進めています。

がん治療の歴史は外科領域から始まり、1990年代には殺細胞性の抗がん剤が、2000年頃からは分子標的薬が登場し大きく進歩しました。そして、がん治療の概念を大きく変えたのが、がんが免疫による監視から逃れるメカニズムを標的とした免疫チェックポイント阻害剤の登場でした。

しかし、私たちが免疫チェックポイント阻害剤の開発を始めた当初、社内外での期待はあまり高いとは言えない状況でした。それでも候補物質の可能性を信じ、医療現場の先生方にも協力をお願いしながら、開発を続けてきました。地道な努力がついに実を結び、国際学会でデータが発表されたときのことは、一生忘れることができないでしょう。あきらめずにやってきて本当によかったと、苦労を分かち合ったチーム一同で成功をたたえ合いました。

02
“Right treatment for right patient
(一人ひとりの患者さんに最適な治療を)”の実現に向けて
―がん治療開発の最前線―

私たちは、より効果的ながん治療の実現に向けて、適応拡大と治療成績の向上の両面を目指して開発を進めています。免疫チェックポイント阻害剤については現在、幅広いがんで臨床試験が進んでいます。また、治療効果をより向上させるために、他の製薬企業や研究機関と連携して、免疫チェックポイント阻害剤と他の作用メカニズムを持つさまざまな薬剤を組み合わせた併用療法の開発も行っています。さらに、進行期だけではなく術前術後も含めた周術期の患者さんへの治療法としての活用も視野に入れています。新たな画期的なアプローチとしては、バイオマーカーに着目した、がん横断的な治療薬の開発にも取り組んでいて、“Right treatment for right patient”の時代の到来を思い描いています。

03
失敗を恐れず真のメディカル・ニーズに応える
―開発業務に求められること―

私たちが開発業務を進める上で大切にしていることは、3つあります。第1に、医療現場が真に求めるメディカル・ニーズは何かを真剣に考え、それを追求することです。米国本社の創業者の息子であり創成期に社長を務めたジョージ・W・メルクによる「医薬品は人々のためにあるのであり、利益のためにあるのではないことを決して忘れてはならない」という理念を受け継ぐ私たちは、真のニーズを理解しそれに応えることができれば、利益は後からついてくると考えています。

第2に、失敗を恐れないことです。医薬品開発の成功率は決して高いものではありません。しかし、今までに治療薬が開発されていないからこそ臨床試験を行うのであって、前例のないことへのチャレンジを恐れていては進歩はありません。綿密に計画を立て、いざというときには道なき道を切りひらいていく気概が大切です。

第3に、トップサイエンスを常にキープすることです。私たちはサイエンス・リーディング・カンパニーとして、日進月歩のサイエンスの動向に常にアンテナを張りめぐらせ、トップレベルを維持する労を惜しみません。開発者は、さながらアスリートのようだと感じています。

グローバル企業であるMSDには、医薬品開発を行う上で必要な経営基盤、多様な人財、強力な支援体制が整っています。私たちはこうした恵まれた環境で、製品の科学的価値を高めることにも、アンメット・メディカル・ニーズに立ち向かうことにも、臆することなく挑んでいます。また、MSDにはさまざまなキャリアパスがあり、入社後に異なる業務に挑戦しながら多角的な視点を養う機会があります。裁量労働制やリモートワーク制度を利用して、出産や介護などのライフイベントも乗り越えてチャレンジを続けているメンバーもいます。そして、何よりも、困っている患者さんがいれば、成功するかどうかわからなくても新薬の開発に挑む、ここに重きを置く企業姿勢が、MSDの大きな魅力だと私たちは感じています。

イノベーションを待ち望んでいる患者さんがまだまだ多くいらっしゃいます。それを常に忘れず、真のメディカル・ニーズに応えるべく、私たちはチームで一丸となって臨床開発に取り組んでいきたいと思います。

(所属・内容等は取材当時のものとなります)

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代表取締役上級副社長
グローバル研究開発本部長
白沢 博満

多様な人財が集まるMSD研究開発本部。その人財の総力を結集し、サイエンス・イノベーションへとつなげていくのが本部長の仕事です。「すべては、患者さんのために」という理念の下、研究開発トップのサイエンス・イノベーションにかける熱い想いや仕事の流儀をご紹介します。

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クリニカルリサーチ領域長
田中 宜之

人類の歴史におけるさまざまな感染症との闘いに、大きく貢献したワクチン。MSDのワクチン開発における長い歴史と数々の実績を礎に、今の時代に必要とされている画期的なワクチンの開発に取り組んでいるチーム。その揺るぎない覚悟と情熱をご紹介します。

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