2018年

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2018年12月21日

報道関係各位

MSD株式会社

抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」、以下の効能・効果について一部変更承認を取得

「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を
有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」

「悪性黒色腫の術後補助療法」「悪性黒色腫について、固定用量への用法・用量の変更」

「PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
(非扁平上皮癌/扁平上皮癌)に対する初回治療としての併用療法」

「PD-L1陽性(TPS≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する
初回治療としての単独療法」


MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下 「MSD」)は、本日、抗PD-1抗体「キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))」について、以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しました。

  • がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)への適応拡大
  • 悪性黒色腫の術後補助療法としての適応拡大
  • 悪性黒色腫について、固定用量への用法・用量の変更
  • PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大
  • PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大
  • PD-L1陽性(TPS*1≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大

*1: TPS:Tumor Proportion Score 腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合

今回の承認取得事項は、いずれも厚生労働省による優先審査の対象となっておりました。「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」への適応拡大については医薬品の条件付き早期承認制度の適用を、悪性黒色腫に関する適応拡大については希少疾病用医薬品の指定をそれぞれ受け、優先審査のもとで承認となりました。


高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がんへの適応拡大について
高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、傷ついたDNAを修復する機能が低下していることを示すバイオマーカーです。細胞は、DNA複製時に自然に起こる複製ミスを修復する機能をもっています。この修復機能の低下によって、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることをマイクロサテライト不安定性(MSI)と呼びます。このMSIが高頻度に起きている現象を高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)と呼びます。

MSI-Highを有する固形がん(以下「MSI-High固形がん」)は、大腸がん、胃がんや膵臓がんといった消化器系のがんのほか、子宮内膜がんや卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんなどでも報告されています。大腸がんの約6%、子宮内膜がんの約17%にMSI-High固形がんがみられたとの報告があります。*2

*2: Le DT et al. Science 2017; 357: 409-413

「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」への適応拡大にあたっては、治療歴を有するMSI-High固形がんを対象とした2つの国際共同第2相試験において、キイトルーダ®の有効性および安全性が示されました。

治療歴を有するMSI-Highの結腸・直腸がん患者61名を対象にしたKEYNOTE-164試験(コホートA)では、奏効率(ORR)は27.9%(95%CI: 17.1~40.8)でした。対象者の57.4%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は、関節痛16.4%、悪心14.8%、下痢13.1%、無力症11.5%およびそう痒症11.5%でした。

治療歴を有するMSI-Highの結腸・直腸以外の固形がん患者94名を対象にしたKEYNOTE-158試験では、奏効率(ORR)は37.2%(95%CI: 27.5~47.8)でした。対象者の61.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は、疲労11.7%およびそう痒症11.7%でした。

共通のバイオマーカーに基づいてがん種横断的に効能・効果(適応)を有するがん治療薬は、国内初となります。

なお、キイトルーダ®の適応判定を目的としたMSI-Highを検出するためのコンパニオン診断薬として、株式会社ファルコバイオシステムズの「MSI検査キット(FALCO)」が承認されています。


悪性黒色腫の術後補助療法への適応拡大および悪性黒色腫の用法・用量について
悪性黒色腫は皮膚がんのうち最も深刻なもので、色素産生細胞の増殖が制御困難になるのが特徴です。日本国内では約4,000人が罹患し*3、年間約600人が死亡している*4と報告されています。悪性黒色腫は、主に腫瘍の厚さと表面の潰瘍、がんがリンパ節あるいは他の部位や内臓に転移しているかどうかに基づいて、I~IV期(ステージ)に分類されています。ステージIIIの悪性黒色腫は所属リンパ節まで広がる腫瘍ですが、原発腫瘍および転移したリンパ節を外科的切除しても、再発によって転移性に進行するリスクがあります。

*3: 厚生労働省 平成26年患者調査(疾病分類編)
*4: 厚生労働省 人口動態調査 2016年

「悪性黒色腫の術後補助療法」への適応拡大にあたっては、European Organisation for Research and Treatment of Cancer(EORTC)と共同実施した無作為化二重盲検第3相試験EORTC1325/KEYNOTE-054試験において、切除後の再発リスクが高い悪性黒色腫(ステージIIIA[転移1mm超]、IIIB、IIIC)患者1,019名を対象に、キイトルーダ®の術後補助療法の有効性と安全性が示されました。全患者における無再発生存期間を有意に延長し、再発または死亡のリスクが43%低減しました(HR=0.57 [98.4% CI:0.43~0.74]; p<0.0001, 層別ログランク検定)。キイトルーダ®群77.8%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は、疲労28.1%、下痢18.5%、そう痒症16.7%、甲状腺機能低下症14.3%、悪心11.4%および関節痛10.0%でした。

「悪性黒色腫」の用法・用量については、「1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で30分間かけて点滴静注する」用法・用量から、「1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する」用法・用量へ変更になりました。今回の固定用量への変更承認によって、これまでの体重換算による用量設定に比べて利便性が高まるとともに、残薬の削減につながることが期待されます。


非小細胞肺がんに関する適応拡大について
がんは日本人の死因第一位であり、なかでも肺がんは主な部位別がんにおいて死亡率が最も高く、年間約74,000人が死亡しています*5。肺がんは、組織型によって、小細胞肺がん、非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)に分かれますが、非小細胞肺がんは肺がんの約85%を占めています*6、*7。切除不能または転移性の非小細胞肺がんは最も治療の難しいがんの一つであるため、新たな治療薬の開発が必要とされています。

*5: 厚生労働省 人口動態統計(2017年)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/index.html
*6: Itaya T, Yamaoto N, Ando M, et al. Influence of histological type, smoking history and chemotherapy on survival after first-line therapy in patients with advanced non-small cell lung cancer. Cancer Sci 2007; 98:226-30.
*7: Thun MJ, Lally CA, Flannery JT, et al. Cigarette smoking and changes in the histopathology of lung cancer. J Natl Cancer Inst 1997; 89:1580-6.

今回の適応拡大にあたっては、未治療の転移性非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第3相臨床試験(KEYNOTE-189試験)、未治療の転移性非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第3相臨床試験(KEYNOTE-407試験)、およびPD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第3相臨床試験(KEYNOTE-042試験)のそれぞれにおいて、キイトルーダ®の有効性および安全性が示されました。

KEYNOTE-189試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移性非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者616名において、キイトルーダ®とペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法が、標準化学療法であるペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法と比較して、全生存期間(OS)が有意に改善し、死亡リスクは化学療法のみの場合と比較して半減しました(HR=0.49 [95% CI:0.38~0.64]; p<0.00001, 層別ログランク検定)。キイトルーダ®とペメトレキセド+プラチナ製剤の化学療法併用群の91.9%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、悪心46.2%、貧血38.0%、疲労33.1%、好中球減少症24.9%および食欲減退20.7%でした。

KEYNOTE-407試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移性非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者559名において、キイトルーダ®とカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法が、プラセボとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルの併用療法と比較して、OSが有意に改善し、プラセボ群と比較して死亡リスクが36%低下しました(HR=0.64 [95% CI:0.49~0.85]; p=0.0008, 層別ログランク検定)。キイトルーダ®と化学療法の併用群の95.3%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、脱毛症45.3%、貧血44.2%、好中球減少症34.9%、悪心30.6%、血小板減少症29.1%および下痢21.9%でした。

KEYNOTE-042試験では、PD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者1,274名において、キイトルーダ®単独療法がプラチナ製剤併用化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)と比較してOSを有意に延長しました(HR=0.81 [95% CI:0.71~0.93]; p=0.002, 層別ログランク検定)。キイトルーダ®群62.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は甲状腺機能低下症10.8%でした。

今回の適応拡大により、キイトルーダ®は、PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対する初回治療*8に使用できる抗PD-1抗体となります。

*8: PD-L1発現にかかわらず化学療法との併用療法。PD-L1陽性(TPS≧1%)の場合は単独療法も使用可能

なお、PD-L1の発現状況を検査するためのコンパニオン診断薬として、アジレント・テクノロジー株式会社のPD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」が承認されています。


キイトルーダ®について
キイトルーダ®は、T細胞に主に発現する受容体であるPD-1と、腫瘍細胞に発現するそのリガンドPD-L1およびPD-L2の相互作用を阻害する抗体です。キイトルーダ®はPD-1に結合し、この受容体とリガンドとの結合を阻害することによって、T細胞に生じたPD-1経路を介する抗腫瘍活性の抑制を解除します。

キイトルーダ®は、2017年2月15日に国内で販売を開始しました。これまでに「根治切除不能な悪性黒色腫」「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」の効能・効果について承認を取得しています。さらに、乳がん、大腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、肝細胞がん、腎細胞がん、小細胞肺がん、進行性固形がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中です。

キイトルーダ®は、米国を含む88カ国で承認を取得しており、世界では現在、850以上の臨床試験において30種類以上のがんについて検討が行われています。

キイトルーダ®の製造販売はMSDが行い、大鵬薬品工業株式会社と共同してプロモーションを行います。

MSDは、重点分野と位置付けるがん領域で患者さんと医療従事者のニーズに応えていけるよう、革新的な医薬品の開発に引き続き取り組んでいきます。


以 上


MSDについて
MSDは1世紀以上にわたり、バイオ医薬品のグローバルリーダー企業として人々の生命を救い、人生を健やかにするために、世界で最も治療が困難な病気のための革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が各国(米国とカナダ以外)で事業を行う際に使用している名称です。医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品およびアニマルヘルス製品の提供を通じてお客様と協力し、世界140カ国以上で事業を展開して革新的なヘルスケア・ソリューションを提供しています。また、さまざまなプログラムやパートナーシップを通じて、医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。MSDは今も、がん、生活習慣病、新種の動物病、アルツハイマー病、HIVやエボラなどの感染病をはじめとして、世界中で人々の命やコミュニティを脅かしている病気の治療や予防のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)や FacebookTwitterYouTubeをご参照ください。


参考資料
抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®


製品名

キイトルーダ®点滴静注 20mg
キイトルーダ®点滴静注 100mg

一般名

ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)

効能・効果

根治切除不能な悪性黒色腫
PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌
がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)

用法・用量

根治切除不能な悪性黒色腫>
通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回200mg2mg/kgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。ただし、術後補助療法の場合は、投与期間は12カ月間までとする。

PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)
通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。

承認取得日

根治切除不能な悪性黒色腫:2016年9月28日
PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌:2016年12月19日
再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫:2017年11月30日
がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌:
2017年12月25日

根治切除不能な悪性黒色腫(用量:1回200mg2mg/kg)
PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る):2018年12月21日

薬価基準収載日
発売日

2017年2月15日

薬価

キイトルーダ®点滴静注 20mg:1バイアル 75,100円
キイトルーダ®点滴静注 100mg:1バイアル 364,600円


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