2018年

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2018年11月7日

報道関係各位

MSD株式会社

【シニア世代における服薬・不眠症治療に関する実態調査】
シニア世代の7割が“多剤併用(ポリファーマシー)”を「知らない」

~「配偶者には睡眠薬に頼らず眠ってほしいが、眠るためには薬も仕方ない」と9割が板挟み~

 

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下 「MSD」)は、不眠症治療の実態を明らかにするための調査を2014年から実施しています。昨今、高齢者の医薬品適正使用に関して厚生労働省から指針が出されるなど、「多剤併用(ポリファーマシー)」に警鐘が鳴らされており、不眠症治療薬はその代表的薬剤の一つとしてあげられています。多剤併用のリスクは、(服薬している)高齢者本人だけの問題ではなく、その回避には家族の理解と協力も必要であることから、今回は、シニア世代(55歳以上)を配偶者に持つ男女30,020名を対象に、服薬に関する状況やリスク認識、不眠症治療薬に対する意識について調査を実施しました。



1. シニア世代の服薬状況と睡眠実態

■ 30,020人が回答した1次調査では、55歳以上の配偶者を持つ人の54.4%(16,321人)が「(配偶者が)医師から処方された治療薬を服用している」と回答しました【SC3】

■ 配偶者が1日に服用する治療薬の数は、3種類以上が40.2%(『3~5種類』『6~10種類』『11種類以上』の合計)」と4割にのぼり、「3~5種類」が32.2%(5,253人)と最も多く、多剤併用の目安とされる「6種類以上(『6~10種類』『11種類以上』の合計)」を服用している配偶者は8.0%(1,304人)でした【SC5】

■ 「あなたが主体となって配偶者の服薬の管理をしている」と回答した割合は、配偶者が男性=回答者が女性の場合6.5%(572人)、配偶者が女性=回答者が男性の場合2.6%(196人)と、男女間で差が見られました【SC7】

■ 配偶者に「夜なかなか寝付けない」「夜中に何度も起きる」「朝早く目が覚める」という、いずれかの不眠症状が見られるケースは37.7%(11,306人)と約4割あるにもかかわらず、配偶者が不眠症治療薬を服用している割合は6.9%(784人)でした【SC6】【SC9】


2. 多剤併用に関する認知と意識

■ 1次調査の回答者のうち、不眠症治療薬を服用している55歳以上の配偶者を持つ人412名を対象とした2次調査では、「多剤併用」という言葉やリスクについて「知らなかった(『言葉は知らなかった』『言葉についても、リスクについても知らなかった』の合計)」と答えた人は67.7%(279人)でした【Q3】

■ 多剤併用に関して、言葉もしくはリスクについて知っていた回答者のなかで、医師に相談したことがある人は15.1%(46人)でした【Q7】

■ 配偶者の多剤併用について、特に不安や心配を「感じない」または「感じていなかった」人は77.4%(319人)と約8割いる一方、医師から処方された治療薬に関して「病気やケガを治すためとはいえ、治療薬はできる限り最小限にしたい」と考える人は69.4%(286人)でした【Q5】【Q8】


3. 不眠症治療薬の服用実態

■ 配偶者の不眠症治療薬の服用期間は、「1年以上3年未満」が21.6%(89人)、「3年以上5年未満」が17.2%(71人)、「5年以上」が37.4%(154人)と、1年以上の長期服用となっている人が7割を超えました【Q17】

■ 回答者が不眠症治療薬に抱くイメージは、47.3%(195人)が「薬を飲み始めたらなかなかやめられない」と回答。次いで、41.0%(169人)が「薬を飲まないと、不安でますます眠れなくなる」、37.6%(155人)が「服用期間が長くなると、効き目が悪くなる」と回答しました【Q18】

■ 不眠症治療薬を服用している配偶者に「足元のふらつき」が見られる割合は17.0%(70人)であり、その頻度が「毎日ある」「週に数回ある」「週に1回程度」と答えた人は合計で74.3%(52名)と、「足元のふらつき」が見られる人の多くが頻繁に経験しています【Q9】【Q10】

■ 「(配偶者には)できれば不眠症治療薬に頼らずに眠ってほしい」と思っている人が88.6%(365人)いる反面、88.3%(364人)が「きちんと眠るためには不眠症治療薬を服用することも仕方ない」とも考えています【Q24】

■ 不眠症治療薬の服用をやめることを夫婦で話したことがある人(「頻繁に話し合う」「何度か話し合ったことがある」「一度だけ話し合ったことがある」の合計)は51.5%(212人)にのぼるが、配偶者が服用をやめることを医師に相談したことがある場合は28.9%(119人)でした【Q25】【Q26】


<ご参考>
本調査では、回答者ご本人が不眠症治療薬を服用している場合、その方にも不眠症治療薬の服用状況について回答いただきましたので、その結果もお知らせいたします(対象者数:412人)。

■ 不眠症治療薬の服用期間【Q17】
「1年以上3年未満」・・・16.0%(66人)
「3年以上5年未満」・・・16.0%(66人)
「5年以上」・・・56.6%(233人)
「1年以上」の長期服用の割合・・・88.6%(365人)

■ 不眠症治療薬に抱くイメージ【Q18】
「薬を飲み始めたらなかなかやめられない」・・・48.1%(198人)
「薬を飲まないと、不安でますます眠れなくなる」・・・42.7%(176人)
「服用期間が長くなると、効き目が悪くなる」・・・36.4%(150人)

■ 不眠症治療薬の服用に関する意識【Q24】
「できれば不眠症治療薬に頼らず眠りたい」・・・90.3%(372人)
「きちんと眠るためには不眠症治療薬を服用することも仕方ない」・・・94.4%(389人)

■ 不眠症治療薬の休薬に関する夫婦のコミュニケーション【Q25】
「不眠症治療薬の服用をやめることについて、夫婦で頻繁に話し合う」・・・1.9%(8人)
「夫婦で何度か話し合ったことがある」・・・23.3%(96人)
「夫婦で一度だけ話し合ったことがある」・・・3.9%(16人)
「話し合ったことがある」人の割合・・・29.1%(120人)

■ 不眠症治療薬の休薬に関して医師に相談した経験【Q26】
「医師に相談したことがある」・・・37.9%(156人)

この結果から、回答者本人が不眠症治療薬を服用している場合と、配偶者が服用している場合では、休薬に関する夫婦のコミュニケーションに関する設問以外には大きな差が見られず、不眠症治療薬を服用している人は、患者さんご本人やその家族が同じ気持ちを共有しながら不眠症治療に臨まれていることが見て取れます。


<先生方からのコメント>

薬の「適正使用」についての正しい理解を
東京大学医学部附属病院 老年病科 教授 秋下 雅弘(あきした・まさひろ)先生

一般的には、高齢になるにつれて複数の病気を抱える方が増え、それにともなって処方される薬の数も多くなります。厚生労働省の調査*によると、高齢者では6種類以上の薬を使っていることも珍しくなく、今回の調査結果も、複数の薬を処方されている方が多くいることが浮き彫りになりました。薬の数が増えると、ふらつき・転倒や物忘れなどの副作用のリスクが高まると言われていますが、7割の人がそうした多剤併用に関する情報を「知らない」、さらに8割が「不安や心配はない」と回答した結果を見る限り、より多くの人に対して「薬の適正使用」という考えを啓発する必要性を改めて感じています。

また「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015(日本老年医学会)」では、75歳以上の方を対象として「特に慎重な投与を要する薬物」をリストアップし、控えたい薬の中でよく使われるものとして不眠症治療薬も含まれています。ただ、「薬を使わなくても良い」という訳ではなく、生活の質を向上させるために「正しく薬を使う」という考え方を持つことが重要になりますので、ご自身や家族に気になる様子がある場合、自己判断による服用の中断は避け、かかりつけのお医者さんに相談することが重要です。

*厚生労働省「2014年社会医療診療行為別調査」


不眠症治療は「やめること」を前提として始める
くわみず病院 院長 池上 あずさ(いけがみ・あずさ)先生

今回の調査では、不眠症治療薬を服用している方の8割が1年以上の期間服用しているなど、「あるべき不眠症治療の姿」が問われているように感じます。それは「できる限り不眠症治療薬に頼ってほしくない」と答える方が9割にのぼる一方で「眠るためには仕方ない」と、相反する考えの方も同様にいらっしゃることが象徴しているのではないでしょうか。

2016年に熊本地震を経験し、正しい睡眠の知識を身につけることと、適切な不眠症治療が重要であることを身をもって実感しました。不眠症治療は、不眠に悩むご本人だけでなく、治療に寄り添う医療従事者、一緒に生活する家族の理解と協力が欠かせませんが、薬の服用をやめることについて医師に相談した方が3割弱となっていることから、ご自身で悩まれながらも打ち明けることができていない姿が想像されます。

不眠症治療のゴールは、最終的には「薬に頼らずとも眠れる」ようになることです。すなわち「出口を見据えた不眠症治療」の実践が大切であり、そのためにも適切な治療を開始することも重要となります。こうした正しい知識をより多くの人が持つためにも今回のような啓発活動は大切であり、また私たち医療従事者からも、患者さんにお伝えできればと思います。


以上


【参考資料】MSD株式会社「シニア世代における服薬・不眠症治療に関する実態調査」調査結果詳細


MSDについて
MSDは1世紀以上にわたり、バイオ医薬品のグローバルリーダー企業として人々の生命を救い、人生を健やかにするために、世界で最も治療が困難な病気のための革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が各国(米国とカナダ以外)で事業を行う際に使用している名称です。医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品およびアニマルヘルス製品の提供を通じてお客様と協力し、世界140カ国以上で事業を展開して革新的なヘルスケア・ソリューションを提供しています。また、さまざまなプログラムやパートナーシップを通じて、医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。MSDは今も、がん、生活習慣病、新種の動物病、アルツハイマー病、HIVやエボラなどの感染病をはじめとして、世界中で人々の命やコミュニティを脅かしている病気の治療や予防のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp) や FacebookTwitterYouTube をご参照ください。