糖尿病の日常生活の注意点

糖尿病の日常生活の注意点


【監修】東京医科大学 内科学第三講座

主任教授 小田原 雅人

低血糖

糖尿病治療中において高い頻度でみられる副作用です。経口血糖降下薬やインスリン注射などの量を間違えたり、食事の時間が遅れたり、食事の量が少なかったり、いつもより長時間激しい身体活動を行ったりすることで引き起こされます。血糖値が下がりすぎることにより、脳内では主要なエネルギー源であるブドウ糖が不足して、さまざまな症状が生じます。

  • 1)症状

冷や汗、ふらつき、動悸、頻脈[1]、手指のふるえ、顔面蒼白、頭痛、目のかすみ、異常な空腹感、眠気(生あくび)、さらにひどくなると、意識レベルの低下、異常行動、けいれん、昏睡などを生じます。

  • 2)対応

低血糖を予防するためには、まずは、いつもの食事や運動の量、また、それらの時間などを変更しないことです。さらに、薬剤の服用(インスリン注射も含む)については主治医の指示を必ず守ることが重要です。

低血糖の症状が現れたら、ブドウ糖(5~10g)や糖を含む飲料水を摂取します。α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している場合は、必ずブドウ糖を摂取してください。摂取から約15分すぎても症状が改善しない場合は、もう一度摂取します。低血糖は突然起こりますので、外出時には角砂糖やブドウ糖、あめなどを常に持ち歩くようにしてください。

患者さんの意識がなくなったときは、応急処置として、グルカゴンが手元にあればご家族が注射します。一時的に意識が回復したとしても、必ず医療機関を受診してください。

シックデイ(病気になったとき)

「シックデイ」とは、糖尿病治療中に風邪をひいて熱がでたり、下痢や嘔吐、食欲不振などで、いつも通りに食事ができない状態のことを言います。このようなときは血糖値の変動が大きくなるため、経口血糖降下薬の服用やインスリン注射の量と時間などをどのように調整するか、あらかじめ主治医と相談しておくことが重要です。また、すぐに主治医に連絡し、指示を受けるようにしてください。必要な場合は、すぐに受診しましょう。

入浴、シャワー

神経障害があると足先の感覚が鈍り、熱さを感じないことがあります。やけどを防ぐために、湯船に入る前やシャワーを浴びる前には、必ず手などで湯加減を確かめてください。

足のケア(フットケア)

糖尿病患者さんは、血行障害や神経障害などで足病変を合併しやすくなっています。足は常に清潔に保ち、毎日よく観察しましょう。

靴は足に合ったサイズを選び、履く前には靴の中に小石や針などの異物が入っていないかをよく確認しましょう。また、爪は一 直線に切り、深爪をしないように気をつけ、水虫やタコなどは皮膚科で治療してもらいましょう。湯たんぽや電気あんかなどはやけどの原因になるので使わないようにしてください。また、常に足の指の間を乾燥させておくことも足の状態を良好に保つために重要です。

[1]頻脈: 心拍数や脈拍数が増加している状態