早期のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する術前薬物療法においてKEYTRUDA®(ペムブロリズマブ)と化学療法との併用療法が化学療法単独と比較して病理学的完全奏効率を統計学的に有意に改善 術前・術後薬物療法を評価する第3相KEYNOTE-522試験の中間解析結果をESMO 2019のプレジデンシャルシンポジウムで初めて発表 KEYTRUDA®と化学療法との併用療法はハイリスクの早期TNBCに対する術前薬物療法として米国FDAよりブレイクスルーセラピーに指定(公表済)
October 8, 2019 00:00 Asia/Tokyo
報道関係各位
MSD株式会社
この参考資料は、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が2019年9月29日(米国東部時間)に発表したニュースリリース
の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症と安全性情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。
KEYTRUDA®は、日本ではキイトルーダ®として、悪性黒色腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)の効能・効果で承認を取得しております。
参考資料
早期のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する術前薬物療法において
KEYTRUDA®(ペムブロリズマブ)と化学療法との併用療法が
化学療法単独と比較して病理学的完全奏効率を統計学的に有意に改善
術前・術後薬物療法を評価する第3相KEYNOTE-522試験の中間解析結果を
ESMO 2019のプレジデンシャルシンポジウムで初めて発表
KEYTRUDA®と化学療法との併用療法は
ハイリスクの早期TNBCに対する術前薬物療法として
米国FDAよりブレイクスルーセラピーに指定(公表済)
2019年9月29日 ニュージャージー州ケニルワース ― Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、抗PD-1抗体KEYTRUDA®(一般名:ペムブロリズマブ)について、早期のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者における術前・術後薬物療法を評価する第3相KEYNOTE-522試験の結果を発表しました。この試験では、術前薬物療法としてKEYTRUDA®と化学療法の併用投与および術後薬物療法としてKEYTRUDA®単独療法を行うグループ(KEYTRUDA®群)と、術前薬物療法として化学療法の単独投与および術後薬物療法としてプラセボ投与を行うグループ(化学療法+プラセボ群)とを比較しました。今回の発表内容はTNBCに対する術前・術後薬物療法としての抗PD-1抗体を評価した初めての無作為化試験から得られた中間解析結果であり、2019年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のプレジデンシャルシンポジウムで発表されました(アブストラクト #LBA8)。
術前薬物療法では、早期のTNBC患者においてKEYTRUDA®と化学療法との併用(n=401)により化学療法単独(n=201)と比較して病理学的完全奏効率(pCR)が統計学的に有意に改善し、化学療法単独では51.2%であったのに対して、KEYTRUDA®と化学療法との併用療法では64.8%になりました(p=0.00055)。二つの主要評価項目の一つである病理学的完全奏効はypT0/Tis ypN0(乳房およびリンパ節内に浸潤性の残存病変を認めない)となった場合と定義しました。術前薬物療法として化学療法にKEYTRUDA®を併用することによる改善はPD-L1の発現にかかわらず認められました。もう一つの主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)については、追跡期間の中央値15.5カ月間の時点において、KEYTRUDA®群では化学療法+プラセボ群と比較して良好な傾向がみられ、術前薬物療法期の進行および術後薬物療法期の再発のリスクが37%低下しました(HR=0.63[95% CI:0.43~0.93])。KEYNOTE-522試験におけるKEYTRUDA®と化学療法の安全性プロファイルはこれまでの試験で報告されたものと一貫していました。
当社研究開発本部責任者のRoger M. Perlmutter博士は、「この革新的デザインの試験は、早期のTNBC患者さんにおいてKEYTRUDA®による術前薬物療法と術後薬物療法を実施した最初の試験です。本日報告されたKEYNOTE-522試験の結果は非常に有望であり、TNBCと診断された患者さんの治療を変える可能性があります」と述べています。
Barts Cancer Institute、Centre for Experimental Cancer MedicineのリーダーであるPeter Schmid博士は「TNBCの治療を専門とする腫瘍医として、本試験においてKEYTRUDA®と化学療法との併用による術前薬物療法によりpCR率が有意に上昇し、無イベント生存期間に良好な傾向が認められたことは実に励みになります。TNBCの患者さんにおいてはpCR率を向上させる新たな治療法が大いに必要とされています」と述べています。
すでに発表したとおり、KEYTRUDA®と化学療法との併用療法は、ハイリスクの早期TNBCに対する術前薬物療法において米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬(ブレイクスルーセラピー)の指定を受けています。この指定は、ハイリスクの早期TNBC患者に対する術前薬物療法においてKEYTRUDA®と化学療法との併用療法が抗腫瘍効果を示すことを明らかにした第1b相KEYNOTE-173試験および第2相I-SPY2試験のデータに基づくものです。
Triple Negative Breast Cancer Foundationの専務理事であるHayley Dinerman氏は「KEYNOTE-522試験の結果は、科学の進歩を特に必要しているTNBCの患者さん、ご家族、治療に携わる医療従事者にとって心躍るものです。私たちはTNBCの患者さんの支援に尽力しており、初期の治療に焦点を当てた新たなデータが出たことをうれしく思います」と述べています。
すでに発表したとおり、KEYNOTE-522試験で得られた初期の中間解析データは規制当局に報告される予定です。当社は、乳がんにおけるKEYTRUDA®について、KEYNOTE-355試験やKEYNOTE-242試験といった社内および外部との共同試験を含む、確固たる臨床開発プログラムを引き続き進めていきます。
KEYNOTE-522の試験デザインおよび追加データ(アブストラクト #LBA8)
KEYNOTE-522試験は第3相無作為化二重盲検試験です(ClinicalTrials.gov, NCT03036488)。二つの主要評価項目として、pCRとEFSを事前に規定した群逐次法により評価しました。副次評価項目は、別の2種類の定義によるpCR率(ypT0 ypN0=乳房およびリンパ節内に浸潤性と非浸潤性の残存病変を認めない、ypT0/Tis=根治手術時に乳房内に浸潤性の残存病変を認めない)、全生存期間(OS)、PD-L1陽性(Combined Positive Score[CPS]≧1)の患者におけるpCRとEFSとOS、および安全性でした。この試験では登録患者1,174名を次のいずれかの群に2:1の割合で無作為に割り付けました。
- KEYTRUDA®群:術前薬物療法としてKEYTRUDA®(3週間ごと)+パクリタキセル(週1回)+カルボプラチン(週1回または3週間ごと)を4サイクル投与後、KEYTRUDA®+シクロホスファミド+ドキソルビシンまたはエピルビシン(3週間ごと)を4サイクル投与し、術後薬物療法としてKEYTRUDA®(3週間ごと)を9サイクル投与(n=784)
- 化学療法+プラセボ群:術前薬物療法としてプラセボ(3週間ごと)+パクリタキセル(週1回)+カルボプラチン(週1回または3週間ごと)を4サイクル投与後、プラセボ+シクロホスファミド+ドキソルビシンまたはエピルビシン(3週間ごと)を4サイクル投与し、術後薬物療法としてプラセボ(3週間ごと)を9サイクル投与(n=390)。
副次評価項目である別の2種類の定義によるpCRについては、術前薬物療法期のypT0 ypN0と定義したpCR率はKEYTRUDA®+化学療法群(n=401)で59.9%、化学療法単独群(n=201)で45.3%であり、ypT0/Tisと定義したpCR率はKEYTRUDA®+化学療法群で68.6%、化学療法単独群で53.7%でした。
PD-L1発現状況別にみたpCRの探索的なサブグループ解析では、PD-L1の発現にかかわらず、術前薬物療法として化学療法にKEYTRUDA®を併用することによるpCRの改善が認められました。PD-L1 CPS≧1のサブグループでは、術前薬物療法期のpCR率はKEYTRUDA®+化学療法群(n=334)で68.9%、化学療法単独群(n=164)で54.9%でした。PD-L1 CPS<1のサブグループでは、術前薬物療法期のpCR率はKEYTRUDA®+化学療法群(n=64)で45.3%、化学療法単独群(n=33)で30.3%でした。
術前薬物療法期に治療関連の有害事象(全グレード)を発現した患者の割合は、KEYTRUDA®+化学療法群(n=781)で99.0%、化学療法単独群(n=389)で99.7%でした。グレード3~5の治療関連有害事象を発現した患者の割合は、KEYTRUDA®+化学療法群で76.8%、化学療法単独群で72.2%でした。グレード3~5の治療関連有害事象のうち高頻度に認められたもの(患者の10%以上に発現)は、KEYTRUDA®+化学療法群では好中球減少症(34.6%)、好中球数減少(18.7%)、貧血(18.2%)および発熱性好中球減少症(17.7%)であり、化学療法単独群では好中球減少症(33.2%)、好中球数減少(23.1%)および貧血(14.9%)でした。投与中止に至った治療関連有害事象を発現した患者の割合は、KEYTRUDA®+化学療法群で23.3%、化学療法単独群で12.3%でした。致死的な治療関連有害事象はKEYTRUDA®+化学療法群に2例、化学療法単独群に1例、認められました。
術後薬物療法期に治療関連有害事象(全グレード)を発現した患者の割合は、KEYTRUDA®単独療法群(n=547)で48.1%、プラセボ群(n=314)で43.0%でした。グレード3~5の治療関連有害事象を発現した患者の割合は、KEYTRUDA®単独療法群で5.7%、プラセボ群で1.9%でした。患者の10%以上に発現した治療関連有害事象は認められませんでした。投与中止に至った、治療関連有害事象を発現した患者の割合は、KEYTRUDA®単独療法群で3.3%、プラセボ群で1.3%でした。致死的な治療関連有害事象はKEYTRUDA®単独療法群の1例に認められました。
免疫関連の有害事象およびinfusion reaction(全グレード)を発現した患者の割合は、術前薬物療法期と術後薬物療法期を合わせて、KEYTRUDA®群で42.3%、化学療法+プラセボ群で21.3%でした。これらの事象のうち高頻度に認められたもの(患者の10%以上に発現)は、KEYTRUDA®群ではinfusion reaction(17.7%)および甲状腺機能低下症(14.9%)であり、化学療法+プラセボ群ではinfusion reaction(11.6%)でした。致死的な免疫関連の有害事象はKEYTRUDA®群の1例に認められました。
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)について
TNBCは診断から5年以内の再発率が高く、進行の早い乳がんです。乳がんにはエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)のいずれかに陽性反応を示すタイプもありますが、TNBCではいずれも陰性となります。このため、TNBCはこれらのマーカーへの標的療法には反応せず、治療が困難となります。乳がん患者の約15〜20%がTNBCと診断されています。
KEYTRUDA®について
KEYTRUDA®は、自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける抗PD-1抗体です。KEYTRUDA®はPD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との相互作用を阻害して、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化するヒト化モノクローナル抗体です。 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は業界最大のがん免疫療法臨床研究プログラムを行っており、現在1,000を超えるKEYTRUDA®の臨床試験を実施し、幅広い種類のがんや治療セッティングを検討しています。KEYTRUDA®の臨床プログラムでは、さまざまながんにおけるKEYTRUDA®の役割や、KEYTRUDA®による治療効果が得られる可能性を予測する因子について模索しており、さまざまなバイオマーカーの模索も行っています。
KEYTRUDA®用法・用量・安全性情報について
用法・用量・安全性情報など一部情報は米国のもので、日本の情報ではありません。詳しくは当社英文リリースをご参照ください。
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.のがん領域における取り組み
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.では、画期的な科学を革新的ながん治療薬に変換して世界中のがん患者さんを助けることに取り組んでいます。オンコロジー事業にとって、がんと闘う人々を助けることは私たちの情熱であり、がん治療薬へアクセスしやすくすることは私たちの責任です。また、がん領域における取り組みの一環として、医薬品業界で一二を争う急成長を遂げている開発プログラムにより、30種類以上のがんに対するがん免疫療法の可能性を模索しています。また、引き続き戦略的買収を通じて、がん免疫療法のポートフォリオを強化し、進行がんの治療を改善する可能性をもつ有望ながん治療薬候補の開発を最優先に進めています。当社のオンコロジー臨床試験について詳しくは、 当社ウェブサイト をご覧ください。
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.について
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は1世紀以上にわたり、グローバルにおけるバイオ医薬品のリーディングカンパニーとして、人々の生命を救い、人生を健やかにするために、世界で最も治療が困難な病気のための革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、米国およびカナダ以外の地域ではMSDの名称で知られています。世界140カ国以上で事業を展開し、医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品およびアニマルヘルス製品の提供を通じて革新的なヘルスケア・ソリューションを提供しています。また、さまざまなプログラムやパートナーシップを通じて、医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。MSDは、がん、生活習慣病、新たな動物病、アルツハイマー病、HIVやエボラなどの感染症をはじめ、世界中で人々やコミュニティを脅かしている病気の治療や予防のために、研究開発の最前線に立ち続けています。詳細については 当社ウェブサイトやMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の
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Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の将来に関する記述
このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。
リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.による将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.に関するForm 10-Kの2018年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト( www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。
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MSDは1世紀以上にわたり、グローバルにおけるバイオ医薬品のリーディングカンパニーとして、人々の生命を救い、人生を健やかにするために、世界で最も治療が困難な病気のための革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDは、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称です。世界140カ国以上で事業を展開し、医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品およびアニマルヘルス製品の提供を通じて革新的なヘルスケア・ソリューションを提供しています。また、さまざまなプログラムやパートナーシップを通じて、医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。MSDは、がん、生活習慣病、新たな動物病、アルツハイマー病、HIVやエボラなどの感染症をはじめ、世界中で人々やコミュニティを脅かしている病気の治療や予防のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト( www.msd.co.jp)や
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